波乱の開幕、南アフリカGPは上位陣が次々に脱落する予想外の展開
A.クリビーレ5位でフィニッシュ、2年連続タイトル獲得に向けて好スタート
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序盤トップ争いから3位フィニッシュのカピロッシ
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見事2位でインタビューに答える加藤
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開幕戦南アフリカGPは、予想外の展開となった。南アフリカGPの行われるウェルコムサーキットは、今年で2回目の開催。路面コンディションの変化が激しく、タイヤの選択の難しいサーキットだが、今年もタイヤの選択が勝負を分けることになった。
優勝したのは、予選9位のG.マッコイで、勝因はただ一人、リアに16・5インチのミシュランタイヤをチョイスしたこと。17インチのタイヤを選択したライバルたちを次々にパスして、初優勝を飾った。
そんな状況の中で、予選で初PPを獲得したS.ジベルノーはトップグループにつけるも終盤に痛恨のコースアウト。復帰する際にグラベルに足元をすくわれて転倒。去年の大会でPPを獲得、このサーキットのベストタイムを持つ岡田忠之も、トップグループにつけたが、転倒リタイアとなった。
こうして、優勝候補のレプソル陣営から二人の選手がコース上から姿を消す波乱。注目のルーキー、V.ロッシも序盤に転倒リタイアと、予選日とはまったく違う路面コンディションに優勝候補の選手たちが、次々に翻弄されることになった。
しかし、ディフェンディングチャンピオン、A.クリビーレは慎重な走りで波乱を乗り切る。K.ロバーツがじりじりとペースを落とし、M.ビアッジがリタイアする中で、5位でフィニッシュ。優勝と表彰台こそ逃したが、チャンピオン争いで有利に立った。

250cc表彰台は日本人が独占
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こうして、波乱の展開となった500ccクラスとは対照的に、250ccクラスは、順当な戦い。PPの中野真矢、2番手の宇川徹、3番手の加藤大治郎の戦いとなった。
スタートで飛び出したのは中野で、それを加藤と宇川が追う。先行逃げ切りの作戦に出た中野に対し、硬いコンパウンドを選択、後半の追い上げに掛けたホンダ勢だが、宇川はトラブルを抱えてペースダウン、加藤は作戦通り、後半の追い上げに成功したが、わずかに届かず、ともに開幕Vを逃した。しかし、ライダー、マシンともに、そのポテンシャルを遺憾なく発揮して、今季のタイトル獲りを強烈にアピールした。
125ccクラスは、M.ジャンサンティが2位。チャンピオン、E.アルサモラが3位と、優勝こそ逃したがホンダ勢が上位を独占した。今季のタイトル獲りの期待が集まる上田昇は5位。スタート直後にコースアウトして大きく順位を落とした東雅雄は、追い上げて9位。
A.クリビーレ(500cc/5位)
スタートに失敗して阿部に前をふさがれてしまった。そのおかげで前に逃げられてしまった。抜いた時にはもうタイヤがきつくて、ペースを上げることが出来なかった。このグランプリは、自分の可能性を試すためのレースだった。オフで体調を崩したのは、チャンピオンになったことで、いつもと違う多忙なオフになったせいだが、今回のレースは自信になった。今回の表彰台の3人はチャンピオンシップに関係ないし、これからだね。
S.ジベルノー(500cc/リタイア)
今日はゴールできなくて残念だった。トップグループにいたが、チェカとカピロッシが逃げ始めたときに、追い上げなくてはと思ったのだが、張り切りすぎてコースアウトしてしまった。コースにもどろうと思ったのだが、草に足元をすくわれてしまった。今日はみんな同じ問題を抱えていたし、今日の結果は仕方がない。しかし、今日のレースで、今年はチャンピオン争いに加われそうな気がして来た。
岡田 忠之(500cc/リタイア)
予選からマシンを完全に詰めきれなかった。しかし、出来るだけのことはしたつもりだ。タイヤも去年は16・5インチを選択して失敗していたし、今年は17インチを選んだ。その選択が間違っていたとは思えないが、今日は16・5を選んだマッコイが優勝したということで、一体、どうすればいいんだという気持ちになった。中盤からは、もう、コントロールするのが難しく、3コーナーで転倒してしまった。本当に残念だった。
V.ロッシ(500cc/リタイア)
今日は疲れた。13周目にころんでしまった。ラインは外さなかったのだが。ちょっと、アクセルを開けるのが早かったようだ。今回は風邪を引いて、予選から体調が悪かった。みんなと同じタイヤを選択したのだが、今日はまったく自分のレースが出来なかった。
加藤大治郎(250cc/2位)
今日はタイヤに厳しいレースになりそうだったので、前半をセーブして、後半に追い上げる作戦だった。その通りの走りが出来たのだが、中盤にちょっと離されすぎたし、周回遅れをクリアするのに手間取ってしまった。でも、初めてのレースで2位になれてよかった。
宇川 徹(250cc/3位)
予選では決勝を睨んで、入念にセッティングをしたのだが、中盤からエンジンの調子が悪くなった。タイヤもきつくて、リアのスライドが激しくてペースを上げることが出来なかった。結果には満足していないが、タイトルを考えれば、いいシーズンのスタートになったと思う。
立川章次HRC監督
信じられないような結果になった。一般的にはタイヤの選択が勝負を分けたといわれているが、HRCが17インチを選択したことは、けして間違っているとは思わない。路面のコンディションが良くなかったこと。第一戦ということで、マシンのセットアップが完全ではなかったこと。いろんな要素があっての結果だと思う。確かに残念な結果だが、ライバル視しているK.ロバーツとM.ビアッジの前でA.クリビーレがゴール出来たことは、まずまずの結果だと思っている。次のマレーシアが開幕戦だという気持ちで、気持ちを切り替えていきたい。
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