
2015年5月、愛知県蒲郡市海陽町のラグーナビーチ沖で行われた「2015日本グランプリパワーボートレース in 蒲郡」(主催:日本パワーボート協会/愛知県マリンスポーツ連盟)に、BF250を3基掛けしたチーム・コルトの30フィートカタマラン艇(艇番88)が出場した。
パワーボートレースは、艇長、搭載エンジン、排気量などにより、細かくクラス分けされた中で競われるが、今回のレースには、F550、F3000 、V850、V3000、OFF4、OFF2、OFF1、OFF0の8クラスに62艇がエントリー。サイドハルを鮮やかなライトブルーに塗った88号艇は大型艇が競うOFF1クラスに参戦。8㎞の周回コースで行われた60分耐久レースに挑んだ。コックピットに収まるベテランの乗り手に支えられ、初陣を見事完走した。
パワーボートレースは、艇長、搭載エンジン、排気量などにより、細かくクラス分けされた中で競われるが、今回のレースには、F550、F3000 、V850、V3000、OFF4、OFF2、OFF1、OFF0の8クラスに62艇がエントリー。サイドハルを鮮やかなライトブルーに塗った88号艇は大型艇が競うOFF1クラスに参戦。8㎞の周回コースで行われた60分耐久レースに挑んだ。コックピットに収まるベテランの乗り手に支えられ、初陣を見事完走した。



強風のために海面がラフになったため、レースは50分に短縮して行われた。 88号艇は風波の中を無理をせず、後々のレースに活かすデータを取得するため、「初陣完走」を目指して走り続けた。 押さえた走りはべラテンメンバーにしかできないことだ。 レースの数日前には、シェークダウンを兼ねて神奈川県の浦賀沖で行っ た試走で、74〜75ノット(6300rpm)を記録している。「 これはOFF1クラスで勝てるスピードだ」そう語ったのは、BFのセッティングなど艇体の艤装を行った協立マリン(神奈川県横須賀市長瀬)の竹山政宏氏だ。



さらに竹山氏によれば、BF250をレース艇に搭載するにあたり、エンジン本体には一切手を加えていないということだ。海のF-1と称される過酷なレースに、市販のままのエンジンで戦った(BF250の情報はこちら)。 唯一、冷却水は船底に伸ばしたホースより取水することにした。写真のとおりだ。 これは一般的なプレジャーボートの走り方とは違って、高速で波間を飛ぶように走るレース艇が、冷却水を確実に吸い上げさせるための策なのだそうだ。




ところでこの88号艇、今年3月に横浜で行われた「ジャパンインターナショナルボートショー2015」のHondaブースに展示された艇体と同一のものである。もちろんBF250 が3基セッティングされ、来場者の注目を集めていた。そのセッティングも協立マリンで行われた。ボートショー直前の2月下旬、まだデカールも貼られていない無垢の艇体にBF250 がマウントされ、さらに88という艇番シールが貼られ、ボートショーでお披露目された。竹山氏によれば、「このときのエンジンのセッティングは、あくまでもディスプレイ用。レースのための走らせるセッティングとは全く違う」とのことだ。


走らせるためのセッティングは、長年レースに挑んできたチーム・コルトのベテランメンバーのノウハウと、協立マリンの熟達した技術の中で行われた。 たとえば3基並ぶエンジンの切れ角。手動油圧により結びつく3基のエンジンだが、外の2基が30度切れても、センターエンジンの切れ角は27度に収まるように、1割減角セッティングされていることなどもそうだろうし、外側2基のエンジンのために、両舷のスポンソン内に250リッターの燃料タンクが装備されているのに対し、センタ—エンジンの燃料タンクは150リッターに留めてコックピット下に収めたことなど、無駄を省き、バランスを見据えた巧みな計算が見え隠れしている。
「(エンジンがマウントされる)ジャッキプレートは上下幅で6インチほどの可動幅があるけれども、走りながらセッティングを出していかなければならない」(竹山氏談)など、実走の中で求めるチューニングも多くある。「ペラも蒲郡では外側2基がピッチ34、センターが32で走らせたけれども、チューニング次第では変更する可能性もある」 初陣を完走した88号艇だが、目指すのは優勝である。最高のパフォーマンスを得るための準備は、すでに始まっている。
「(エンジンがマウントされる)ジャッキプレートは上下幅で6インチほどの可動幅があるけれども、走りながらセッティングを出していかなければならない」(竹山氏談)など、実走の中で求めるチューニングも多くある。「ペラも蒲郡では外側2基がピッチ34、センターが32で走らせたけれども、チューニング次第では変更する可能性もある」 初陣を完走した88号艇だが、目指すのは優勝である。最高のパフォーマンスを得るための準備は、すでに始まっている。



取材協力:チーム・コルト、(有)協立マリン
文・写真:大野晴一郎
文・写真:大野晴一郎