ボートファンの心を揺るがす名艇2艇が、ジャパンインターナショナルボートショー2019のHondaブースに登場する。世界が注目する木造艇建造の技術を誇る佐野造船所のサノ25ランナバウトと、サノ23フィッシングクルーザーの2艇だ。
サノ25ランナバウトは何度も当記事に登場していて、その華やかさに心を躍らされた方も多いと思う。進水から11年目の今年、細部まで磨き上げるフルレストアが佐野造船所で行われ、ボートショーへの出展となった。艇体に使われているのは、言うまでもなくホンジュラス・マホガニー。設計者であり建造者である佐野造船所の佐野龍太郎社長によれば、マホガニーが熟成したことにより、質感が増し、色に深みがでてきたとのことだ。新艇時には味わえなかった色艶がある。これまではHonda船外機のBF225が搭載されていたが、今回はHondaの新型船外機、BF250Dに換装された。信頼性、耐久性、経済性の面で完熟の域に達したBF250だが、ずば抜けたトルクに、25ランナバウトのテスト走行を行った佐野社長に、笑顔が見られた。ちなみにテスト走行では、6000回転で37.2ノットを弾きだしている。
そしてもう1艇のサノ23フィッシングクルーザーは、オフショアでの釣行を前提に佐野社長が7年前にライン図を起こした23フィート艇だ。フレームにはパイン材を使用し、マリングレード合板で仕上げた艇体に、ボトムを5プライ、サイドハルを4プライのFRPで包み込んでいる。23フィートというよりも、ひとクラス上のボリュームを感じるのだが、根底にあるコンセプトは一人から二人程度のショートハンドでの釣行で、釣りに長けた佐野社長がその使い勝手を追及し、さらにはキャビンの快適さを求めている。もちろん佐野造船所ならではの、ホンジュラス・マホガニーとチークを多用した贅沢なキャビンだ。海が時化て沖に出られないときでも、マリーナでのボートライフが楽しくなりそうだ。
7年前の建造時にはオーナーと幾度となく話し合い、オーナーが持たれていた夢を佐野社長のセンスと技術で具現化した1艇だ。こちらもフルレストアが施された上で、新型のHonda船外機、BF225Dが搭載され、Hondaブースに展示される。

新型BF250Dがトランサムにマウントされたサノ25ランナバウト。テスト走行では6000回転で37.2ノットを記録した。

緑豊かな入り江でも、林立する高層ビルディングを背景にした湾口でも、サノ25ランナバウトはよく似合う。
全長7.70m 全幅2.45m 吃水0.85m 重量2,000kg 定員6名。













Hondaの新型船外機、BF225Dを搭載したサノ23フィッシングクルーザー。


佐野社長が操船し、テスト走行。全長6.90m 全幅2.45m 吃水0.90m。





佐野造船所にHondaの新型船外機2基が並んだ。向こう側が25ランナバウトにマウントされたフラッグシップエンジンのBF250D。手前がサノ23フィッシングクルーザーのトランサムにマウントされたBF225D。

バウデッキの美しさにため息。順調に建造が進むリグビー。

コーキングが終わり、乾燥防止のためにニスを初塗り。一度の塗装でこの美しさだ。
この後、14から15回、サンディンと塗装が繰り返される。ただし、最終塗装のトップコートの吹き付けの時は、足場を組まないと作業ができないのだそうだ。このバウデッキを覆うように鉄パイプが組まれるようだ。






文・写真:大野晴一郎