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レポート:柴田久仁夫     

 
 
第11戦 ドイツGP

(株)本田技術研究所 マネージング ダイレクター
保坂武文のひとりごと 

rd11

 お粗末なレースだった、というのが今言えるすべてです。とにかく悔しいですね。どうしてこんなモタモタした戦いをしてしまったのか。

 まずエンジンですが、いくら序盤フルタンクだったとはいえ、どうして思ったような伸びが見られなかったのか。我々は今回、超高速サーキットのホッケンハイムに合わせて、満を持して改良バージョンを投入しました。3日間を通じてトラブルとは無縁でしたが、パフォーマンスに関しては大いに不満が残ります。エンジンが、もっと存在感を主張してくれるはずでしたからね。
たとえばスタート直後。ジャックが例によって素晴らしいロケットスタートを決めて、少し前の渋滞に邪魔はされましたが、9番手から一気に6位まで上がった。ところがその後すぐにずるずると後退してしまった。たとえ相手が2回ストップのクルマで車重が軽かったとはいえ、ちょっとあっけなさすぎました。どういうことなのか、どうして所期の性能が発揮できないのか、これから徹底的に解明します。
それから後半の、チームメイト同士が絡んでしまったこと。これはもう、何をか言わんやですね。レース後1時間ほどして雨が降ってくるだろうことは、ほぼ予測できてました。そしてコース全域ではなくて、場所によって路面の濡れ方が違うだろうことも。
カナダでの教訓を生かして、タイヤ選択はチーム側が決めることにしていました。チームからドライバーに「レインタイヤに交換する。ピットに入れ」と指示が行き、あと1周というところで事故が起きてしまったんです。
ホームストレッチから1コーナーにかけてかなり雨が降ってましたから、リカルドを強くは責められない。それにしても、悔いは残りますね。あれがなかったら、二人そろって入賞の可能性はきわめて高かったわけですから。

ピット作業は、非常にこなれてきました。チームの作戦首脳も、いろんな非常事態にちゃんと対処できるようになってきた。その辺はプラス材料ですね。そういうのがうまく回るようになってきたから、よけい結果が出せなかったのが悔しいんですけどね。

ジャックの3年契約は、素直によかったと思ってます。もちろん、契約の最後までいるという保証が100%ないのは当然です。チーム力に満足がいかなければ、途中で出てしまうかもしれない。しかし少なくとも来年は、じっくり腰を据えて、ジャックといっしょにいいクルマを作っていこうという体制ができたわけですからね。
ジャックにはできるだけ、われわれの計画を包み隠さず、何でも話しています。「これからこういうことを考えているよ」というのを伝えて、もちろんいろんなトラブルで遅れが出たりというのはありますが、言ったことは絶対に実現してきた。そういう風通しの良さ、そして有言実行してきたことで、ジャックとは十分な信頼関係が築けていると思います。彼に限らず、チームスタッフともそうですね。