OCEAN MASTER STORY

世界のプロが選んだHonda

世界で活躍するHonda船外機の
知られざるストーリー

2017.04.26

世界から釣り客が集まる、
ノルウェー北部のフィッシングリゾート

SALTSTRAUMEN BRYGGE
サルトストラウメン・ブリッジ

橋の真下が世界最速の潮が流れるサルトスラウメン海峡。
大魚が潜むフィヨルドの海。
ボートフィッシング・シーズンは酷寒の2月から。

どんな魚が釣れるのか、クルトさんに訊ねてみた。
答えはずばり、「モストリー、フラットフィッシュ!」
そして彼は「ハリバットとか」と続けた。
フラットフィッシュというのは、ルアーフィッシングではヒラメやマゴチなどを広く指すが、ハリバット(オヒョウ=大鮃)もカレイの仲間でフラットフィッシュである。全長2m以上の巨大なやつがサルトストラウメン周辺の深場に潜んでいるそうだが、こいつがなかなか獰猛なやつで、ランディング直後の最後のあがきでアングラーが怪我をすることもある。ハリバットに限らず、巨大魚をボートに引き摺り上げる時は注意が必要だ。
サルトストラウメン・ブリッジ周辺では、ハリバットのほかにポラック(たら)や、ウルフフィッシュ(オオカミウオ)などが釣れる。釣りの準備をするクルトさん。
巨大なハリバットをノルウェーではどうやって食べるのか訊き忘れたが、フィッシュ・アンド・チップスに使わるように、フライにしてみたりムニエルにしたりするのだろう。
日本ではヒラメの代用品扱いだが、”えんがわ”を食すことはよく知られている。もっとも大きくなり過ぎたハリバットは、五蕗六茸(ごふきろくたけ)のようなもので、食べるためというよりも、格闘しつつ釣り上げること自体が面白いのだと思う。
サルトストラウメン周辺では、ハリバットのほかにポラック(たら)や、面構えは厄介だがムニエルにすると美味いウルフフィッシュ(オオカミウオ)や、デビルフィッシュ(オニイトマキエイ)なども見られる。魚種は豊富だ。

ボートフィッシングのシーズンは2月から10月と聴き、ちょっと驚いた。
2月は真冬だ。しかも場所は北極圏。
ひどい寒さの中でもHonda船外機を頼りにレンタルボートで海を走りまわるのだから、大物を釣ろうとする釣り人の執念は凄い。ちなみに今年2月27日のボードー市の天気をネットで調べてみたら、晴れ時々曇りで気温は-2℃から-4℃とあった。クルトさんからは、「日によっては-10℃から-20℃にもなる」と聴いている。
真夏でも日本の高原リゾートのように爽やかな風が吹き渡るのが北極圏の街だが、海上ではちょっとでも日が陰れば体感は真冬。日本では「夏でも冬支度」というのが沖に出る時の常識だが、ノルウェーでは「夏でも真冬支度」といったところか。
魚種は豊富。鯖などは入れ食い状態。その鯖でハリバットを狙ってみようと言ったクルトさんだったが・・・。
サルトストラウメン・ブリッジ周辺での大魚釣りには、大きめのソフトベイトが使われる。
「時間だ。海に出よう」
腕時計を見たクルトさんが、おもむろに言った。
それまで海に面したウッドデッキで、頼もしげな風貌のクルトさんから魚の話を聴いていたわれわれだったが、日本ではめったに着ることのない分厚いフローティングジャケットが手渡された。
そして彼の23.5フィートの愛艇で、世界最速の海流へと向かった。
BF250でフィヨルドの海を行く。
取材協力:サルトストラウメン・ブリッジ
SALTSTRAUMEN BRYGGE :Laukengveien 4 8056 Saltstraumen
文・写真:大野晴一郎
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