ニューエンジン投入するも、
ビルヌーブはギアボックストラブルで戦線離脱、ゾンタもスピン、リタイヤ

ロケットスタートで一時は3位を走ったビルヌーブ
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例年より3ヵ月早い開催で、天候不順が懸念された今年のイギリスGP。予想を大きく上回る悪天候、めまぐるしく変わる路面コンディションで、各チームはマシンの煮詰めに苦労させられることになる。
BARホンダは、今回からRA000Eの最新バージョンを投入。予選セッションで、ジャック・ビルヌーブが暫定ポールポジションを取るなど、その成果はすぐに現れた。しかし初日フリー走行で、ビルヌーブのマシンにまたもギアボックストラブルが発生。再発防止の対策に、チームは依然として苦慮することになった。
レースは、前回サンマリノGP同様、ビルヌーブが素晴らしいロケットスタートを決める。グリッド10番手から、シューマッハ兄弟らを抜き去って一気に6位に。その後ラルフに抜かれて7位に落ちるものの、シューマッハ兄は巧みに抑え切る。
その後上位陣のピットインの隙を突いて、31周目には3位までポジションを上げる。ところがタイヤ交換後、数周走行する間に、ギアが勝手にシフトダウンしてしまうトラブルが発生。ペースが上がらず、ずるずると順位を落としていく。それでも懸命にマシンをゴールまで運ぼうと格闘していたが、チェッカーまであと4周の時点でピットイン。そのまま戦線離脱となり、結果、16位完走扱いとなる。
チームメイトのリカルド・ゾンタは、マシンのセットアップに苦しんで16番グリッドが精一杯。それでもジャック同様1回ストップ作戦で、じわじわとポジションを上げていく。しかし11位を走っていた37周目、スピンを喫してレースを終える。
ジョーダン・無限ホンダは、ハインツ・ハラルド・フレンツェンがフロントロウを獲得。レースでも2番手をキープして勝機を窺う。しかし54周目、ビルヌーブ同様電気系のトラブルで緊急ピットイン。だが手の施しようはなく、レースを終え17位完走扱いとなった。ヤルノ・トゥルーリもギアボックスにトラブルを抱えていたが、なんとか6位でチェッカーを受けることに成功した。
優勝は、昨年のイギリスGP同様、マクラーレン・メルセデスのデビッド・クルサードだった。
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テレメータを見つめるビルヌーブ
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グリッド上のリカルド・ゾンタ
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J.ビルヌーブ(16位完走扱い)
出てくるトラブルは、いつも決まってギアボックスだ。緊急に何とかしないとね。戦略は完璧だったし、ポイント獲得はほとんど間違いなかっただけに、ほんとに欲求不満が溜まるよ。ホンダの最新バージョンには、100%満足してる。遅いのはエンジンじゃなくて、シャシーと空力さ。その分野で早く追い付かないといけない。とはいえこの週末、トップグループとの差は比較的少なかったと思う。
R.ゾンタ(リタイヤ)
きょうは完全に僕のミスだった。入賞は無理だったにしても、開幕以来4戦連続完走は果たしたかったんだが。アーバインを追いかけて、つい攻めすぎてストウコーナーでコントロールを失ってしまった。
保坂武文 本田技術研究所 マネージング・ディレクター
開幕以来、着実に進歩を重ねているとはいえ、よりいっそうの努力が必要です。今回は、ニューエンジンのパフォーマンスを100%発揮できなかったのが残念でした。
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