酷暑の中、高濱が総合優勝(3/2)
熱田孝高カムバック

体力を消耗しながらも総合優勝を果たした高濱
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前戦で肩を脱臼した熱田孝高が、わずか2週間の療養とリハビリを経て、驚異のカムバックを果たした。土曜のプラクティスを走ってみた結果で出場を決意した熱田は、まだ完治していない左肩をテーピングで固め、レースに臨んだ。
また、125クラスでは、ポイントリーダーの勝谷が前戦の骨折で欠場したため、新たなウィナーが誕生する気配が感じられた。
好天に恵まれた藤沢スポーツランドは、午前中から気温が30度を超え、チームHRCのパドックに置かれた温度計は36度まで上昇した。酷暑に見舞われた今大会は、文字通りのサバイバルレースとなった。
●250ヒート1
田中(K)がホールショットを取り、大河原(Y)、増田(Y)、芹沢らがトップグループを形成した。注目の熱田孝高は7番手を確保。一方、高濱はスタートに失敗して23番手と出遅れた。
序盤から攻める芹沢は、6周目には2番手に浮上し、田中とテールトゥノーズのトップ争いを展開したが、20分すぎ頃から脱水症状の影響でペースダウンし、7位まで後退してしまった。
終盤の上位陣は、依然リーダーの田中を、熱田高輝と熱田孝高の兄弟コンビが追う展開となったが、ここに猛烈な追い上げで迫ってきた高濱が食い込み、熱田孝高を抜いて3位に浮上。田中が逃げきりで優勝し、熱田高輝、高濱と続くトップスリーとなった。
熱田孝高は復帰レースとしては好位置の4番手をキープしていたが、ラスト1周が提示されたフィニッシュラインを通過したところで、レース終了と思い込んでスロットルを緩めてしまった。すぐに勘違いに気付いてコースに復帰したが、最終的なポジションは10位。この熱田の判断ミスも、酷暑がもたらしたハプニングの一つだった。

熱田の左肩には幾重にもテーピング
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●250ヒート2
小池田(Y)がホールショットを取った。これを追う上位陣は、大河原(Y)、田島(Y)、そして4番手に高濱。熱田は1周目10番手、2周目7番手と追撃の構えを見せたが、3周目の転倒で23番手まで後退してしまう。
早々と3番手に上がった高濱は、序盤から前を行く大河原を相手に、激しいチャージを繰り返す。9周目には大河原をかわし、2番手に浮上。高濱はリーダーの小池田に照準を定めた。レース後半になると、脱水症状でペースダウンを余儀なくされたが、高濱は小池田に次ぐ2位の座を守り通した。
熱田はこのヒート、転倒後の挽回により12位でフィニッシュした。
●125ヒート1
佐藤(Y)がホールショットを奪ったが、リーダーはその後、加賀(S)、渡辺(Y)と目まぐるしく入れ替わる。4周目にトップに立った渡辺も独走には持ち込めず、絶えず佐藤のマークを受けながら周回を重ねた。
終盤になると、渡辺にも1秒強の貯金ができて、渡辺、佐藤、加賀の順でチェッカーとなる。
●125ヒート2
加賀がホールショット。4周目には佐藤の先行を許したが、8周目からは再び加賀がリーダーとなる。中盤以降は加賀が佐藤と渡辺を突き放し、独走でチェッカー。
佐藤をはさんだ3位には、スタート8番手から追い上げた戸田が入賞した。

表彰台に立つ熱田高輝(左)と高濱(右)
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250cc
高濱龍一郎(3/2位)
こんなん初めてですよ。こんな辛いレースは今まで一度も経験したことなかったです。ヒート1なんか、もう立っていられなくて、表彰のときも後ろの壁に寄っ掛かってたし、ヒート2もトップの小池田が見えて、これからってときに、全身の力が抜けるような感じで。その後はペースも落ちて、全然だめでした。アタマは取れなかったけれど、このきつい条件を考えたら、よくやったと思います。ポイントリーダーになってから、まだ2週間ですけど、あんまり意識してる暇はなかったですね。旭川から姫路に帰って、それから藤沢で事前テストとかあって、移動の連続だったし。まあ意識したとしても、去年みたいに浮かれたりはしませんよ。チームの雰囲気は、ヨッシーが復帰してよくなりました。やっぱり同じトラックの中で、一緒に着替えたりしてるチームメイトですから、いてくれると心強いですね。
熱田 孝高(10/12位)
2週前に肩を脱臼してから、絶対に藤沢に出るんだって信念を持って、治療に専念してきたんです。そのためには、夏だっていうのにビールも我慢……です。バイクにも全然乗っていなくて、土曜の練習走行が初めてでした。結構走れたんで出ることに決めたんですが、やっぱり本来の走りはできなかったですね。ヒート1では4位のはずが10位……。うぅ、なんてドジなんでしょうね。なんかもう、暑さで何も見えなくなっちゃってたというか、これで終わりだと勘違いしちゃったんですよ。あと1周残ってたのに……。それで、コースから出てマシンプールの方に行きかけたところで、誰もいないのに気付いて、また出直したんですけどね。ヒート2ではジャンプでコケました。本当は6位入賞を目指してたんですけど、このリザルトでも満足です。順位とかポイントじゃなくて、レースに復帰できたってことが、今日の収穫ですね。
熱田 高輝(2/4位)
一昨年もここで表彰台ゲットしたんですよね。暑いのは好きだから、それほど苦にならなかったし、サンドが得意ってのもあります。仙台から近いんで、練習にもよく来ますし、地元みたいなもんですね。菅生も地元だけど、あっちは得意じゃないです。今回はセッティングを変えて、バッチリ決まったことも大きいですね。孝高の後ろを走ってたときは、一緒に表彰台に上がりたいなぁなんて思ってたんですよ。ワンツーでもツースリーでもいいなぁって。でも、あいつも疲れてたみたいだし、後ろから辻クンが来てたので抜いちゃいました。それにしても、孝高、よくやりましたよ。あそこで勘違いしなきゃ4位だったでしょ。
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