DAY1 藤波貴久、36秒差で優勝を逃す
DAY2 ランプキン総合減点僅か3点で圧勝

2日目に優勝を果たしたランプキン
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第1日目
フランス大会で史上初めての4年連続世界チャンピオンとなったドギー・ランプキン(モンテッサ−ホンダ)が、一転表彰台を逃し5位となった。ランプキンの表彰台脱落は、ドイツ大会に次いで今シーズン2度め。ドイツでも、ランプキンは5位だった。優勝したのはアルベルト・カベスタニー(ベータ)だった。藤波貴久はカベスタニーと、クリーン数もすべて同点で、結果、競技時間の短いものが勝利とするルールで2位となった。タイム差、わずか36秒だった。
盛大なオーガナイズで運営されたイタリア大会であるが、設定されたセクションは今年の傾向どおり、世界選手権にしてはとてもイージーなものだった。簡単なセクションほど、ささいなミスが命取りになる。つまり精神戦となるわけだ。
セクションごとの結果を見れば、世界選手権クラスのライダーにとっていかにセクションが簡単であったかが伺える。ランプキンは1ラップ目に2つの5点を出してしまい14点となる。1ラップ時点ではコロメがたったの1点でトップ。コロメがもっとも精神集中できたライダーだった。続いてフレイシャ(ガスガス)が3点。藤波とカベスタニーが6点、コボス7点と続いた。
2ラップ目に入って、ランプキンは追い上げを見せた。2ラップ目のランプキンはたったの1点で消化する。しかしそれはもうそれでも、1ラップ目の結果は致命的だった。
コロメは2ラップ目の第2セクションでクラッシュ。この5点でみすみす優勝を逃す結果となる。さらにコロメは、最終セクションでも1点のミスをおかしてしまった。
藤波は2ラップ目を3点という素晴らしいスコアで消化したが、4点で追い上げてきたカベスタニーと同点、しかもクリーン数、各スコアがまったく同じ点数だったので、競技時間の研鑽により優勝が決まることになったのだ。藤波はまたしても、惜しいところで優勝カップを手にすることができなかった。
第2日目
2日目。あまりにイージーなセクション設定にライダーたちが抗議し、計5つのセクションに難度を上げる変更があった。この変更によって、確かに下位のライダーにとっては難度は増したが、トップライダーにとってはさほど変化はなく、試合はこの日も極端な神経戦となった。
試合は、スタート直後から前日に優勝したばかりのカベスタニーとランプキンのトップ争いとなった。1ラップ目の途中結果は、ランプキンが僅か1点!そしてカベスタニーが2点。3位は5点のダビデ・コボス(シェルコ)と続いている。藤波貴久は第8セクションで5点をとってしまい、1ラップの減点は8点で4番手となっている。藤波とランキング2位争いをしているコロメは10点で、藤波に続く5番手だ。
ちょっとのミスが順位に大きく響く。精神戦が続く2ラップ目、2連勝も夢ではないカベスタニーに乱れが見られた。第12〜14セクションでたて続けに失点してしまう。このセクションまではランプキンと同じくトータル3点で来ていたのだが、ここで優勝の可能性を失ったカベスタニーだった。
一方のランプキンはミスすることなく、計3点のままゴールした。カベスタニーは、それでも合計12点で2位に。藤波貴久が18点で3位に続いた。4位に入ったスティーブ・コリー(ガスガス)は、土曜日のスタート前にプラクティスエリアで大クラッシュした際のケガの心配をはねかえしての入賞となった。
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両日共に表彰台に登った藤波の走り
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2日目の表彰式、ランプキン(中)、3位藤波(右)
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第1日目
D.ランプキン(5位)
1ラップ目のミスはもう取り返しがつかなかった。世界選手権がこれほどイージーなセクションであってはならない。観客達にとって、だれもがクリーンして行くばかりで、僕らももてる力を発揮できないままだ。
藤波 貴久(2位)
セクションが簡単過ぎるほどだった。体力的にはまったく疲れはないけど、精神的にとても疲れました。ここまで簡単なセクションが続くと集中力を維持するのはとても難しい。2位の結果に不満はないけれども、結果的にわずか1分程度の時間差で優勝を逃したことは悔しいです。
M.コロメ(3位)
世界選手権とは言いがたいイージーセクションだった。主催者の問題というよりも、FIMの問題だと思う。自分にとっては2ラップ目のクラッシュが敗因のすべてだ。
第2日目
D.ランプキン(1位)
勝てたことはもちろん嬉しい。しかし、今回のセクションはおそらく観客達にとって退屈なものだったに違いない。2日目にセクション変更をしたとは言え、難易度にたいした変化がなく残念だった。
藤波 貴久(3位)
セクションに変更があって多少はましになりましたが、世界選手権としてはあまりにも易しすぎることに変わりはないです。1ラップ目の第8セクションで5点をとってしまい、これではランキング2位争いをしているコロメに負けてしまう、と焦りましたが、結果的にコロメの上に入れて、表彰台に登れたので嬉しかったです。
M.コロメ(6位)
朝一番の第1セクションで5点をとってしまったこと、さらに2ラップ目の12、13セクションで5点をとったことが敗因です。イージーセクションではこういったミスが致命的なのです。
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