今世紀最後の世界選手権は、ドギー・ランプキンの辛勝
藤波貴久、両日とも2位となりランキング2位を確保

モンテッサ−ホンダで独占された表彰台
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第1日目
今世紀最後の世界選手権アンドラ大会には、非常にたくさんのライダーが集まった。その理由のひとつとしては、トライアル・デ・ナシオンが、この地から200キロほどのバルセロナ近郊のセバで、すぐ翌週に開催されることがある。1週間早くスペインを訪れ、この機会に世界選手権参戦を果たそうというライダーが多かったようだ。
しかし彼らは、今シーズン一番のハードなトライアルを体験することになった。今年の世界選手権は、セクション難度が簡単に設定されていることもあり、これまで参戦を躊躇していたライダーも、比較的容易に参戦を決意できるようになっていた。ところがアンドラは、久々の難セクションを用意して、彼らを歓迎してくれたわけだ。
このセクション設定に喜んだのはトップライダーたち。1回の5点がとり返しのつかないものではなく、挑戦し甲斐のあるセクションは、彼らの称賛を受けることになった。
第1セクションから第5セクションまでには、すべての要素が集約されていた。ここでドギー・ランプキン(モンテッサ−ホンダ)はすべてクリーンするという完璧な走りを披露し、藤波貴久(モンテッサ−ホンダ)は遅れること2点、マーク・コロメ(モンテッサ−ホンダ)は第2セクションで5点を喫し、幸先の悪い出だしとなった。
1ラップを終えると、ランプキンは8点をマークし、藤波が15点でこれに続いていた。コロメは17点と藤波に迫る。4位はマーク・フレイシャ(ガスガス)で21点。ポイントスタンディングと同じ順番だ。
最初の川のセクション群で時間を予想以上に費やしたため、各ライダーの2ラップ目は、大急ぎの早まわりとなった。しかしトップのリザルトは、1ラップ目と大きな変化はなかった。ドギーはわずかに減点を増やしたが、それでも13点、やはりトップはゆるがない。フレイシャもがんばって2ラップ目は17点をマークしたのみだったが、それでも3位表彰台を獲得するまでにはいたらなかった。
藤波とコロメの2ラップ目は同点だったが、順位は藤波が2位に落ちついた。これで、コロメに10点のリードをもって、2000年最後の戦いに挑むことになった。

圧倒的強さは最後まで変わらず、ランプキン
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第2日目
主催者は、簡単なセクションのいくつかのラインを狭めたが、変更がなかったところは、あいかわらず減点の大サービスのセクションとなっていた。その様は、バックしてもポイントに影響のなかった何年も前の世界選手権のようだ。
この日の争いは、またしてもモンテッサ−ホンダの3人によって繰り広げられることになった。最初の川セクションを終えたところで、ランプキンはすべてクリーン。藤波は1点、コロメはやや遅れて4点。次の林間セクションでは、コロメが脱落を決めた。第8セクションと第9セクションで、ハンドルを曲げる転落をしていたからだ。
藤波とランプキンの争いは肉薄していた。しかしランプキンはセクション10で5点、ここで藤波はランプキンをリードすることに成功した。
1ラップを終えて藤波は8点と、ランプキンを1点上回っていた。3位はカベスタニー、そしてフレイシャ、黒山、コロメ、ビルバオと続く。ビルバオが15点だから、2ラップ目の展開次第では、誰にでも勝利の権利がある。
しかし1ラップ後半の10セクション、藤波に不運が襲った。クラッシュしたアルカラツを助けようとして、指を負傷してしまったのだ。ここでリタイヤでもしてしまったら、ランキング2位の座をコロメに奪われてしまう。藤波は、不死身の復活をする。もてぎの再現のようだ。
そして2ラップ目、藤波のペースはやや狂いを見せていた。1ラップ目にクリーンしていた第1、第2で合わせて3点を喫してしまった。対してコロメは、1ラップ目の失敗を、確実にリカバーしていた。2ラップ目にマークした7点は、ランプキンと並んでこのラップのベストリザルトだ。
藤波は2ラップ目を12点と、2ラップ目だけでみれば6位でしかなかった。しかしこの日の2位を獲得するには、それで充分だった。ランプキンはまた勝利し、藤波、コロメと続く、今年見なれた表彰台となった。
これで、今シーズンの世界選手権トライアルは、すべて終了した。

2年連続ランキング2位、藤波
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第1日目
D.ランプキン(1位)
最初の5つのセクションがすべてクリーンだったのは、とてもうれしい。ハッピーだ。今日の5点はふたつだけ。第1ラップの9セクションと、2ラップ目の6セクションのみだった。でもこういう(難かしいセクションが用意された)トライアルは、ぼくはとっても好きだ。
藤波 貴久(2位)
第1ラップは上出来だったと思う。どこのセクションでも5点をとらなかったからだ。でも2ラップ目には、3つの5点をとってしまった。持ち時間に間にあうかどうかが心配で、あらためて下見をしている時間などほとんどなかったからだ。
M.コロメ(3位)
長い時間をかけていくべき道を選んだにもかかわらず、セクション2で5点をとってしまって、序盤は最悪だった。それから復活したんだが、もう遅かった。
第2日目
D.ランプキン(1位)
結果には、非常に満足している。しかし試合のほうはといえば、オブザーバーの判定は、かなりいいかげんで、彼らは2年前のルールで判定していた! 停止なしでクリーンをねらおうと思っても、5点になるリスクがあるし、他のライダーがホッピングしたりストップしたりしても減点されずに走るのを見てしまうわけだ。
藤波 貴久(2位)
コロメにリードを保って、目標には届いた。ゼッケン2を確保できて、ぼくはハッピーだ。第1ラップではリードしていたけど、2ラップ目には逆転された。でも2位は悪くない。1ラップ目の10セクションで、クラッシュしたアルカラツがぼくの手にヒットした。それからは、手の痛みと戦いながら走ることになったのだから。
M.コロメ(3位)
第1ラップの第8セクションでの転倒でハンドルバーとエアフィルターを壊した。それを修理して走った第9セクションで、また転倒した。2ラップ目にはよく巻きかえして、今シーズンよくあったように、1点差にまでつめよることができた。今年は、私にとっては不幸なシーズンだった。
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