ポール・トレイシーが地元カナダで前戦に続く2連勝!
フランキッティも2位に、今季3度目のホンダ1・2フィニッシュ!

自国カナダで今季3度目の優勝を獲得したポール・トレイシー
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2000年FedExチャンピオンシップ第15戦は、カナダ西海岸のブリティッシュコロンビア州バンクーバーのダウンタウンにあるパシフィック・コンコルド・プレイス周辺の市街地ストリートコースにて開催された。
予選9月2日(土)
金曜日の予選ではダリオ・フランキッティを筆頭に、ホンダ・ターボV8エンジンが1位から4位までを独占。土曜日の最終予選でも、ここまで全てのセッションでトップタイムをマークしたダリオ・フランキッティが、コースレコードとなる60.466秒を記録。その後予選終了5分前に60.405秒とタイムを更新、前戦に続く今季2度目のポールポジションを獲得した。ホンダは、これでバンクーバーにおける5連続ポール達成である。2番手はチームメイトのポール・トレイシーが60.493秒と肉迫し、チームKOOLグリーンが初の予選ワン・ツーを決めた。またチェッカーが出る直前に61秒を切る60.791秒をマークしたジル・ド・フェランが3番手に入り、チームメイトのエリオ・カストロ・ネベスが61.207秒で4番手を確保。ホンダV8エンジンは金曜日の予選に続き、予選1位から4位までを独占、3連続のフロントロースタートとなった。最終予選でタイムアップならなかった中野信治は、63.578秒で22番グリッドからのスタートとなる。

フロントローとセカンドローをホンダ勢4台が独占
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決勝9月3日(日)
心配されていた雨も降ること無く、うす曇りの空、時折晴れ間が覗くバンクーバー。約6万3千もの観客が見守る中、午後1時10分に90周のレースがスタートした。序盤からホンダ・ターボV8エンジンを搭載する4台がトップグループを形成。1回目のピットストップも予選順位のまま終え、トップ4を維持してコースに復帰する。
4位を走行するエリオ・カストロ・ネベスと、5位のJ.モントーヤが白熱したサイドバイサイドのバトルを展開。エリオ・カストロ・ネベスは一歩も譲らずポジションをキープするが、44周目、フロントサスペンションのトラブルからターン6でコースアウト、壁に激突したために無念のリタイアとなる。
一方、トラブルのためにスタート直前にピットインし、最後尾からのスタートを余儀なくされた中野信治は、その後確実にポジションを上げ、一時14位までポジションを上げる。しかし50周目のターン7の出口でクラッシュを喫し、痛恨のリタイアとなってしまった。
レースも中盤を過ぎた52周目、フルコースコーション中に行われた2度目のピットインで、いざピットアウトしようとしたダリオ・フランキッティが、まさかのエンジンストール。その隙を突いてポール・トレイシーが一足先にピットアウトし、トップでコースに復帰。地元カナダ人がトップに立ったことで、グランドスタンドから一斉に大歓声が上がる。
レース後半になっても、その勢いに衰えを見せないチーム・グリーンのコンビは、後続との差を徐々に広げ、3位以下に対し20秒近い差をつける圧倒的な速さを見せる。結局、ポール・トレイシーが安定した走りで後半を逃げ切り、前回の14戦に続き2連勝。今季初めて3勝目を達成したドライバーとなり、ランキングも2位までアップした。

クラッシュしリタイアとなった中野
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カナダ人ドライバーとして、初めてバンクーバーを制したポール・トレイシーは、今回の優勝で一気にシリーズランキング6位から2位まで躍進、1位M.アンドレッティとの差を6ポイントまで詰めた。またチームメイトのダリオ・フランキッティもポール・トレイシーに続いてチェッカーを受け、今季3度目のホンダワンツーフィニッシュ達成。
予選3番手からスタートし、前半3位を走行していたジル・ド・フェランだったが、46周目のピットアウト時に勢いあまってピットロード出口のラインを超えてしまい、ストップ&ゴーのペナルティを受けて8位まで後退。それでも終盤に追い上げ、最終的に5位でフィニッシュ、貴重なチャンピオンシップポイントを獲得した。
今回で3連勝となったホンダ・ターボV8エンジンは、メーカー最多となる今季7勝目。バンクーバー戦は98年から3年連続のポール・トゥ・フィニッシュである。さらに、このレースでワンツーを獲得したことで、マニュファクチャラーズ・タイトル争いでも、首位フォードに詰め寄った。
次戦は9月10日にカリフォルニア州モントレーのラグナセカ・レースウェイで開催される第16戦“Honda Grand
Prix of Monterey”。ここまでのすべてのパーマネントロードコースで勝利を納めてきたホンダ・ターボV8エンジンの連覇に期待したい。

ワンツーフィニッシュを飾った二人
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P.トレイシー(優勝)
ホンダがベストエンジンを用意してくれたお陰で、最後のピットストップではタイヤ交換する必要も無かったぐらい、絶好調だった。ダリオ(フランキッティ)はこのレースウィークとても調子がよかっただけに残念だったね。今日はグレッグ(ムーア)のホームタウンで思い出に残るレースが出来た。あと5戦、タイトル獲得に向けて全力を尽くすよ。
中野 信治(リタイア)
デレック(ウォーカー:オーナー)の的確な判断で、今日のレースはワンストップ作戦でいくつもりでした。しかしフルコースコーションのあとの再スタート直後、タイヤが冷えていた状態でコントロールを失い、コンクリートウォールに追突してしまいました。マシンの状態も良くなってきただけに、とても残念です。
朝香充弘HPD副社長
今回は初日からチームグリーンの2台のセッティングが決まってましたね。どちらかが勝ってくれればと思いましたが、地元カナダでポールが勝ち、お客さんも大喜びしてくれたようで、われわれもうれしかったです。また、マニュファクチャラーズポイントもかなり詰めることができ、まだまだこれから追い上げて行きたいと思っています。
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