2025.10.29

“世界に挑む人” 熱気球 & F1™【後半戦】

“世界に挑む人” 熱気球 & F1
【後半戦】


「Honda Hot Air Balloon Racing Team」で、世界の頂点を目指す上田諭パイロット。その上田選手のもとに、F1ドライバーレギュラーシートを目指し、現在はF1のリザーブドライバー、そしてスーパーフォーミュラの選手として活躍するレーシングドライバー、岩佐歩夢選手が訪れた。世界に挑む2人の対談、後半戦です。

見えないものが、

見えてくる。

─二人の違い



──2人とも乗り物を操るスポーツ。ちなみに許されるなら、ずっと乗っていたいですか?

岩佐選手 僕はそうですね。実車でサーキットを走るからこそ得られるものが多くある。考えることも準備することも大事ですけど、乗れば乗るほど、絶対、成長すると思う。感覚が磨かれますし、見えなかったものが見えやすくなる。あと僕の話でいえば、幼い頃から運転する時間が楽しくて、ある意味、夢のような時間なので、ずっと乗ってたいですね。

上田選手 伺いながら、私はそうじゃないかもと思いました。例えば3分しか飛ばない日があっても、その3分の中での勝負所を2時間とかチームで話し合ったり考えたりする。それが楽しいと感じています。いろんな視点を得られたり、他チームから自分が知らない情報をもらったり、後から攻略を思いついたり。そういう時間から満足感を得られるので、ずっと飛んでいたいということではないかもしれません。

風の影響は

すごく大きい。

─風


――2人のスポーツの共通点に、風があります。モータースポーツ、F1なら時速300kmで風を斬る。熱気球は風を読んで、風にのる。風って、どう感じますか?

岩佐選手 フォーミュラカーは風を利用して走らせるんで、風の影響はすごく大きい。そこを理解すると、マシンのパフォーマンスも上がりますし、ドライバーも精度の高いパフォーマンスが発揮できる。先ほど実際に、熱気球に乗って、風や天候のコンディションに対応する大切さを、あらためて思いました。風、風向き、気温とかをもっと理解したら、もっといいパフォーマンスが出せるんじゃないかなって感じました。気球に乗って再認識できた、ありがとうございます(笑顔)。

 

上田選手 同じ北風でも、天気図通りに吹いているという情報と、山の斜面から下ってきたから、日射で山が温まると消えていくという情報とでは、意味がまったく違ってくる。地上気温が10℃になる前に、その風を先に使い切りましょうって判断ができたりとか。熱気球は風や天候の勉強が尽きない、調べれば調べるほど奥が深い。そこが、面白かったりもするんですけど。

岩佐選手 風は、刻々と変わっていくものですよね。例えば、風が東から吹いているとデータはなってても、どこかのコーナーに行ったら、大木があって東からの風が当たりにくくなっていたり、開けてるコーナーで急に突風が吹くとか、クルマの挙動が変わってしまうことがしょっちゅうある。完璧に風を操る、リアクションするのは、ほぼ不可能ですけど、どれだけ精度高く詰めれるかがやっぱり勝負。それが面白いのかなって思います。

限界の先へ、

もう一歩いける。

─心に刻まれる言葉


――世界に挑む2人の、心にいつもある言葉や格言は?

上田選手 限界って思ったところから、もう一歩いける。限界を超える時の、頭のネジを外すみたいな想いがいつもあります。些細な例えなら、お腹いっぱいになってからもう一口食べれるよねとか(笑)。計画からその瞬間の操作まで。限界と思ってからもう一歩、もうちょっといけるという感じが、いつも心に。

――自分を超えろ、という感じでしょうか。岩佐選手は?

岩佐選手 自分の言葉ではないけど、僕が鈴鹿サーキットレーシングスクール(現:ホンダ・レーシング・スクール・鈴鹿)に入ったときの校長先生で、今も現役の佐藤琢磨さんがいつもおっしゃってる「ノーアタック、ノーチャンス」。本当にその通りだと。チャレンジしなければチャンスがないですし成功もない。それしかないと思っています。

挑み、頂点へ。

それがホンダの魅力。

─Hondaとともに



上田選手 ここ、Honda Collection Hallを見学して、Hondaって四輪販売に挑戦してすぐに、F1に挑戦したって描かれていて、とんでもないなぁ、でもやっぱすげえなって思います。いろいろ考えてリスクヘッジしていくと無難なことばっかり選んじゃいがちの時代ですけど、何か飛び抜けた目標があると、みんなを引っ張っていく、そんなことの大切さを思いました。私も、Hondaや岩佐さんと一緒に世界一を目指していきたいですね。

岩佐選手 僕的には、Hondaと言えばHondaスピリット。失敗があってうまくいかないときもあって、その先に一番を獲りにいくチャレンジ精神がすごく好きです。レースといえばHondaみたいに、簡単な言葉でよく言われますけど、そうじゃなくて、いろんなことに挑戦してトップを目指し進む心を持つ、それがHondaの魅力。僕も今、F1のレギュラーシートを獲得して最終的にワールドチャンピオンになって、そこにい続けることが目標。さらに強く速くなって、どんどんHondaとともに、チャレンジしていきたいと思っています。

――世界に挑む2人。自分を信じ自信にあふれているとともに、自分の状況や周りをしっかり見つめている感覚が、2人ともに共通していました。熱気球に乗る前に少し緊張気味だった岩佐選手、上昇してもてぎのサーキットの全周が見えてきたときに浮かべた満面の笑顔が印象的でした。

撮影協力:モビリティリゾートもてぎ
https://www.mr-motegi.jp/

  • 中村さんが描いた新バルーンが、
    地元・唐津市立浜崎小学校で披露された。

――さて読者のみなさんにもう一つ、お伝えしたいこと。

この日、2人が乗ったバルーンは、実はイギリスから届いたばかりのHondaの新作でした。そこには可愛いイラストが。実は「あなたの夢をデザインにして」と呼びかけたバルーンデザインコンテストで、応募のあった3,316点から選ばれた最優秀賞、中村 僚さん(当時、小学3年生)の作品が、実際に熱気球に描かれたもの。このバルーン、中村さんの小学校で、そして熱気球ホンダグランプリ 第3戦 佐賀大会でお披露目します。

今回の記事はいかがでしたか?
ボタンをクリック!

  • 面白かった!
  • イイネ!
  • イマイチ

Ranking

人気記事ランキング

Recommend

編集部おすすめ