500cc今季初の表彰台独占!バロス、クリビエ、カピロッシらが
2ヒート制のレースで見事な走り!250ccは宇川徹が今季2勝目

7年ぶりの優勝を飾ったA.バロスの走り
|
雨が降ったり止んだり。気まぐれな天候が選手たちを悩ませることで有名なオランダGPは、今年も健在だった。3日間に渡って断続的に降り続けた雨が、最後まで選手たちを苦しめることになったからだ。しかし、これが、この大会のひとつの見どころ。降ったり止んだりの”ダッチウェザー”の中を、約10万人の観客が詰めかけて、冷たい雨の中で熱い戦いが繰り広げられることになった。
500ccクラスの予選は、2日ともに辛うじてドライコンディションで行われたが、ハーフウェットからドライへと変わる難しい状態で、去年、岡田忠之がマークした2分1秒564をだれも破れず。このサーキットを得意とするL.カピロッシが2分2秒058で今季初のPPを獲得。2番手に調子を上げてきたA.クリビーレ、3位にK.ロバーツ(S)、4位にA.バロスとフロントローにホンダ勢が3台、本番に期待が膨らんだ。このコースのベストタイムを持つ岡田は7番手。自己ベストには届かなかったが、フリー走行では上位に付けて登り調子をアピールすることになった。

激しいトップ争いを繰り広げるホンダ勢
|
決勝は、先に行われた125ccクラスと250ccクラスがウエットレースとなったが、500ccクラスはドライコンディションでのスタート。ホールショットを奪ったロバーツが、オープニングラップで転倒と波乱の幕開けとなった。さらに4周目に差しかかったところで再び雨となり、中断された。
第2レースはウエット宣言。中断された時点で好ポジションに付けていたホンダ勢のカピロッシ、岡田、バロス、ロッシが第2レースのフロントローを占めた。しかし、路面の状況は刻々変化。タイヤの選択に選手たちも頭を悩ませることになった。グリット上で、インターミディエイト、スリック、前後にインターとスリックを使い分ける3つのグループに分かれた。
レースはウエットで始まり、次第にドライになる展開。フロントにカットスリック、リアにスリックを選択したバロスと同じタイヤの組み合わせを選択、第2レース2列目6番グリットからスタートしたクリビエとの一騎打ちとなった。この二人の戦いは最終ラップまで続いたが、最終コーナーでバロスを交したクリビエがトップでフィニッシュ。しかし、第1レースで先着しているバロスが、総合タイムで約2秒上回り、7年ぶりの優勝を飾った。2位にクリビエ。3位には、ウォームアップで転倒、左手の甲を負傷しながら両レースともに熱走を見せたカピロッシが入り、今季初のホンダ勢表彰台独占となった。
第1レースで2番手と好走。調子を取り戻した岡田は第2レースでカットスリックを選択したのが裏目に出て11位。第2レースの中盤までトップグループに付けて好走を見せたS.ジベルノーもカットスリックを選択したことで後半ペースを上げられず7位に終わった。第1レースで4番手につけたロッシは、第2レースで好走を見せたが、岡田、ジベルノー同様、カットスリックを使ったことでペースを上げられず悔しい6番手に終わった。

チームメート、ウエストを追う宇川
|
250ccクラスは、スタート直後は強い雨となったが、中盤から終盤に掛けて雨が上がり、次第に路面が乾いていくという難しいコンディション。序盤は中野真矢(Y)、O.ジャック(Y)がレースの主導権を握ったが、中盤からは宇川徹、A.ウエストのチームメート同士の一騎打ちとなった。その中で、予選こそ5番手だったが、アッセン独特の天候に備えて、ドライセッティングでレインタイヤを使うという状況を想定して走り込んでいた宇川が独走。最後は2位のジャックに約6秒もの大差を付けて今季2勝目を飾った。中盤まで好走を見せたウエストは4位と初表彰台を逃した。予選6番手からスタートした加藤大治郎は、3日間に渡って断続的に降り続いた雨に最後まで苦しめられて、決勝は8位に終わった。2勝目を挙げた宇川はランキングで3位に浮上。トップとの差を12ポイントとした。ランキングで4位にダウンした加藤もトップと16ポイント差で踏ん張る力走。後半戦の巻き返しに期待が集まった。
125ccクラスは、PPスタートの宇井陽一(D)がスタートから逃げて今季3勝目。予選2番手から今季初優勝を狙った上田昇は、序盤の出遅れが響いて、惜しくも2位。昨年の優勝者の東雅雄は、ペースを上げられず9位に終わった。

ポディアムのバロス
|
A.バロス(500cc/優勝)
大変な一日だった。というか、雨に悩まされ続けた3日間だった。今日はタイヤの選択が勝負を決めたレースだった。しかし、自分を含めてスリックを選択した選手も、雨のことを考えるとリスクは大きかった。実際、スタートした直後は、カットスリックがベストだったのではないかと後悔した。でも、次第に乾いて来て、結果として良かった。アレックスとの優勝争いになったが、2秒のリードがあるのは知っていた。彼の前でゴールしたかったが、でも、もっとも高いところからシャンペンファイトが出来たし、最高のレースだった。
A.クリビーレ(500cc/2位)
今回のレースは、イタリア、カタロニアと転倒リタイヤが続いていたし、とにかく最後まで走ろうと思っていた。とにかく自信を回復させたかったし、予選が始まるまではかなりナーバスになっていた。しかし、予選が終わった時点で、自分の走りが戻ってきたような気がしたし、決勝に向けて自信が戻っていた。レースは雨で中断して、難しいレースになったが、タイヤの選択は結果として良かったと思う。最後の5ラップはスライドが激しくて、何度も転びそうになった。無理が出来なかったし、守りに入ってしまった。バロスの前でゴール出来たのは良かったけどね。これでちょうどシーズンも半分を消化した。ランキングは5位だが、今回のロバーツを見れば分かる通り、まだ、何があるかわからない。最後まで頑張るよ。
L.カピロッシ(500cc/3位)
朝のウォームアップで左手の甲の骨を折ったことを考えれば、決勝に出られたし、3位にもなれたのだから、今日の結果には満足している。確かに手は痛かったけれど、走っているときは痛みは感じなかった。第1レースは好スタートでトップに出たが、あのままレースが続いていたとしても、勝つのは難しかったと思う。バロスと二人で表彰台に立てたし、今日のレースは嬉しかった。
V.ロッシ(500cc/6位)
2日間の予選は、常にドライセッティングを詰めることに専念していた。だから最初のレースはいい走りが出来たし、あのまま中断しないでレースが続いていたら、勝てたと思っている。第2レースはタイヤの選択が勝負を決めたし、仕方がない。僕の前でゴールした選手はみんなスリックだったしね。でも、ゴールしてからすぐに雨になったし、自分のタイヤの選択は間違っていなかったんじゃないかと……。でも、ちょっと遅かったね。
S.ジベルノー(500cc/7位)
今回のレースはタイヤの選択がすべてを決めたが、あの時点ではなにがベストなのかはだれにも分からなかった。今回はどちらのレースもいいスタートが切れたし、第2レースは、もっと雨が降り続いてくれればと思っていた。コースが乾いて遅れてしまったが、タイヤの選択は結果論でしかないし、仕方がないと諦めるしかない。
岡田 忠之(500cc/11位)
予選を終えた段階で、かなりバイクはいい状態に戻っていた。決勝に向けてセッティングもうまく行ったし、自信もあった。最初のスタートは、思っていた通りの走りが出来たが、第2レースはタイヤの選択がすべてを決めてしまった。インターミディエイトのアドバンテージはなかったし、スリックを選べば良かったと思う。勝てるレースだったし、本当に残念。

トロフィーを受け取る宇川
|
宇川 徹(250cc/優勝)
スタートしてすぐに強い雨になって、ペースを落とすことにした。前を走る中野とジャックも同じようにペースを落としたけれど、アンソニーだけが凄い勢いで走っていた。このままだと遅れてしまうと思ったので、ペースを上げて追いつくことにした。路面が乾いて来てからは、ペースを上げることが出来たし、後続を振り切ることが出来た。コンディションが変わりやすいので、予選からドライセッティングだけで走って来たし、それが結果としてズバリと当たった。とにかく勝って嬉しいし、トップとのポイント差も詰まった。タイトル獲得に向けて、残り8戦、全力で走るだけ。
A.ウエスト(250cc/4位)
ソフトコンパウンドのタイヤをチョイスしていたし、もう少し雨が降り続いてくれたらと思った。レースの序盤は前の選手の水しぶきで全然前が見えないくらいだったが、どんどんポジションを上げることが出来た。表彰台に立てなかったのは残念だが、今日のレースは自信になった。
加藤大治郎(250cc/8位)
今日はあれが精いっぱい。ドライセッティングで、レインタイヤで走ったが、雨が強くなってペースを上げられなかった。2日間の予選が、降ったり止んだりで、ちゃんとセッティングを詰められなかったのが痛かった。
|