2025.9.26
世界的に人気が高まる「eモータースポーツ」。Hondaも毎年、大会を開催するなど機運が高まっている。その「eモータースポーツ」の世界的なプレーヤーが、福島県のHonda Carsで働いていると聞きつけた編集部は、会津若松へと向かった。待っていてくれたのは、サービススタッフの鈴木聖弥(21歳)さんでした。
──世界的な「eモータースポーツ」プレーヤーだと聞きましたけど?
鈴木さん 「グランツーリスモ」が好きになってハマって、最初は家で父や友だちと楽しんでいたのですが、6年ほど前、15歳くらいの頃から、いろんな大会が開催されるようになったので、挑戦してきました。
──海外の大会にも実際に行ったとか?
鈴木さん 初めて大会に挑戦したときに、県で一位に。喜んで全国大会に進んだら、そこでは予選通過もできなかったんです(笑)。それでくやしくて、やる気が高まって、次々に挑戦。リアルに海外に行ったのは、18歳の時にオーストリアのザルツブルクに、今年もロンドンに行きました。
──くやしい思いが原動力?
鈴木さん それと同時に、どこまで自分が闘えるのか? いけるのか? を知りたくて。昨日までの自分を超えたいといいますか。
──「負けるもんか」ですね。でも18歳で海外の大会に参加するって、すごい勇気ですね!
鈴木さん 英語も堪能じゃなかったし、不安だらけ。プレッシャーもすごかった。でも2023年のオランダで開催された大会で、2位になりました。
昨日までの
自分を超えたい
──その後、国内の数々の大会でも、ほぼ、優勝か2位ですね! 天性の才能ですか?
鈴木さん いえいえ、始めた小学生のころには、父親に負けていましたから(笑)。どんどん経験を重ねてレベルアップしてきて、最近は、大会でも結果を出せるように成長できたと思っています。
──最近、「全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2025 SHIGA」オンライン予選では、全国最速ラップタイム 1‘59.990を(非公認ですが)叩き出したという、鈴木さん。そのすごい実績は、Honda Carsのサービスユニフォームの下に隠されています。
──いつからHonda Carsで?
鈴木さん 2年前からです。元々、父とレース観戦(スーパーGT)にも行っていて、Hondaの圧倒的な強さがかっこいいと思っていましたし、NSXの速さに憧れて、Hondaが好きになりました。それで、Honda Carsに入社するために整備の専門学校があるので、高校から下準備して。今も勉強継続中です。
──いかがですか? ゲームの世界ではない、クルマの世界は?
鈴木さん 楽しいです。でもリアルでは、乗っているのもN-ONEですし、ゲームとは違います。
――最近ではリアルに、サーキットで「N-ONE OWNER'S CUP」に出場したとか??
鈴木さん 人生初でリアルなレースに出ました。会社が参戦するということで、宮城県にあるスポーツランドSUGO(サーキット)でドライバーとして挑戦しました。ゲームとはまったく違った、けど、すごく楽しかったです。
――eモータースポーツでは世界トップクラス。でもリアルなサーキットは難しかった?
鈴木さん ゲームは接触してもなんとかなるけど、リアルでは、アウトですから(笑)。繊細な動き、繊細な運転をしないと上にはいけない。でも走るうちにだんだん、コーナーをこう攻めようとか考える余裕も持てたのは、バーチャルの経験があったからかなって思います。練習では、先輩たちから多くのアドバイスをもらいました。
――8月9日、スポーツランドSUGO、「カーズ福島レッドべこN-ONE」としての挑戦の結果は、参加44台中、16位に。でも初挑戦とは思えないほど鈴木選手は、アグレッシブに他の車両を抜いていたそうです。
鈴木さん 一番の違いは“重力”のかかり方でした。ゲームとは違ってリアルは、身体に重力=Gがかかる。それに耐えながら走るのは、まったく違いました。GTのドライバーのみなさんとか、すごいなってあらためて思いました。
──また挑戦したいですか?
鈴木さん もちろん! 楽しかったですし、目標は表彰台です! 去年の自分を超えていくのが、自分の人生テーマなので、リアルなレースでの勝利は、次の目標になりました。
──これからはリアルなレースもどんどん?
鈴木さん いえいえ(笑)。主戦場は、eモータースポーツ。今も家に帰ると、日々練習をしていますので、まだまだ挑戦していきたいです。そして今回リアルレースに出て、その大変さをあらためて感じて、今後もスーパーGTを応援していきたい。ドライバーはすごいと思うので、Hondaに、HRCにもっとがんばって欲しいです!
──バーチャルとリアル、両方でのレースに挑戦していますが、お店での鈴木さんの挑戦は?
鈴木さん まだまだ勉強中です。お客さまにわかりやすく説明できるようになること、それとこれからEVのクルマも増えていくので、整備の勉強も重ねないといけない。でも自分のテーマ=自分を超えるというモチベーションがあるので、がんばります。
──そう語る鈴木さんの表情は、なかなかキリッと引き締まっていました。
──最後に、eモータースポーツのトッププレイヤーとして、伝えたいことは?
鈴木さん ゲームを楽しんでいる人たちに伝えるとしたら、楽しむことを超えて大会を見て欲しいなと思います。そこでしか見えない、景色とか価値観があるので。そういう景色をプレイヤーに見て欲しいし、自分はそれがすごく刺激になった。勇気をだして海外に挑戦した経験が、今の自分のチカラになっていますので。
──昭和から平成だったら、漫画や映画を通じてクルマに興味を高めていくことが多かったと思いますが、令和の時代では「eモータースポーツ」が大きな入口であることを、あらためて実感しました。「eモータースポーツ」は、世界的には一億人以上、日本でも400万人以上のファンがいるといわれています。バーチャルからリアルな世界へ挑戦した鈴木さんのお話は、とても興味深く、かつ驚きがありました。同時に、ゲームの世界からサービススタッフになる道もあるんだと学びました。
自分がどこまで出来るか、知りたくて、海外の大会に飛び込む。その“挑戦する心”は、きっと鈴木さんのサービス業務にも活きてくるのでは。がんばって! Honda Carsで働く、世界のトッププレイヤー!
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