建造工程
舳(みよし=ステム)とキールの取り付け
2016年5月
27日、船の骨格ともいえるフレームが立ち上がった。その数は15。
仮止め用の台座に固定されたフレームを眺めると、ライン図からイメージはつかんではいたが、あらためて31フィート・ランナバウトのボリューム感に圧倒される。BF250が2基掛けされるのだから当然だが、トランサム周りも巨大だし、バウ付近のフレアも大きく、水天髣髴の彼方へ怒涛の如く走り抜けそうな、ただならぬ走行性能を想像してしまうのである。
仮止め用の台座に固定されたフレームを眺めると、ライン図からイメージはつかんではいたが、あらためて31フィート・ランナバウトのボリューム感に圧倒される。BF250が2基掛けされるのだから当然だが、トランサム周りも巨大だし、バウ付近のフレアも大きく、水天髣髴の彼方へ怒涛の如く走り抜けそうな、ただならぬ走行性能を想像してしまうのである。

フレームを仮止め用の台座に固定する佐野龍太郎社長(右)と龍也氏(左)。

フレームが立った日、舳(みよし=ステム)が載せられた。
猪牙船や網船など、江戸期の和船のぐっとそびえるように突き出た舳(みよし)は、頑丈な船体を造り上げるための主要構造物であると同時に、外観上の特徴のひとつになっている。木造船建造のパイオニアである佐野造船所が造り出す船には、力強い舳(みよし)が必ず見られる。しかしボートやヨットなどの洋船の場合、船体の完成時には美しい外板と一体化し、外見から舳(みよし)を想像することは難しい。その意味で、今回、舳(みよし)の製作から、フレームへの取り付けに立ち会えたことは千載一遇の機会に恵まれたようなものだし、この船人紀行でご紹介することができてホッとしている。
猪牙船や網船など、江戸期の和船のぐっとそびえるように突き出た舳(みよし)は、頑丈な船体を造り上げるための主要構造物であると同時に、外観上の特徴のひとつになっている。木造船建造のパイオニアである佐野造船所が造り出す船には、力強い舳(みよし)が必ず見られる。しかしボートやヨットなどの洋船の場合、船体の完成時には美しい外板と一体化し、外見から舳(みよし)を想像することは難しい。その意味で、今回、舳(みよし)の製作から、フレームへの取り付けに立ち会えたことは千載一遇の機会に恵まれたようなものだし、この船人紀行でご紹介することができてホッとしている。


5月31日、チーク材を切り出した26尺長のキールがフレームに載せられた。
4寸幅の左右両側には、両舷を覆う外板を受ける溝も掘られ、長さ170mmのボルトでフレームに固定された。写真にあるように、ボルトの端にはマキハダが巻かれた。桧の樹皮の内皮を叩いて繊維状にしたものがマキハダだが、止水効果が高く、古くから和船建造に使われてきた。腐ることがないという話も聴いた。木造船建造の先達の知恵である。 キールが固定されるのは、フレームばかりではない。舳(みよし)とも、シーカフレックスというシーリング接着材を使って固着させたうえに、くさびが打ち込まれ、最終的にはボルトで締められた。
次回は、シアーライン、チャインの取り付けをご紹介する。
4寸幅の左右両側には、両舷を覆う外板を受ける溝も掘られ、長さ170mmのボルトでフレームに固定された。写真にあるように、ボルトの端にはマキハダが巻かれた。桧の樹皮の内皮を叩いて繊維状にしたものがマキハダだが、止水効果が高く、古くから和船建造に使われてきた。腐ることがないという話も聴いた。木造船建造の先達の知恵である。 キールが固定されるのは、フレームばかりではない。舳(みよし)とも、シーカフレックスというシーリング接着材を使って固着させたうえに、くさびが打ち込まれ、最終的にはボルトで締められた。
次回は、シアーライン、チャインの取り付けをご紹介する。












