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知られざるストーリー

2017.06.26
名匠一族の新たなる挑戦 10

外板に張られていく豪華美材
ホンジュラス・マホガニーが登場

左右両船側板(せんそく=チャインからシアーラインまでの側板)の1層目を張り終えたRIGBYは、いよいよ2層目の船側板張り付け工程に入った。
2層目、つまり船体大外の外板は当初の予定どおり、超高級木材であるホンジュラス・マホガニーが使われる。しかもその木理(もくり)は柾目(まさめ)だ。柾目というのは年輪に対して直角に鋸を入れることで得られる木目のことで、木目が平行に一直線に並ぶ。反りづらく、強いのが特徴だそうだ。ただその挽きかたゆえに高樹齢の大木からしか取れず、ましてホンジュラス・マホガニーの柾挽きとなれは、それは実に希少な木材といえる。
(参考・柾目⇔板目:木材を年輪の接線方向に挽くと現れる山状の木目)
2層目のためのホンジュラス・マホガニーが、龍也氏によって製材されたのは今年3月下旬のことだった。
40年ほど前から佐野造船所が温存してきたホンジュラス・マホガニーが、厚み6分(約1.81㎝)、幅3寸5分(約10.605cm)、長さ16.5尺(5m)に製材された。そして製材後は、2枚継ぎ、あるいは3枚継ぎに繋がれ、長さ32尺(9m80cm)の外板材として加工されていった。
1層目のチーク材は斜めに張られたことは前回のこの記事でご紹介した。
対して2層目のホンジュラス・マホガニーは、舳(みよし=ステム)からトランサムまで、シアーラインとチャインに挟まれた船側を、9m80cmの一本物の部材が真横に張られていく。幅は3寸5分なので、船側を構成するのに必要となるのは片舷で8本。加えて独特の曲線を描く船首および船尾チャイン周りやシアーライン付近には、小さく製材した材料が張られ、鉋で削られる。
完成時をイメージして、木目の入り方や色味などのバランスを考えて張る順番を決めるのだそうだが、切り出す木が同木で、さらに同地域、同時期の木を使うのであれば、無粋な結果を招くことはないそうだ。

ホンジュラス・マホガニーを準備

ホンジュラス・マホガニーを製材したのは、今年3月20日のことだ。
ホンジュラス・マホガニーに電動鉋をかける。削っている面が柾目で、艇体の外板となる。この段階で、すでに美しい木目が見て取れる。
長さ16.5尺(5m)のホンジュラス・マホガニーを6分厚(約1.81cm)に製材。後端を佐野社長が支える。
厚み6分(約1.81㎝)、幅3寸5分(約10.605cm)、長さ16.5尺(5m)に揃えられたホンジュラス・マホガニー。
5mのホンジュラス・マホガニーを2本継ぎあるいは3本継ぎにして、32尺(9m80cm)の外板材を製作していく。
樹脂系接着剤つなぐ。このあとにさらに木ねじを使う。
3分(9mm)のガイドホールに木ねじをねじ込み、固着する。
船体構造を、ここでもう一度振り返ってみたい。
一番内側のフレームが縦方向に立ち、そこに縦通材が横に入って船の骨格が形成され、その上に斜めに1層目が張られた。そして大外の外板2層目が横に張られるわけだ。
最終的な外板の厚みは、6分厚のホンジュラス・マホガニーに加え、1層目のチーク材の厚みが4分(約1.21cm)あるので、合わせて1寸(約3.03cm)となることは以前ご紹介したとおりだ。
張られる直前のホンジュラス・マホガニーを龍也氏に見せてもらった。
そしてそこに、ひとつの技が生かされていることを教えられた。
32尺の一本物に加工されたホンジュラス・マホガニーが、明らかにS字を描いているのだ。大きくフレアーを持たされたバウ付近からトランサムまで、船体の曲線に合わせて外板を張るためには、単に真っすぐな外板材を用意したのではだめで、S字形状を持たせることで、無理なく自然に張れるのだそうだ。
そのためには木材を見て、微かな曲がり具合を見極めることが必要なようだが、素人には実に難解な作業だ。
そのS字形状を持たされた外板材は、シリコン系接着剤を使って1層目のチーク材に固着され、さらに木ねじで締められる。木ねじのために、電動ドリルで3分(9mm)のガイドホールが次々と開けられていくが、その穴には「入れ木(いれき)」と呼ばれる埋め込み材がねじ込まれていく。もちろん入れ木も柾挽のホンジュラス・マホガニーから削り出されたこだわりのパーツだ。
32尺の外板材を見る。注目していただきたいのは、手前・船首方向から船尾方向に向かってSの字に曲線が描かれている点だ。(この写真は右舷の2層目を張り終えた後の左舷側作業。接着のためのシリコン系接着剤を塗布中。6月3日撮影)。
ホンジュラス・マホガニーのしなやかさに驚かされた。
取材協力:(有)佐野造船所
文・写真:大野晴一郎
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