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 ハンガリーGPのみどころ  8月9日(水) レポート:柴田久仁夫


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●バリケロが大化けする?

 前戦ドイツGPの決勝レースで、ミハエル・シューマッハが1コーナーリタイヤ。まるでその前のオーストリアGPの、再現映像を見ているかのようでした。これでシューマッハは選手権トップから脱落かと思いきや、伏兵(といっては失礼か)バリケロがハッキネンの持つ下積み記録を塗り替える涙涙の初優勝。シューマッハは、首の皮1枚でトップの座を守りました。レース後、それまで憮然としていた彼がパルクフェルメまでチームメイトを祝福にでかけたのは、「よくぞマクラーレン勢の優勝を阻止してくれた」というねぎらいの言葉をかけたかったのでしょう。

 これでシューマッハ56点、クルサードとハッキネンが同ポイント2位の54点。序盤はシューマッハ独走かと思われましたが、シーズンをあと6戦残すところでこの大接戦。鈴鹿か、最終戦のマレーシアまでチャンピオンが決まらないのは、ほぼ間違いないところでしょう。前回優勝のバリケロも46点を獲得して、もちろんチャンピオン候補の一角に踏みとどまっています。もともと速さとスムーズさを兼ね備えているドライバーですから、この優勝をきっかけに大化けするかもしれません。後世このシーズンを振り返ってみて、フェラーリ史上屈指のドライバーラインナップだった、と言われるようになるかも。

 客観的に見れば、フェラーリはシューマッハ中心のチームですから、去年のようにケガでもしない限り、彼を押しのけてバリケロがチャンピオンになることはない。一方のマクラーレンは、「チームオーダーのない」ことを再三再四上層部が言明しています。したがってハッキネンとクルサード、どちらもタイトル獲得の可能性はある。それが終盤、激しい接戦になった時、一枚岩のフェラーリに対する弱点になるかもしれません。

 で、今週のハンガリーGPですが、ここはオーバーテイクがほとんど不可能なサーキットとして有名です。コースレイアウトがそうであるだけでなく、レコードライン以外の路面の汚れがひどく、ラインを外して走ることが極めてリスクの高い行為でもあるからです。
テクニカルなコースだけに、普通に考えればフェラーリの二人が有利。ただし本来の予選での速さを取り戻しつつあるハッキネンが、ここでポールを取ったりすると、そのまま行ってしまう可能性もあります。どちらにしても、この2チーム4台の激烈なトップ争いということになるでしょう。


●得意とは言いがたいが・・。

 一方われらがBARホンダですが、普通に行けば得意とは言いがたいサーキットです。 エンジンパワーが十分に活かせない、BARマシンの苦手な強大なダウンフォースを必要とする、などからです。同じような性格のモナコで、まったくトップに太刀打ちできなかったことからも、あまり明るい予想が出来にくくなっています。

 しかし6月時点のモナコと今とでは、マシンもチームもまったく違ったものになっています。戦略面、いざという時の臨機応変さ、メカニックたちの仕事ぶり、どれをとっても向上著しいものがあるのです。またシャシーにしても、弱いと言われていた空力面の進歩には、フランスGP以来目を見張るものがあります。もちろん他チームも進化を続けているわけですが、BARホンダの進化の幅は、少なくともトップ2チーム以下では、最も大きいのではないか。ここ数戦の成績が、それを如実に表していると言えます。

 とはいえフンガロリングで、突如トップグループに躍り出る、というのはあまり現実的ではありません。まずは入賞圏内で完走できたら上出来、というところでしょうか。ただ過去14回のハンガリーGPのうち、ホンダエンジンが5回、ジャック・ビルヌーブが2回、両者合わせれば半分を、今のBARホンダのメンバーが制している。それは単なる数字の上の話ではあるのですが、そんな歴史があるだけに、単なる入賞以上の夢も見たくなってしまいます。もちろんムードだけでそう言っているのではありません。たとえばホンダRA000Eのドライバビリティの良さは、ここでの大きな武器になるはず。シャシーにしても、「素性が悪いわけではなく、セットアップがうまくできないでいた」ことが、前回ドイツまでに解決法を見つけつつある。気温、路面状況にうまく合ったタイヤが予選までに見つけられれば、上述の成績は決して不可能ではない。それだけ上位の実力差は、詰まって来つつあるといえるでしょう。