ジル・ド・フェランが3位に入り、初のシリーズ・チャンピオンに輝く!
ホンダの5年連続ドライバーズ・タイトル獲得!

予選でレコード更新、決勝3位でシリーズチャンピオンのド・フェラン
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タイトル獲得速報
2000年FedExチャンピオンシップシリーズ最終戦は、カリフォルニア州フォンタナの2マイルオーバルコース、カリフォルニア・スピードウェイにて開催された。
予選10月28日(土)
土曜日に行なわれたシングルカー・クオリファイによる予選で、ポイントリーダーのジル・ド・フェランがコースレコードとなる30.255秒をマークし、見事ポールポジションを獲得した。ジル・ド・フェランがタイムアタック1周目にマークしたこのスピードは、これまでのクローズドコースにおける世界最高速度記録を塗り替えるもので、平均時速241.428マイル(388.458km/h)のスーパーラップである。これでホンダターボV8エンジンは20戦で争われた今シーズンにおいて11度目、実に半分以上のレースにおいてポールポジションを獲得した。ポイントリーダーのジル・ド・フェランは、チャンピオン争いで貴重な1ポイントを追加する。以下チームメイトのエリオ・カストロ・ネベスが4位、ダリオ・フランキッティが7位でポール・トレイシーが9位に入り、唯一の日本人ドライバーである中野信治は24番グリッドからのスタートとなる。

29日スタートするも、雨でレースは順延
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決勝10月29日(日)
雨となる確率が50パーセントという状況下、予定どおり午前11時45分、グリーンフラッグが振られ今年最後のレースがスタート。ポールポジションからスタートしたジル・ド・フェランと、4番グリッドから一気にトップへと順位を上げたチームメイトのエリオ・カストロ・ネベスが、スタート直後からサイドバイサイドの攻防を繰り広げる。予選5位からスタートのダリオ・フランキッティも11周目には3位へポジションを上げ、レース序盤から早くもホンダ勢のワン・ツー・スリー体制となる。
ところが23周目、9番手からスタートして6位までポジションを上げたポール・トレイシーのマシンにメカニカルトラブルが発生。エンジンがストップしたあと、惰性でピットへ戻ろうとしたポール・トレイシーだったが、ピットレーンの入り口でストール。タイトル獲得の希望も夢と消えてしまった。
ここで30ラップを過ぎた辺りから、心配されていた雨が降り始める。33周目になっても雨はやみそうになく、12時12分、CARTオフィシャルはレース中断を決定。その後も雨は降り続いたため、レースは翌日の午前10時から、残りの周回数で戦われることになった。
振替日10月30日(月)
雲が多いものの快晴となった月曜日、予定どおり10時に全車がコースイン。イエローフラッグのままウォームアップを兼ねた走行が6周続き、40周目にグリーンフラッグでレースが再開された。しかしその直後、45周目に3位を走行していたダリオ・フランキッティにメカニカルトラブルが発生。チームメイトのポール・トレイシー同様、無念のリタイアに終わってしまった。

激しいトップ争いを演じたカストロ・ネベス
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昨日のピットでエンジンストールを喫し、18位までポジションを落としていたカストロ・ネベスが驚異的な追い上げを見せ、58周目にトップに浮上。サイド・バイ・サイドの激しいトップ争いを展開する。その後方ではピット後にペースが上がって来た中野信治が、16位までポジションアップ。初の500マイル完走を目指して周回を続けるが、突如メカニカルトラブルに襲われてしまう。ピットへと向かって修復を試みる中野信治だったが、結局リタイアとなった。
いつにもまして過酷な500マイルレースとなった今回、ホンダ勢以外にもリタイアが続出。残り50周となった200周の時点でコース上に残ったマシンは11台しかなく、チャンピオン争いはポイントリーダーのジル・ド・フェランと、来年から再びホンダ・ターボV8エンジンを搭載することが決まったアドリアン・フェルナンデスの2台に絞られた。
その後レースはエリオ・カストロ・ネベスがトップ争いを展開。シーズン最多となる4勝目を目指して激しい攻防を続けるが、226周目に不運にもメカニカルトラブルが発生してスピンし、クラッシュしてしまう。これでホンダ勢では唯一1台だけとなってしまったジル・ド・フェランだったが、終盤に続出したアクシデントにも巻き込まれることなく、完走が6台だけとなったサバイバルレースを3位でフィニッシュ。チャンピオン獲得が決まった。

シリーズチャンピオンを獲得したジル・ド・フェラン
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CART参戦7年目にして初のドライバーズ・チャンピオンに輝いたジル・ド・フェランは、賞金のワンミリオンダラーとチャンピオンに贈られる栄光のバンダービルト・カップを獲得。名門復活となったチーム・ペンスキーにとって1994年以来、通算8回目のCARTチャンピオンとなり、チャンプカーにおける10回目のタイトル達成となった。
今回、マニュファクチャラーズ・チャンピオンシップにおいて2位に終ったホンダだが、ジル・ド・フェランがチャンピオンになったことで、1996年から5年連続でドライバーズタイトルを獲得。20戦中、ウイナーが11人(新記録)も誕生するなど、激戦となった今シーズンを、ホンダ・ターボV8エンジンとジル・ド・フェランが制覇した。
G.ド・フェラン(3位)
今日は大勢ドライバーがリタイアするほどタフなレースだったが、僕の車はパーフェクトに近かった。途中、何度か目の前でクラッシュが起こったが、運はわれわれに味方してくれたね。今、とても感動しているよ。夢にまで見たタイトルをこうして手にすることが出来た。1996年からホンダエンジンのテストをしてきたけど、僕はあまり勝つことができなかっただけに、ほんとうにうれしい。僕を助けてくれたすべての人にお礼を言いたい。

来季フェルナンデス・レーシングの中野
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中野 信治(リタイア)
序盤はアンダーステアがきつく、すぐに周回遅れになってしまったんですが、そのあとのピットストップで修復した後は、他と同じペースで走ることが出来ました。なんとか完走したかったんですが、ほんとうに残念ですね。1年間お世話になったウォーカー・レーシングに感謝し、来年は新しくできるフェルナンデス・レーシングのドライバーとして、この経験を生かしていきたいと思います。
朝香充弘HPD副社長
研究所が一生懸命やってくれたお陰で、ミシガンに引き続き今回もポールポジションをとることができ、パワーの違いを見せつけることができました。長い間ホンダ・エンジンを開発してきてくれたジルがチャンピオンになり、研究所もわれわれもうれしさでいっぱいです。5年連続のドライバーズ・チャンピオンとなりましたが、これは大変貴重なことで、ホンダでなければチャンピオンになれないということを、今シーズンも証明することができましたね。
A.フェルナンデス、CART新チームを結成。中野信治、参入
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