V.ロッシが猛烈な追い上げで3位に
250ccルーキー加藤が予選2番手から独走、今季2勝目!
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3位でフィニッシュ、4戦連続表彰台のロッシ
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250cc、日本GP以来の優勝、加藤大治郎
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グランプリ初開催となったポルトガルGPは、3日間ともに快晴。前戦チェコGP同様、雨に苦しめられたシーズン中盤戦とは対照的に、完全なドライコンディションの中で行われた。しかし、選手たちを苦しめることになったのは、この地方独特の強風。連日、5メートル前後が吹き荒れて、バイクのセッティングを一層難しいものにした。
そんな状況の中で、500ccクラスの初日の予選は、1秒の中に13人の選手がひしめく大混戦となり、K.ロバーツ(S)が暫定PPを獲得。ホンダ勢は前戦チェコGPから調子を上げている岡田忠之が5番手。A.クリビーレ6位、S.ジベルノー8位、V.ロッシはセッティングに時間を費やして17番手と、2日目の巻き返しに期待が膨らんだ。しかし、2日目も大混戦。抜き所のないサーキットだけに、クリアラップを取れるかどうかがラップタイムに大きく影響したが、その混戦の中で好走のマッコイが初PPを獲得。ホンダ勢は、VツインNSR500を駆るJ.グールベルグが2番手、岡田6位、A.バロス7位、クリビーレ9位、ジベルノー11位、ロッシ12位と、V4ホンダ勢は2列目と3列目から決勝に挑むことになった。
一周4.182kmのエストリルは、約1キロの長いストレートと13のコーナーを組みあわせた独特のサーキット。スタートラインから1コーナーまでが長く、決勝レースは序盤の位置取りが重要な鍵を握る。それだけに、スタートから激しい戦いとなった。そんな中で好スタートを見せたのが3列目から一気にトップグループに浮上したジベルノーで、マッコイ、ロバーツ、青木宣篤(S)と続いた。しかし青木は一周目に転倒と、序盤から熱い戦いとなった。その後、マッコイがトップに立ち、ロバーツ、ジベルノーと続いたが、ジベルノーは18周目に、惜しくも転倒リタイヤとなった。
その後方では、スタートに遅れたV.ロッシが好走を見せて、ぐいぐいと追い上げる。一周目11位から、5周目には8番手、10周目には5番手に浮上して、トップグループを視界に入れることに成功。さらにロッシは追撃の手を緩めず、17周目にはM.ビアッジ(Y)を交して4番手、18周目にジベルノーの転倒で3番手へ。最終ラップにはロバーツの背後に迫る好走を見せて3位でフィニッシュ。4戦連続で表彰台に立ち、ランキング2位をキープ。87〜88年にポルトガルGPはスペインで開催されているが、初の自国開催となったポルトガルGPに集まった4万人の観客を沸かせた。
予選9番手スタートのA.クリビーレは、一周目15番手と大きく出遅れたが、猛烈な追い上げで最後は6位に浮上。予選6番手からスタートの岡田忠之も、スタートに失敗して一周目12番手。最後はクリビーレの後に迫ったが7位でゴールするのがやっとだった。

250ccスタートから激しい戦い
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250ccクラスは、スタートから激しい戦い。予選2番手の加藤大治郎がホールショットを奪い、宇川徹、M.メランドリ(A)、中野真矢(Y)、A.ウエスト、O.ジャック(Y)と続いた。2周目には宇川がトップに浮上。加藤を引き連れて3周を終えたが、4周目に再び加藤が逆転。その直後に宇川が転倒するというハプニングで、背後にいた中野が、転倒した宇川のバイクに乗上げて転倒と、ともにリタイヤとなった。こうして優勝争いは、加藤とジャックの二人に絞られることになる。そして第5戦フランスGP以来、7戦ぶりにフロントロースタートの加藤が、強風をものともせずに快走。第3戦日本GP以来の優勝を飾った。2位にはジャック。3位にはメランドリ。序盤、トップグループにつけたウエストが4位と健闘した。
125ccクラスは、PPスタートの宇井陽一(D)がホールショットを奪い、M.ポジャーリ(D)、A.ヴァンサン(A)、E.アルサモラと続いた。しかし、中盤になって、宇井が転倒、ポジャーリがリタイヤして、トップグループにいたアルサモラがなんなくトップに浮上。今季2勝目を飾った。東雅雄は最終ラップまで3位争いの集団にいたが、痛恨の転倒リタイヤ。上田昇も序盤に転倒リタイヤとなった。優勝したアルサモラは、この優勝で、ランキング2位の宇井に14ポイント差、トップのロカテッリに29ポイント差と迫った。

表彰台のロッシ
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V.ロッシ(500cc/3位)
今日は3列目からのスタートで厳しかった。終わってみれば3位になっていたなんて、手品で最後の最後に手の中からウサギを出したようなもんじゃないかなと自分でも思った。予選はセッティングが決まらなくて、結局、決勝は5月のテストの状態に戻して走った。このコースは、タイヤの消耗が激しく、そんな状態でラストラップにファステストラップを出せたことは、本当に嬉しかった。レースを終える毎に、自分の中でバイクを操るアドバンテージが広がっているように感じるが、もうヘトヘトの状態で、ラストラップにファステストラップを叩き出せたことは、すごい自信になった。
A.クリビーレ(500cc/6位)
スタートに失敗しただけじゃなく、一周目にだれかにぶつけられて、アウトにはらんでしまった。それで大きくポジションを落としてしまったが、落ち着いて自分のペースで追い上げようと思った。タイム的には、トップグループと変わらなかったし、一周目のハプニングがなければ、表彰台を狙えたはず。次のバレンシアでは、いいレースが出来ると思っている。
岡田 忠之(500cc/7位)
スタートに失敗したのがすべて。これがなければ、もっと、いい結果を残せたと思う。スタートに失敗したのは、シグナルの変わるタイミングをミスして、一度、クラッチをつないでしまった。それでブレーキを掛けてしまったこと。完全に自分のミス。それに今日は風が強くて、コースの外に押し出されないように神経を使った。最後はグールベルグの後に着いたが、抜けなかったのは残念だった。
S.ジベルノー(500cc/リタイヤ)
凄い転倒で、体中があざだらけになってしまった。転んだのは、残念だが、自分としては、いいレースが出来たと思っている。トップグループでリヤに17インチを使っていたのは、自分だけだった。転倒する前は、スロットルを開けると必ず滑っていた。それでも、一度、抜かれたロッシにだんだん追いついていたし、挽回出来るんじゃないかと思った。結果は残せなかったが、バイクはいい方向に行っている。次のバレンシアでは、いいレースを見せたい。

表彰台の中央に加藤
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加藤大治郎(250cc/優勝)
中盤戦になってから、思うような走りが出来なくて、それに結果も残せていなかったので、なんとしても勝ちたいと思っていた。今回は、予選からいい感じで走れていたし、決勝でも、走ることに集中出来た。トップに出た後に、宇川さんと中野君の二人が転んだのは知らなかった。サインボードでタイムと残り周回数だけを見ていた。中盤からは一人になってしまったが、今日は風が強くて、何度も転びそうになった。それで逆に走りに集中出来たのかも知れない。ヨーロッパで勝てて、本当に嬉しい。
A.ウエスト(250cc/4位)
みんなも同じだと思うが、今日は風に最後まで悩まされた。何度も転びそうになるくらい振られたし、その時に、スクリーンにヘルメットをぶつけてしまった。それでスクリーンが壊れて、走りにくくなってしまった。それにリヤタイヤのグリップも落ちて、高速コーナーではタイヤが滑りっぱなしになったのは辛かった。今回のレースの反省点は、予選のポジションが悪かったこと。こういう抜きにくいコースでは、3列目はさすがに厳しい。
宇川 徹(250cc/リタイヤ)
残念としかいいようがない。ほんと、やってしまったという感じだ。転んだ原因は、シフトのタイミングに失敗したということもあるけど、それ以上にアクセルを開けるのが早かった。あのまま走っていれば、勝てるチャンスがあったと思うし、本当に残念だった。
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