OCEAN MASTER STORY

世界のプロが選んだHonda

世界で活躍するHonda船外機の
知られざるストーリー

2017.10.19
名匠一族の新たなる挑戦 14

建造が進む「網船」
粋人に愛された深川生まれの江戸前和船。

「ほぞ」のスリットをノミで広げる。
そしてそのスリットにクサビを打ち込む。
上下の「ほぞ」が打ち込まれたクサビで広がり「ほぞ穴」に固定された。
このあと上棚の面に合わせて突き出た「ほぞ」を落とし、その上から銅板を貼る。
加敷に上棚を仮固定した後、そのつなぎ目に鋸を入れる。これは「すり合わせ」という作業で、上棚、加敷双方の接合面をあえて荒らすことで密着性を高めるという技だ。
上下に見える大きな銅板が「ほぞ」を隠すための化粧板。25本の銅釘が打ち込まれている。華やかだ。船首よりにも大きめの銅板が貼られているが、こちらは舫いを取るための「かんざし」の端を隠すためのもの。
船首付近も完成に近づいた。先端部の水押(みよし)の手前は「合羽」と呼ばれ、網船の所以たる投網を収めておくための場所だ。合羽には一本横に太い木が通されているが、これは舫いを取るための「かんざし」。
上棚の船尾付近に取り付けるクリコベリを製作中の佐野社長。
ノミで細工を施す。
上棚の最後尾に付けられたクリコベリ。台形の各角度には決まりはなく、もっとも粋に見るよう「なりの良さ」を意識して作製された。ノミが入れられている箇所には、すべて銅板が貼られる。

江戸前和船 網船の部分名称

(注:解説に使うそれぞれの写真は建造途中のものです。完成時の仕様は変わります)
取材協力:(有)佐野造船所(http://www.sano-shipyard.co.jp/index2.htm)
文・写真:大野晴一郎
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