P.トレイシーがほぼ最後尾から追い上げ今シーズン2勝目!
メーカー最多となる今季6勝目を挙げ、51勝目を獲得したホンダ

予選7位スタートから見事優勝を獲得したトレイシー
|
2000 FedExチャンピオンシップ第14戦は、ウィスコンシン州エルクハートレイクのロードコース、ロードアメリカにて開催された。

ダリオとジルによるフロントロー
|
予選8月19日(土)
ホンダがCART50勝を達成した前戦のミド−オハイオに引き続き、今回もロードコースを舞台にする第14戦。初日の予選はミド−オハイオのポールウイナー、チーム・ペンスキーのジル・ド・フェランがトップに立ち、連続ポール獲得の期待がかかった。翌日、最終予選でジル・ド・フェランは次々とタイムアップし、トップのまま残り3分でピットに戻る。ところがその直後、同じホンダ・ターボV8エンジンを駆るダリオ・フランキッティが唯一100秒を切る99.866秒の新コースレコードを記録してトップに浮上。昨年のオーストラリア以来、今季初めてとなるポールポジションを獲得することになった。連続ポールとならなかったジル・ド・フェランは100.154秒で2位、ホンダ・ドライバーが前戦に引き続きワンツーを決める。ミド−オハイオの覇者、エリオ・カストロ・ネベスは100.610秒で6位、ダリオ・フランキッティのチームメイト、ポール・トレイシーは100.682秒で7位。唯一の日本人ドライバー、中野信治は103.206秒で23位からスタートする。
決勝8月20日(日)
朝から快晴となったロードアメリカで、午後1時5分、グリーンフラッグで55周のレースがスタート。その直後のターン2でエリオ・カストロ・ネベスがC.フィッティパルディと接触し、痛恨のコースアウトを喫してしまう。すぐにエリオ・カストロ・ネベスはコースに復帰するも最後尾まで順位を落としてしまった。

一時は12位まで追い上げを見せた中野
|
また、チームメイトのジル・ド・フェランもギアボックス・トラブルに見舞われ、わずか1周目でリタイア。ホンダ・ターボV8勢の不運はさらに続き、予選7位からスタートしたポール・トレイシーにスロットルセンサーのトラブルが発生。コースアウトしたエリオ・カストロ・ネベスの前、ほぼ最後尾にあたる23位まで後退した。
スタート後のターン1を2位で通過したダリオ・フランキッティは、そのポジションを堅持したまま16周目に一度目のピットストップを迎える。その後3位でコースに復帰したダリオ・フランキッティだったが、ギアボックストラブルによりペースダウン。43周目にリタイアを余儀なくされてしまった。
一方、23位までポジションダウンしたポール・トレイシーは、ピットからの指示ですべてのスイッチをリセットしたところ、見事マシンが回復。ここからポール・トレイシーの猛追が始まり、周回を重ねるたびにどんどんポジションを上げ、大観衆が見守る中38周目についにトップに浮上。
終盤ポール・トレイシーは3度目のピットで一時順位を落とすも、他の上位陣もピットに入ったため、難なくトップに返り咲く。勢いにのったポール・トレイシーを誰一人として止めることはできず、最後は2位に7.45秒もの差をつけてゴール。第3戦のロングビーチ以来となる今季2勝目を挙げ、通算17勝目を達成した。
前戦でCART50勝を記録したホンダは2連勝を遂げ、エンジン・マニュファクチャラー中最多となる今季6勝目を獲得。日本期待の中野信治は23位からスタートし、12位までポジションをアップしたが、今回多発したギアボックス・トラブルが中野信治をも襲い、15周で無念のリタイアとなってしまった。
次戦は9月3日にカナダ・バンクーバーで開催される第15戦“Molson Indy Vancouver”。今年5回目となるストリートコースで、ホンダ・ターボV8エンジンの3連覇に期待したい。

今季2度目の優勝、トレイシー
|
P.トレイシー(優勝)
スタートの時にギアを4速から5速にアップした時、突然マシンのパワーが無くなったんだ。そこで誰も後ろから当たらなくてほんとうに良かったよ。すぐに走り出すことができたけど、ターン2を回った時、もう誰の後姿も見えなかった。少しガッカリしたものの、オーナーのグリーンが励ましてくれて、その後はリズムに乗って思いどおりに走ることができた。この勝利は今までの中でも、特別だね。ほんとうにパーフェクトなレースだった。
中野 信治(リタイア)
走り出して車のバランスも良く、どんどんポジションを上げることができて、上位でフィニッシュできる手応えがありました。しかし、他の車と同じように、突然なんの前触れも無く、いきなりギアが無くなってしまいましたね。いい走りができていただけに、ほんとうに残念です。
朝香充弘HPD副社長
今日は本当に大波乱のレースでした。スタートでホンダの上位3台が戦列を離れた時は、心臓が止まる思いをしましたね。しかし、ポール(トレイシー)がホンダのエンジンパワーをフルに使って毎ラップ着実にポジションを上げ、ファンにとって見応えのある素晴らしいレースを披露してくれました。この勢いを持続して、終盤戦を戦っていきたいと思います。
|