OCEAN MASTER STORY

世界のプロが選んだHonda

世界で活躍するHonda船外機の
知られざるストーリー

2017.12.25
名匠一族の新たなる挑戦 16

ため息が漏れる美しい艇体は、
走行ポテンシャルの高さを予感させる

ボトム(船底部)のサンディングが終わったところ。
下塗り剤を塗り終わったところ。
下塗り剤はウレタン系とエポキシ系の2種類が使われた。特にエポキシ系の下塗り剤は防腐剤を含んでおり、常時接水する箇所の塗布には有効だ。
そして忘れてはいけないのが、トランサムの処理だ。
RIGBYのエンジンはHonda船外機、BF250が二基掛けされる予定だ。そのためにトランサムは12mmの合板を4層として48mm厚のベースが造りこまれているのに加え、縦方向にも補強材が入っている(写真A、B参照)。このトランサムにはさらに6分厚(約18mm)のホンジュラス・マホガニーが張られる予定だ。
天井の滑車から延びるベルトが艇体に巻かれた。
キールを上に建造されてきた艇体がひっくり返された。その作業は2時間かけて、ゆっくり、そして慎重に行われた。
キールに後付けされたフィンがひと際シャープに見える。直進性が良さそうだ。またトランサムからステム方向に向かってV字に色が変わっているが、これは2種類の下塗り剤を塗っているためだ。
この写真は、RIGBYの船体形状をよく表している。船底は豊かな丸みを帯び、一方でステムから続くフィンとチャインに、エッジの効いたデザインであることを教えられる。バウサイドに立つのは佐野社長。
一回の下塗りの状態ではあるが、ホンジュラス・マホガニーの赤茶色の発色が素晴らしい。シアーラインがグッと絞り込まれたトランサム付近のラインに注目。
フレームと縦通材の造りこみが美し過ぎる。当たり前だが、この造形美はいずれ内装材に隠されてしまう。
船体内側にも防腐効果の高いエポキシ系の下塗り剤を塗布。フレームはアフリカン・マホガニーが使われているのに対し、ステムはホンジュラス・マホガニーが使われている。龍也氏の足元から船首へと延びるステムの色に注目。ひと際赤味が強い。
この写真では、チーク材が斜め張りされたダブルプランキング1層目の状態がよくわかる。
写真A:RIGBYのエンジンは、Honda船外機BF250が二基掛けされる予定だ。エンジンを支えるトランサムは、合板4層で48mmの厚さを確保。この写真では合板が剝き出しだが、いずれ6分厚のホンジュラス・マホガニーが張られる。ちなみにトランサムは13度の角度が持たされている。
写真B:二基のBF250を支えるために、トランサムの内側に縦方向に補強材が入る。
補強材の手前には燃料タンクが収まるが、その容量は700literの予定。もちろん特注だ。
デッキは緩やかな弧を描くラインに。そこに龍也氏のこだわりがある。
取材協力:(有)佐野造船所(http://www.sano-shipyard.co.jp/index2.htm)
文・写真:大野晴一郎
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