伊藤、念願の今季初優勝を飾る!
山口は、事前テストの好調さを生かせず無念の8位

スタートで出遅れるも、追い上げ今季初優勝の伊藤
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全日本も残り2戦となり、チームキャビンホンダは、勝利だけを目指し、年1回開催の岡山県TIサーキットへと乗り込んだ。事前テストから好感触を得ていた。特に山口は、2日間のテストで1分30秒9とレコードを更新するタイムを記録、2番手となっていた。伊藤は、ミシュランからダンロップへとタイヤを変更したため入念なテストを繰り返し、調子を上げていた。フリー走行は、生憎の雨となり、山口はタイムを伸ばせず、転倒してしまう。伊藤は、玉田に僅差で続く2番手で、速さを示していた。快晴となった予選、ふたりのタイムに注目が集まるが、思うようにタイムを伸ばせず、山口は「事前テストの時とグリップの感じが違っていて、同じように走れなかった。雨のリズムが身体に残っていたような気がする」と7番手。伊藤は「タイヤの使い方の違いに戸惑った」と8番手。ふたりとも2列目スタートとなる。

ポールからスタートの玉田は3位
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決勝スタートで出遅れた伊藤は、1ラップ目8位で通過、サード集団に飲み込まれてしまう。そこから抜け出した中盤戦から、猛然とスパート、前を行く加賀山(S)を捕らえ、6番手に浮上すると、芹沢(K)に迫る。20ラップ過ぎには、トップの梁(S)、2番手井筒(K)、3番手玉田のトップ争いに芹沢、伊藤も追い付き、5台の息詰まる戦いとなる。このトップ争いは、タイトル決定がかかっており、井筒が梁の前でチェッカーを受ければチャンピオン。梁が前なら、タイトル争いは最終戦に持ち込まれる。井筒がトップを奪い、逃げようとするが梁が襲いかかる。玉田も芹沢も伊藤もトップを狙う。周回遅れが絡み、混沌とした戦いとなる。伊藤は一気に3番手浮上。このトップ集団が接近戦を見せながらラスト2ラップとなった時、梁のインに入った井筒と接触し、井筒が転倒、梁はコースアウト。伊藤はトップとなり、そのままチェッカー。念願の今季初優勝にスタッフは喜びに沸き、観客、関係者から惜しみない拍手が沸き起こり、祝福の言葉がかけられた。2位には芹沢、3位玉田が入った。井筒はリタイヤ。梁は再スタートで5位となった。山口は、7位争いを見せるが、事前テストの速さを生かせず、無念の8位に終わった。
250は、序盤、酒井がレースを引っ張るが、稲垣がトップ浮上、逃げようとするが、6ラップ目転倒、変わってPP獲得の大崎(Y)がトップになる。その大崎を追う畠山、青山との激しいバトルへと発展。各コーナーで、ポジションを入れ替えながら周回を重ねる。12ラップ目に青山がトップ浮上するが、19ラップ目には畠山がトップに。だが、最終ラップに仕掛けた青山が競り勝ち、嬉しい今季3勝目を挙げた。この勝利で、青山はランキング2位を確定した。
125は、仲城とのトップ争いを繰り広げていた菊池が、鮮やかなラストスパートを見せ、今季初優勝を飾り、ランキング2位へと浮上した。
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8位の山口と青木拓磨助監督(右)
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シャンパンファイト、伊藤(左)玉田(右)
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伊藤 真一(スーパーバイク/優勝)
今回は、大きなプレッシャーを感じていました。絶対に勝つんだと自分を追い込んでいました。事前テストからタイヤのテストを開始し、いい感触を得ていました。雨の走行でもタイムが出たので自信を深めていたのですが、予選ではタイヤの使い方に苦労しました。足回りのセッティングを全て変え、1からやらなければならなかったこともあり、戸惑いもありました。決勝もタイヤも柔らかめのものを選び、それがどうでるのかわからなかった。スタートも出遅れてしまったのですが、前のライダーを1台、1台、抜くことだけを考えて集中して走りました。前の2台にアクシデントがなくても、追い上げる自信があったので、心から喜べる優勝です。やっと勝つことが出来て、心からホッとしています。本当に、嬉しい。
山口 辰也(スーパーバイク/8位)
事前テストでは、タイムも出て、手ごたえを感じていたのですが、雨の影響や、路面コンディションの違いで、タイムを更新することが出来ず、不満が残る予選でした。決勝でもスタート出遅れ、伊藤さんについて行こうとしたのですが、離されてしまった。ですが、今回はこれまでと違って、競り合いで前に出ることが出来たことは収穫です。残り1戦となってしまいましたが、全力でぶつかります。
小野監督
ご声援ありがとうございました。やっと、勝つことが出来ました。事前テストで、山口がタイムを上げ、チームにも活気が出ていました。伊藤も相乗効果で、タイムを上げて行き、今回は、大きな手ごたえを感じていました。予選ではタイムが上がらなかったことで、事前テストからのデータを見直し、冷静にセッティングを詰めました。それが、いい結果につながったのだと思います。山口も、これまで、人をパスすることが出来なかったのですが、それが今回はパスすることが出来、収穫もありました。このまま、登り調子で最終戦に挑みたいと思います。
青木拓磨助監督
自分が初優勝したときの気持ちを思い出すくらい嬉しい。涙は、自分が復帰して勝ったときのためにとってあるけど、泣きそうになるくらい嬉しかった。チームの皆も、伊藤さんが一人、パスするたびに、大きな声を上げて応援していました。その声は、何十人もいるのかと錯覚するくらいでした。最終戦でも、同じように喜べるレースをするように、気を引き締めて頑張ります。
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