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1999 Formula 1 World Championship Series
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1999 F1世界選手権シリーズ
第15戦 レポート
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スペシャルエンジンを予選で失ったフレンツェン 予選14番手からの猛烈な追い上げで6位に

予選のトラブルが大きく影響
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マレーシア、日本と続くアジアラウンド。チャンピオン決定が持ち越され、大きな注目を集めるレースとなったマレーシアGPは、データの乏しい初めてのコース、セパンで開催された。加えて高温多湿の気候条件が、マシンにもドライバーにも、過酷なレースを強いるものとなった。
ここまでチャンピオン獲得の可能性を残しているのは、ポイントランキングトップのM.ハッキネン(マクラーレン)以下、E.アーバイン(フェラーリ)、H.フレンツェン(ジョーダン)、D.クルサード(マクラーレン)の4人。この争いに大きく影響を及ぼしそうなのが、休養宣言を覆して復帰を果たしたM.シューマッハー(フェラーリ)の存在だった。
こうした状況に、無限ホンダはスペシャルエンジンを投入。本来は最終戦の鈴鹿で投入する予定だったが、タイトルを狙うフレンツェンのレースカーにだけ、スペシャルエンジンを搭載した。これまでにも、すでにマクラーレン、フェラーリを凌ぐポテンシャルを発揮してきた無限ホンダエンジンだけに、周囲の期待は大いに膨らむことになった。
ところが、満を持して臨んだ最初の予選で、フレンツェンは思わぬハプニングに見舞われてしまった。アタックに突入した直後の第1コーナーで、ヘルメットと車体の干渉を防ぐヘッドレストが脱落。このためフレンツェンは第1コーナーのブレーキングをミスしてスピン。グラベルにマシンをストップさせ、走ってピットに戻ることになってしまった。

ヒルは1周目でリタイア
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ピットに戻ったフレンツェンは、残りの予選をスペアカーで走ることに。スペシャルエンジンはレースカーだけに搭載されたもので、こちらは従来型エンジンを搭載したものだった。さらに、スペアカーにもブレーキトラブルが発生し、フレンツェンは今季最悪の14番手グリッドにとどまることになってしまった。
決勝ではフェラーリとマクラーレンの激しい闘いが繰り広げられた。その一方で、9番手グリッドからスタートしたD.ヒル(ジョーダン)が、スタート直後の第2コーナー付近でG.フィジケラ(ベネトン)と接触してスピン。そのままリタイアを喫してしまった。
フレンツェンは、ヒルが絡んだこのクラッシュもうまくかわし、着実にポジションアップを果たす果敢なドライビングを続けた。ほとんどのチームが2回のピットストップを行うなか、ジョーダン・無限ホンダは1ストップ作戦を採用。フレンツェンのポジションアップを強力にサポートすることになった。
レースはM.シューマッハーにトップを譲られたアーバインが真っ先にチェッカーフラッグを受け、フェラーリ勢による1-2フィニッシュとなった。ファーステストラップをマークしたM.シューマッハーに次ぐベストラップを叩き出したフレンツェンは、素晴らしい追い上げの末に6位でフィニッシュ。貴重な1ポイントを稼ぎ出すことに成功した。
しかし、このレースで最大のドラマはレース終了後に待っていた。レース後の車両検査で、フェラーリのエアロパーツに違反があったとして、フェラーリは失格の裁定を受けることに。その結果、予選を含めたすべてのリザルトからフェラーリは除外され、暫定的にハッキネンが優勝、フレンツェンは4位を得ることになった。フェラーリはこの裁定を不服とし、FIA(国際自動車連盟)に正式提訴を行った。
このフェラーリの抗議を受けたFIA(国際自動車連盟)は、国際控訴裁判を行いフェラーリの主張を全面的に認める裁定を下した。これにより、優勝はE.アーバインとなり、フレンツェンは6位入賞となった。

フレンツェンは14番手から猛追
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今回のレースで辛うじて6位を得たジョーダン・無限ホンダだが、今回のレースは不完全燃焼というムードが漂っていた。可能性を求めて投入されたスペシャルエンジンが、ヘッドレスト脱落という考えられないミスで、そのポテンシャルを発揮せずに使用不可能になってしまった。スペアカーにもブレーキトラブルが発生したように、今回、チームにはいくつもの些細なトラブルが続いていた。
最終戦の鈴鹿では、スペシャルエンジンのさらなる改良型の投入も決定している。データの豊富な走りなれた鈴鹿で、今季3勝目も決して夢ではない。素晴らしい活躍を繰り広げてきた今季の締め括りである鈴鹿に大いに期待したい。
H.フレンツェン(4位)
「14番手グリッドから6位に入賞できるなんて、自分でも期待していなかった結果だよ。昨日までのグリップ不足は、ウォームアップの時点でかなり解消されていた。だから、ある程度の手応えは感じていたんだけどね。チームの1ストップ作戦も大正解だった。チャンピオンの夢は消えてしまったけれど、最終戦も思い切り走ろうと思っているよ。」
D.ヒル(リタイア)
「セパンの第1コーナーは狭いから、スタート直後は十分に注意しようと思っていたんだ。それなのに接触してしまって、本当に残念だよ。ボクも1ストップで行く予定だったから、そのまま走っていれば、フレンツェンと一緒にポイントを獲得できたと思う。鈴鹿では頑張るよ。」
E.ジョーダン(ジョーダン・無限ホンダ監督)
「予選の失敗がすべてだったね。何しろ、レース中のフレンツェンは、M.シューマッハーに次ぐ2番目に速いラップタイムをマークしていたのだから。これは彼の予選タイムより1.7秒も速いものだった。14番手グリッドから4位というのは素晴らしい結果だよ。無限ホンダの母国である鈴鹿では、絶対に優勝を狙っていくつもりだ。」
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