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インディカー CARTシリーズ
スプリング・トレーニング

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1999年2月3日〜4日
マイアミ-デード・ホームステッド・
モータースポーツ・コンプレックス
(アメリカ、フロリダ州)
ジミー・バッサー、昨年の自己タイムを上回る25.106秒で3位!
トップ10にホンダV8勢が5台入り、仕上がりの良さを見せる
初参戦となる服部尚貴も25.977秒をマークし、19番手につける
服部尚貴のコメントとプロフィール、関係者の服部尚貴評へ 
ジミー・バッサー
ホンダV8勢のトップタイムをマークしたジミー・バッサー。
今年、2度目のチャンピオンを狙う


昨シーズン、2度目のマニュファクチャラーズ・チャンピオンを獲得し、ドライバーズ・チャンピオン、ルーキー・オブ・ザ・イヤーとともに三冠を達成したホンダは、今シーズン、新しい「HRS」V8ターボエンジンを投入。
    3年連続ドライバーズ・チャンピオンチームとなったターゲット/チップ・ガナッシ・レーシング、
    チーム・クール・グリーン、
    ウォーカー・レーシング、
    そして昨年までのタスマン・モータースポーツ・グループからチーム体制が一新されたマクドナルド・チャンピオンシップ・レーシング
    の4チーム、7台のマシンに供給される。

トニー・カナーン
チームがマクドナルド・チャンピオンシップ・レーシングとなった
トニー・カナーン。マクドナルド旋風に期待大


ドライバーは、
    ターゲット/チップ・ガナッシ・レーシングがジミー・バッサーと、ルーキーのファン・パブロ・モントーヤ、
    チーム・クール・グリーンがポール・トレーシーとダリオ・フランキッティ、
    ウォーカー・レーシングがジル・ド・フェランと、インディライツからステップアップした服部尚貴、
    マクドナルド・チャンピオンシップ・レーシングが昨年のルーキー・オブ・ザ・イヤー、トニー・カナーン
    というラインナップである。

今シーズンは3月21日に開幕、全20戦でチャンピオンが争われるが、シーズン開幕に先立ち、2月3〜4日、開幕戦の舞台となるフロリダ州マイアミのホームステッド・モータースポーツ・コンプレックス(1.5マイル・オーバルコース)でCARTスプリング・トレーニングが行われた。これは今シーズン参戦するチームが集まって行う公開合同テストで、今年で4回目。今回は16チーム、26人のドライバーが参加したのだが、ポール・トレーシーは昨年受けたペナルティで開幕戦出場停止となるため出走せず、代わりにベテランのラウル・ボーゼルがステアリングを握った。


テスト初日は、少し雲はあったがほぼ晴天に恵まれ、午前9時には気温24度となった。午前のセッションでは、開始早々、服部尚貴同様、インディライツからステップアップしてきた服部茂章がターン4でクラッシュしてしまい、約15分、フルコース・コーションとなる。しかしその後は各チーム、順調にテストをこなし、序盤はジミー・バッサーが25.655秒でトップ、ジル・ド・フェラン25.656秒、ファン・パブロ・モントーヤ25.748秒と続き、ホンダV8勢がトップ3を占めた。

シーズンオフのテストでこのホームステッドを走り込んでいる服部尚貴はまずは27秒台で周回。1時間を過ぎたあたりから徐々にタイムをあげ、29周目には26.221秒をマークし、セッション終盤には26.061秒までタイムを縮めた。このセッションのトップは、終了間際に25.375秒を出したP.カーペンティアで、ジミー・バッサーは25.419秒で2位、ジル・ド・フェランが25.656秒で3位につけた。

さらに日差しが強くなり、気温も32度まで上がった午後のセッションは、各マシン、タイムが伸び悩む。しかし後半、ジミー・バッサーが25.396秒をマークし、これがこのセッションのトップタイム(初日総合2位)。ルーキーのファン・パブロ・モントーヤは25.545秒までタイムを上げ3位(初日総合4位)、服部尚貴も26秒を切る25.977秒をマークし、総合13位と順調な滑り出しとなった。


昨年のスプリング・トレーニングのトップタイムは、ジミー・バッサーが記録した25.467秒。すでにこれを上回っているが、開幕戦の予選トップタイム、24.856秒には届いていない。2日目は25秒を切ることが一つの目標になりそうだった。


初日に続き、日差しの強い天気となった2日目。午前9時にセッションがスタート。前日同様、5、6周走ってピットインというサイクルで走行していた服部尚貴は、開始30分過ぎにクラッチにトラブルが出てピットでストップ。修理のため、一時マシンを降りてしまった。その間、各マシンは昨日のタイムを次々と縮め、10時過ぎには昨年のポール・シッター、G.ムーアが25.055秒をマーク。ジミー・バッサーが25.229秒で追う展開となる。

服部尚貴は約1時間ほど修理に時間をとられたが、コースに復帰。その直後、初日トップのP.カーペンティアが25秒の壁を破る24.962秒をたたき出して、トップに立つ。ジミー・バッサーも終盤25.106秒までタイムを詰めるが逆転ならず、3位。ジル・ド・フェランは25.106秒で4位、服部尚貴は26.289秒で21位にとどまった。

午後は少し雲が広がり、気温は28度だが、日が射し込むと猛烈に暑くなる難しいコンディションとなる。午後1時15分、セッションスタート。しかし各マシン、一斉にはコースインせず、静かな序盤となる。服部尚貴はフロントウイングやサスペンションを調整してコースインするものの、あまりタイムが伸びない。ここでチームはピットストップ練習を指示。コースインしてはピットに戻り、チームクルーが本番さながらのタイヤ交換&給油作業に取りかかり、再びピットアウトという練習メニューを繰り返す。そして終盤、最後のタイムアタックに出て、この日の自己最速、25.996秒をマークして、今回のスプリング・トレーニングを終えた。

この他、このセッションではトニー・カナーンが今回の自己最高タイム、25.462秒で4位、なかなかセッティングが進まなかったダリオ・フランキッティも25.754秒までタイムを縮め、11位となった。


結局、2日間トータルでホンダV8勢は、ジミー・バッサーが昨年の開幕戦、ホンダV8勢最上位だった自己予選タイムを上回る25.106秒で総合3位、ジル・ド・フェランが25.126秒で4位に続き、ファン・パブロ・モントーヤがルーキー中最速の25.423秒で7位、ポール・トレーシーの代役として出走したラウル・ボーゼルが25.439秒で8位、トニー・カナーンは25.462秒で10位、昨年3勝を挙げ、今シーズンの飛躍が期待されるダリオ・フランキッティは25.754秒で17位、服部尚貴は初日のタイム、25.977秒が最速となり、総合で19位となった。

今シーズンの開幕戦は、約6週間後の3月21日。この間、各チームはさらなるタイムアップを目指し、テストを繰り返すことになる。

朝香充弘 HPD(ホンダ・パフォーマンス・デベロップメント)副社長のコメント
「今年は新しいHRSエンジンで1年間戦っていくわけですが、その仕上がりぐあいをチェックするにはいいテストでした。開発自体もスムーズに進み、現時点での完成度には満足しています。これから1ヵ月、さらにしっかりと仕上げ、開幕戦のマイアミではいいレースをお見せしたいと思います。今年も応援よろしくお願いします」

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服部尚貴、初のスプリング・トレーニングで安定感ある走りを披露

日本ではトップカテゴリーのF3000シリーズで活躍し、F1スポット参戦の経験も持つ服部尚貴が、アメリカ最高峰のオープンホイール(アメリカではフォーミュラ・マシンのことをこう呼ぶ)レース、CARTチャンピオンシップ・シリーズを目指し、アメリカに渡ったのは3年前。CARTシリーズへのステップアップ・カテゴリーとなるインディライツ・シリーズに2年間参戦し、昨年は2位1回、3位2回と常にトップ10圏内に入る大健闘を見せた。

そして今年、ついにインディカー CARTシリーズにステップアップ。'91年からCARTシリーズに参戦し、3回の優勝経験をもつウォーカー・レーシングから出場する。ウォーカー・レーシングは、'97年からホンダV8エンジン・ユーザーとなり、'97年にはジル・ド・フェランを擁しランキング2位、昨年も2回3位表彰台に上がるなどトップレベルのチームである。今年はジル・ド・フェランと服部尚貴の2カー体制となり、シャシーはレイナード、エンジンはホンダV8、タイヤはグッドイヤーを使用する。

ウォーカー・レーシング
晴れてウォーカー・レーシングの一員となった服部尚貴。
今年はこのカラーリングに要注目


服部尚貴のコメント
「こうして他のドライバー達と一緒に走ると、これから新しい挑戦が始まるんだなと気が引き締まる思いがします。ホンダV8エンジンの第一印象はパワフルかつ乗りやすい、ですね。マシン自体も剛性が高いし、ダウンフォースも大きいので、とても安定しています。まあ、これからセッティングを詰めていくと印象も変わるかもしれませんが……」

「初日は、ちょっとアンダーステアが強くて、スプリングやダンパーを何度も調整したんですが、良くなったり悪くなったりでなかなか全開でタイムアタックができませんでした。ただ、まだデータを積み重ねていく時期だと思っているので、無理せず、確実にタイムを詰めていきたいと思っています。でもぎりぎりとはいえ、25秒台に入って一安心といったところですね」

「2日目はクラッチにトラブルが出て、予定していたロングディスタンス・テストができなかったのが心残り。セッティングもいろいろ試す時間がなくて、初日よりセットアップが進みませんでした。それでもピットインの練習がしっかりできたので、一つハードルはクリアしたかな。」

「また今月末にホームステッドでテストが予定されているので、そこでしっかりセッティングを煮詰めていい状態で開幕戦を迎えたいと思っています。今季の目標? もちろん表彰台に上がることです」

ピットインの練習
2日目にはピットインの練習も行った服部尚貴。
このレースで勝つには必要なテクニックだ


朝香充弘 HPD副社長の服部尚貴評
「今回のスプリング・トレーニングでは予定のプログラムをきっちり消化し、ルーキーとしては上出来だと思います。尚貴のいいところは指示通り、確実に走らせられること。最初ははやる気持ちがあるものだけど、徐々にペースを上げていき、タイムを出すべきところでタイムを出しています。まだまだ速くなっていくと期待しています」

チームメイト、ジル・ド・フェランの服部尚貴評
「彼はとてもいいドライバーだと思う。ドライビングはとてもていねいだし、無理するようなこともない。チャンプカーはパワーもあるし、慣れるまでだいぶ時間がかかるけど、彼はわりと早く慣れるんじゃないかな。彼にとって、このテスト時期はとても重要だから、焦らずがんばってほしい。僕らは日本人ドライバーを歓迎しているし、ナオキもできるだけ長くレースを続けてほしいからね」

チームオーナー、デレック・ウォーカーの服部尚貴評
「今回のテストまで、ナオキは1500マイルを走行したが、彼は今のところ順調にプログラムを消化している。まだまだ慣れていないところもあるが、ルーキーにしては飲み込みが早いと思う。今まで様々なレーシングカーを運転してきた経験が役に立っているんだろうね。初レースまでにもう1500マイルほどテストする予定で、十分なテストを経てからレースに臨んでもらうつもりだ」

マシンの挙動を説明する
テスト中、オーナーのデレック・ウォーカーと
担当エンジニアにマシンの挙動を説明する服部尚貴

 

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