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第3話第3話-2
ph2-1
●CB900F
もっとも美しい直4といわれるCB900Fのエンジンは、シリンダーフィンが750Fより1枚多い。高速連続走行での耐久性を高めるためにオイルクーラーを標準装備
設計室に戻ってみると、すでに新鮮なデザインスケッチができていた。『ノルマンディ上陸作戦』を展開するにあたり、デザイナーの森岡がヨーロッパに滞在して描き上げたもので、流れるようなラインが一目で気に入った。またこの時期にはアメリカ市場向けにはCB750K(開発コード425。DOHC750ccのスタンダードスポーツで、CB900Fの兄弟車)をメインモデルとすることが決定され、すでに別チームの開発がスタートしていた。

私の役割はCB900Fの車体設計のPL(プロジェクトリーダー)である。CB900Fのフレームボディを設計するにあたって、骨格はCB750Kと共通化するように指示された。750ccのフレームに900ccのエンジンを搭載するわけで、これまで単一機種の最適設計を進めてきた私にとってはさっそく戸惑いと直面することとなる。

900ccのエンジンは750ccよりもシリンダーが7mm高く、タペット調整などのメンテナンス時にヘッドカバーを外せないことが判明したのだ。そこで、先行開発が進む425に影響が出ない範囲でヘッドパイプに結合されるトラス構造のパイプ位置をわずかに変更したり、あっちを1mmこっちを1mmと少しずつ調整して、やっとのことでクリア。ところが今度はテストライダーから「高速コーナーで振られてまっすぐ走れない」と突き上げられた。明らかにフレームの剛性不足である。やはりエンジン重量も出力も大幅に違い、さらにライディングポジションも違うバイクで共通フレームというのには無理があったようだ。


しかしこれまでの努力を無にするわけにもいかないので、基本形状は425と共通にした上でヘッドパイプのトラス部にガセット補強をしたり、板状のリヤフォークピボット部をモナカタイプに変更した。エンジン搭載性を考慮したフレーム右側のアンダーパイプはボルトによる取り外し式にしてあるが、ここの結合剛性を高めるためにプレート形状を何度も変更してやっとライダーも納得する剛性を確保。苦労したが、この時の経験でフレーム剛性を高める手法が身についたし、操縦性能の確保に必要な車体剛性の関係を学ぶことができた。

また900ccの要求するエアクリーナー容量は当然750ccよりも大きいが、大きくなったエアクリーナーボックスを750のフレームに収めるのは物理的に無理。そこで、小さなエアクリーナーで満足する出力性能を得るために、できるだけ冷たい空気をできるだけ少ない抵抗で吸入するようにダクト位置や空気の流れを考えた。容量不足を、吸入抵抗を減少する手法に置き換えて設計を進めたわけだ。さらにエアクリーナーは、エレメント清掃のために容易に取り外しやすい構造にしなければならない…などといった複雑に絡み合う要求が凝縮されている部品でもあり、苦労した。


CB900Fはこのように開発が先行していたCB750Kに合わせるために設計に制約を受けるところが何か所もあった。自分の開発モデルに集中して最適設計をするだけでなく、周囲との接点をさぐりながら設計を進める量産設計は、レーサーの開発とは違った難しさがあることを痛感させられた。

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