2万人が集まったアジア初開催のトライアル世界選手権日本大会
DAY1、DAY2共に優勝はランプキン、2位藤波貴久!

DAY1、王者ランプキンは2ラップ目をたった3点で回った
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第1日目
トライアル世界選手権・第7戦は、アジアで初めて開催される日本大会を迎えた。栃木県「ツインリンクもてぎ」の会場には11,500人もの観客が集まった。
合計15のセクションは、林の急斜面、高低差のある岩盤等、バリエーションに富んだものがサーキット周辺に設定された。そして無料バスが運行されとても観戦しやすい。なにより、サーキットのパドックに設定された第1セクションと最終セクション、そしてマシンのメンテナンスエリアは、かつてどこの世界選手権にもなかった素晴らしいものだった。
11,500人という多くの観客は、日本で初めて見る世界チャンピオンの走りにどよめきつづけた。その走りは、まさに芸術的というべき。クリーンは可能だが、しかし多くのミスを誘うセクション設定に、チャンピオン、ドギー・ランプキン(モンテッサ−ホンダ)といえど、力の限りを振り絞らねばならなかったのだ。
もてる実力を出しきったランプキンは、第7セクションまでクリーンを連発。その後この日一番の難セクションとなった第9で3点を喫し、さらに美しい滝が設定された最終セクションで不運なクラッシュをしたものの、1ラップ目のトータル減点は11。これは初めての日本大会で、ランプキンがやはりトップであることを意味していた。2位には、スペインのマーク・フレイシャ(ガスガス)。フレイシャは9セクションと10セクションで減点5を喫したほかは、素晴らしい走りで1ラップを終えていた。3位は、黒山健一(ベータ)のチームメイト、アルベルト・カベスタニー(ベータ)だった。5点は9セクションで喫したひとつだけで、フレイシャに遅れること、たった1点だった。

高度なテクニックを見せたコロメ
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もてぎに集まった大観衆の声援を一身に受けるフジガス(藤波貴久・モンテッサ−ホンダ)は、18点の減点で4位。初めての自国での大会とあって、そのプレッシャーは計りしれなかったようだ。モンテッサHRCのマーク・コロメ(モンテッサ−ホンダ)は、25点の減点を積みあげてしまい、ポジションは10位と不本意なスタートだ。
1ラップ目の最終セクションでの減点5は、ランプキンをおおいに憤らせることになったが、これが2ラップ目の驚異的な集中力を発揮させることにもなった。2ラップ目、ランプキンは15のセクションを、14のクリーンとたった1個の3点で終えたのだった。これでは、ライバルたちのつけいるすきは、まったくない。
2ラップ目の藤波は、比較的簡単な12セクションで大クラッシュ。しかしスコアは、ランプキンに次ぐこの日2番目によいラップスコアを叩いて11点。トータル29点は、1ラップ目の出遅れを挽回して、藤波を2位のポジションに押しあげた。1ラップ目に好調だったフレイシャとカベスタニーは、ともに2ラップ目に調子を落とし、それぞれ6位と8位に甘んじることになってしまった。
表彰台の最後の一角を得たのは、オトヤンチームの“ホンダ”ライダー、スペイン人のマルセル・ジュストリボ(モンテッサ−ホンダ)だった。コロメは1ラップ目の遅れをややとり戻してはいたが、7位に終わっている。

両日ともに2位、日本期待の藤波
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第2日目
2日目の日曜日は一日中雨のトライアルだった。昨日よりもさらに悪化したセクションのために、主催者は5個のセクションの難易度を下げた。しかし、ライダーにとっては1日目よりさらに難しいセクションに苦戦する。
パドック前に作られた第1セクションで最初のハプニングが起こった。トップライダーのほとんどがクリーンしているセクションで、藤波が5点をとってしまったのだ。
ランプキンは好調な走りで最初からリードしていたが、第11セクションでセクションカードを動かしてしまい、5点の判定を受ける。このミスでランプキンはナーバスになり、さらに最終セクションで2点をロス。計17点で消化する。
そんな中、藤波貴久とスペインのコロメが同点の15点でトップに立った。そして17点のランプキンは3位である。そしてマルセル・ジュストリボ(モンテッサ−ホンダ)、マーク・フレイシャ(ガスガス)、アダム・ラガ(ガスガス)の3選手が同じ21点で続く。初めての日本大会で藤波貴久がトップに立ったことに観客は大いに沸き、競技は2ラップ目へ進行した。
しかし藤波が第7セクションの登りでクラッシュ。右足を負傷し、頭部を強打。応急処置をして再スタートしたが気持ちはかなりナーバスになっている。そして最終セクションで2点をとり、2ラップ目を計15点で終了、合計30点でランプキンに次ぐ2位でゴール。
そんな中、ランプキンは1ラップ目のミスを吹き飛ばすような2ラップ目の走りを見せ続けた。2ラップ目はわずか5点の減点で消化。トータル22点で競技を終える。
初めてのトライアル世界選手権日本大会「ウイダー日本グランプリ」は大成功をおさめたと言えよう。悪天候にかかわらず2日間トータルすれば2万3,500人もの観客を動員し、会場内の山々には歓声とどよめきが響き続けた。このイベントが例年の恒例イベントとなり、さらにトライアルが日本に定着していくことを願いたい。

モンテッサ−ホンダが独占した2日目の表彰式
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第1日目
D.ランプキン(1位)
今日の走りは、まずまず満足のいくものだった。1ラップ目、私の犯したミスは最終セクションのたったひとつといってよかった。今回の世界選手権は、オーガナイザーはとても苦労して、いい仕事をしたように思う。セクションも素晴らしかった。明日に向けて、セクションの手なおしは必要ないように思う。
藤波 貴久(2位)
最初のラップでは、とてもプレッシャーを感じていた。初めての日本大会ということもあったと思う。それで、些細なミスを重ねてしまった。たとえば、ハンドルを曲げてしまった最終セクションでのクラッシュがそうだ。しかし2ラップ目は悪くなかった。もっと挽回のチャンスもあったのだが、簡単な12セクションでまたクラッシュし、肩を負傷してしまった。2位のリザルトには、満足している。
M.コロメ(7位)
今日の滑り出しは、とても悪かった。なにもかもがよくなくて、オブザーバーも、私には厳しすぎた。前進をしているのにバックをとられたところもあった。私はこれで5点を失った。ただしセクションはそんなにむずかしくなく、簡単でもなく、素晴らしかった。
第2日目
D.ランプキン(1位)
11セクションでカードに触れた5点によって、1ラップ目に3位になってしまった。この判定は精神的に大きなショックを受ける。その影響で最終セクションで2点をとってしまったのだ。2ラップ目には早まわりを心がけ、精神集中することができた。
藤波 貴久(2位)
1ラップ目の第1セクションでとった5点で、今日はダメかなぁと思いました。でも1ラップ目でトップと聞いたのは意外でした。それを知ってナーバスになったわけではありません。問題は第7セクションの転倒で頭を強打し、右足を負傷したことです。でも2日間とも2位になり、こんなに多くの日本の皆さんに自分の走りを見てもらって満足しています。
M.コロメ(3位)
今日は2ラップ目にたくさんのミスをしてしまった。特に第4セクションで2回共に5点をとったことは自分も信じられない出来事でした。雨でよく滑るセクションでしたが、セクション設定も、オーガニゼーションも素晴らしかった。
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