期待のルーキー、V.ロッシが500cc参戦9戦目にして初優勝を飾る
250ccは宇川徹が4位、加藤大治郎は10位

ドニントンで3クラス制覇果たしたV.ロッシ
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後半戦のスタートになった第9戦イギリスGPは、過去2戦同様、ウエットコンディションのレース。全クラスで激しい戦いが繰り広げられた。
500ccクラスは、R.ラコーニ(Y)が一周目をリードしたが、すぐにA.バロスがトップの座を奪還。ラコーニ、S.ジベルノー、阿部典史(Y)が続く展開となった。しかし、中盤になってK.ロバーツ(S)がペースを上げてトップに立ち、J.マックウィリアムス(A)、予選4番手のV.ロッシが素晴らしい走りを披露して上位に浮上と、目まぐるしくポジションを入れ替えた。

し烈な優勝争いを制したロッシ(中)
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ロッシは、スタートで出遅れたが、周回を重ねる毎にポジションを上げる好走。中盤には2番手に浮上。ロバーツとマックウィリアムスとし烈な優勝争いへと発展することになったが、ラスト4周でトップに浮上。そのまま後続を制し、500cc9戦目にして初優勝。大型ルーキーぶりを遺憾なく発揮することになった
ロッシは、初日の予選で2番手と好調なスタートを切り、2日目にはクリアラップを取れず4番手に後退したが、決勝では濡れた路面を見事に克服。次第に路面が乾いていくという難しいコンディションの中で、すべての選手がタイヤの摩耗に苦しむことになったが、21歳のルーキーは、素晴らしいバランス感覚でホンダNSR500のポテンシャルを遺憾なく発揮、ホンダ500ccに今季4勝目をプレゼントすることになった。
チャンピオン、A.クリビーレは、予選8番手からスタートに失敗して序盤に11番手まで後退。タイヤのグリップ不足に最後まで苦しみ、不本意な7位に終わった。予選10番手の岡田忠之は、ウォームアップでトップタイムをマーク、本番に向けて期待が膨らんだが、ペースを上げられず10位、予選8番手スタートのS.ジベルノーは、序盤は3番手に付ける好走を見せたが、路面が乾き始めるにしたがってペースを落とし、8番手に終わった。前戦オランダGPで優勝したA.バロスは序盤にトップに立ったが、中盤からペースを落とし14位。対照的に序盤にペースを上げられなかったL.カピロッシが終盤に追い上げて4位でフィニッシュ。雨となった過去2戦のカタロニア、オランダ同様、天候の読みとセッティングが、結果に大きな影響を果たすことになった。
優勝したロッシは、これで125cc、250ccクラスに次いで、500ccでも勝ち、ドニントンで3クラス制覇を果たした。

終盤の雨で、4位フィニッシュの宇川
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250ccクラスは、ウエットで始まり、次第に路面が乾くという展開。終盤になって再び、雨足が強くなって、タイヤの選択が大きく勝負を分ける大波乱のレース。序盤から終盤に掛けて、フロントにレイン、リアにインターミディエイトを選択したO.ジャックと宇川徹がレースの主導権を握ることになった。しかし、中盤になって再び雨足が強くなりレインタイヤを選択していたR.ワルドマン(A)と松戸直樹(Y)が猛追撃。トップのジャックとの間にあった1分以上の差をあっという間に詰めて、ワルドマンが逆転優勝。ラスト2周まで2位を走っていた宇川は、最終ラップにワルドマンと松戸に交されて、悔しい4位に終わった。前後にカットスリックを選択した加藤大治郎は、乾き始めた中盤には5番手まで浮上したが、終盤の雨でペースを落として後退。10位でゴールするのがやっとという悔しいレース。A.ウエストは8番手を走行していたが、5周を残して転倒リタイヤに終わった。32台中完走19台というサバイバルレースで貴重なポイントをゲットした宇川は、トップのジャックを15ポイントで追い、加藤も26ポイント差で首位を追うことになった。
125ccクラスは、ドライコンディションで始まったが、8周を終えた段階で雨となり中断。レースは2ヒート制で行われた。第1レースは宇井陽一(D)がリード。第2レースは上田昇と東雅雄の激しいトップ争いとなり、最終ラップに東が上田を交してトップでフィニッシュ。しかし第2レースでも3番手でフィニッシュした宇井が優勝を飾り、第1レースで2位、第2レースで4位のE.アルサモラが2位。上田は第1レースの出遅れが響いて3位。東も5位と悔しいレースとなった。

ポディアムで笑顔のロッシ
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V.ロッシ(500cc/優勝)
今回のレースは初日からいい感じで走ることが出来た。その理由は、フロントのセッティングがバッチリ決まったためで、初日は2番手。2日目は4番手に落ちてしまったが、クリアラップが取れなかっただけのことで、決勝はいい走りが出来ると思っていた。決勝は雨となったが、ウエットでもフロントのフィーリングが良くて、特にブレーキングでアドバンテージがあったと思う。それよりも、125と250の頃は、雨のレースが苦手だったし、NSRのお陰で今回は素晴らしいレースが出来て嬉しかった。一年目に500で優勝することなんて考えられなかったし、ほんと、最高の気分。これからも勝つつもりで走るよ。
A.クリビーレ(500cc/7位)
今回はスタートに失敗してしまったことと、序盤にロッシとぶつかりそうになって、大きく遅れてしまったのが痛かった。そんなことがあったので、最初は慎重に走ったが、路面が乾き出してもペースを上げることが出来なかった。タイヤはみんな同じだし、タイヤの問題ではないと思うし、セットアップがまずかったのかとも思う。それにしても、こんな訳の分からない理由で成績が悪いのは初めてのこと。チャンピオンシップのことを考えても、まずい結果だった。
S.ジベルノー(500cc/8位)
スタートは良かったし、路面が濡れているときは、いい感じで走れていた。でも、乾き始めてからリアに問題が発生して、ペースを上げることが出来なかった。リアが滑って、思ったように走れなかった。今回、僕が使ったエンジンは、他のレプソル勢とは違うエンジンだったし、その選択ミスだったのかも知れない。ウォームアップでは良かったし、いいセッティングを見つけたと思った。それだけに今日の結果は残念だった。
岡田 忠之(500cc/10位)
今日は何が悪かったのか、分からない。タイヤはみんな同じだし、タイヤの問題ではないと思う。ただ、フロントとリアの動きがばらばらのような感じで、コーナーに入っていくと、フロントが起き上がるような感じだった。朝のウォームアップではいい感じだったし、ウエットになって、何が変わってしまったのだろう。こんな結果に終わって残念。せっかくいい感じになったと思っていただけに、残念。
宇川 徹(250cc/4位)
今回は、予選こそ3番手だったけど、いいセッティングを見つけることが出来たし、決勝を楽しみにしていた。しかし今回も雨。しかも、予選では一度もウエットタイヤで走ったことがなかったし、決勝では難しい状況になった。僕はフロントにレイン、リアにインターミディエイトを選択したが、自分ではいい選択だと思った。しかし、終盤の雨はどうしようも出来なかった。今日はあれが精いっぱい。限界だった。
加藤大治郎(250cc/10位)
また雨のレースになってしまった。これで3戦連続。今回は予選をドライで走れただけ、いままでよりは良かったと思う。でも、やっぱり初めてのサーキットで雨のレースは難しかった。グリットに並んだとき、雨は降っていたけれど、上がると思ったし、前後にカットスリックを選んだ。実際、乾き始めた中盤は5番手まで追い上げることが出来たし、いい感じだった。でも、終盤に雨が強くなってからは、転ばないように走るのが精いっぱい。とにかく、雨の中をカットスリックで走るのは怖かった。何回も転びそうになったけれど、今日は、完走出来て良かった。
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