激しい優勝争いで、最後はバロスが2戦ぶり2勝目!ロッシが2位
250cc宇川が好スタートから優勝争いを演じ2位、加藤は4位

オランダGP以来の今季2勝目を飾ったA.バロス
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今年で3回目の開催となるザクセンリンクのドイツGPは、4戦ぶりのドライコンディション。久しぶりに青空の下で熱い戦いが繰り広げられることになった。
500ccクラスは、ポールポジションのK.ロバーツ(S)の好スタートで始まり、序盤は、ロバーツを先頭に、L.カピロッシ、A.バロス、M.ビアッジ(Y)、阿部典史(Y)らがトップグループを形成した。しかし、中盤には予選2番手で、このコースを得意とするバロスがトップの座を奪い、ロバーツ、カピロッシ、原田哲也(A)、ビアッジのトップ集団へと変化。やや遅れて、V.ロッシ、A.クリビーレ、岡田忠之、グールベルグのホンダ勢がセカンドグループを形成することになった。

バロス、ロッシ等による激しいトップ争い
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一周3.508kmのザクセンリンクは、ストレートが短く、コース幅も狭いテクニカルコース。抜きにくいことから接戦となるレースが多く、予選から激しい戦いが繰り広げられたが、決勝でも、たった一度のミスで優勝争いから脱落することから、ミスの出来ない緊張した戦いが続いた。
そんな状況の中で、予選13番手と低迷しながらウォームアップで調子を上げていたクリビーレと、NSR500Vに乗るグールベルグが転倒して脱落する波乱。一方、予選は6番手ながら、前戦イギリスGPの初優勝で勢いに乗るロッシと、今大会で調子を取り戻した岡田の二人はペースを上げてトップグループに接近。優勝争いに加わり、終盤は7台へとトップ集団は膨れ上がることになった。
その中で、ロッシが、ブレーキングで次々に前者をパスするという素晴らしい走りを披露。抜きどころのないサーキットで、またしてもスーパーラップをたっぷりと見せつけた。そして、ラスト5周ではついにバロスを抜いてトップに立ち、7万2千の満員の観客の声援を一身に集める。しかし、トップの座を奪われたバロスも必死の猛追撃。ラストラップまで二人が息詰まる戦いを繰り広げ、ラスト3周でロッシを抜き返したバロスが、真っ先にフィニッシュラインを駆け抜け、第8戦オランダGP以来、今季2勝目を飾った。
最後までバロスを追いつめたロッシは惜しくも2位。3位にロバーツ。追い上げた岡田は5位。最終ラップまで3位を走っていたカピロッシは、最終コーナー手前のコーナーでロバーツに交され、その際にコースアウトを演じて6位へとポジションダウン。セカンドグループの中で健闘したジベルノーは、8位に終わった。

宇川は惜しくも2位
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250ccクラスは、O.ジャック (Y)がホールショットを奪い、それを宇川徹、中野真矢(Y)、加藤大治郎が追うという展開。しかし、予選から好調だったジャックがジリジリと宇川を引き離して優勝。気温の低かった予選日とはうって変わり、気温が上昇した晴天の中で、ベストなタイヤの選択が出来なかった宇川は惜しくも2位。同じく、上昇した路面温度にタイヤのグリップに苦しんだ加藤大治郎も、序盤の快走を生かせず、4位に終わった。A.ウエストはスタート直後の波乱でコースアウト。一周目30位までポジションを落としたが、10位まで追い上げる熱走を見せた。
125ccクラスは、スタート直後の1コーナーで起こった多重クラッシュで7台が転倒するという波乱の幕開け。予選4番手の上田昇、5番手の東雅雄、6番手のE.アルサモラなどがこの転倒に巻き込まれて転倒。東とアルサモラはリタイヤ。上田は再スタートを切ったが13位に浮上するのがやっとだった。優勝したのは宇井陽一(D)。第7戦カタロニアGPの予選で手を負傷、復帰2戦目のM.ジャンサンティが、5位と健闘した。
A.バロス(500cc/優勝)
今日は完璧な戦いが出来た。序盤、ロバーツが前にいた時は、そんなにペースは速くなかったが、ロッシが来てからは、ペースが上がった。しかし、今日は自分がレースの主導権を握っていたと感じていたし、勝てる自信はあった。これから先、チャンピオンシップがどうなるのか分からないが、いつでも勝てるように頑張りたい。

ポディアムのバロス(中)とロッシ(左)
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V.ロッシ(500cc/2位)
予選で風邪を引いていたり、転んでしまったことを考えると、今日の結果には満足している。でも、スタートに失敗したおかげで、中盤までは本当に大変だった。スタートに失敗したのは、シグナルが変わるのが遅くて、慎重になりすぎたせい。それで16番手までポジションを落としてしまったけれど、どんどん、追いつくことが出来た。バロスを抜いてからは勝てると思っていたし、抜かれても抜き返せると思っていた。ところが、コーナーではらんでしまって、抜くことが出来なかった。でも、何戦か前の自分なら、今日のような走りをしていたら、絶対に転んでいたなと思っているし、それを考えれば、いいレースだったような気がする。
岡田 忠之(500cc/5位)
予選は10番手だったが、走りそのものは、悪くはなかった。ここはクリアラップを取るのが難しいし、3列目スタートだったが、決勝はいい走りが出来ると思っていた。しかし、スタート直後の1コーナーで大きく出遅れてしまった。スタートそのものは悪くはなかったのだが、アウト側にいて、行き場がなくなってしまった。それでも、何とかトップグループに追いつくことが出来た。しかし、そこからはなかなか前に出ることが出来ず残念だった。それでも、これまでのレースと較べれば、はるかにいい走りが出来たと思っているし、次のレースに繋がった。次のチェコではいい結果を残したい。
S.ジベルノー(500cc/8位)
今日は予選に較べて気温が上がったということで、予選で使ったことがないタイヤを選択した。そんなこともあって、最後まで、気持ち良く走れなかったような気がする。それでも、だんだん、調子が戻っていることを感じているし、いい方向に向かっていると思う。開幕から抱えている旋回性の問題を一日も早く解決したい。
A.クリビーレ(500cc/リタイヤ)
ウォームアップで5番手に付けたし、2日間の予選よりははるかにいい状態になっていた。それでも序盤は慎重に行こうと思っていたし、ロッシが自分を抜いて行ってからは、後に付いていくことにした。途中まではいい感じだったのだが、突然、リアに何かがぶつかって転んでしまった。残念。それしか言葉はない。

グリップに苦しみながら4位の加藤
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宇川 徹(250cc/2位)
予選ではいいセッティングを見つけることが出来たが、決勝は、気温も路面温度も上がり、タイヤに苦しいレースとなってしまった。中盤まではなんとかついていけたが、リヤタイヤのグリップがなくなって、ジャックに離されてしまった。しかし、ここでは一度も完走したことがなかったし、それを思えばまずまずだった。
加藤大治郎(250cc/4位)
スタートも悪くなかったし、3番手の中野に追いつくまではいい感じで走れていた。それが、追いついてから、左コーナーだけ、タイヤが思うようにグリップしなくて、うまく走れなくなった。最後は後の集団に追いつかれてヒヤヒヤしたが、なんとか、4位でゴールすることが出来た。結果には満足していないが、最後まで全力を尽くした。
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