2025.9.5
山形県酒田市、昭和の大ヒットドラマ『おしん』の舞台。そこに、ペーパークラフトのエキスパートがいると聞きつけ、編集部は会いにいきました。待ってくれていたのは、年季の入ったスーパーカブに乗る、大谷 明さん。
──お! 素敵なカブにお乗りいただいていますね!
大谷さん 大学の頃に購入してから、もう16年ほど乗っている私の愛車です。
──そのカブはペーパークラフトじゃないですよね?(笑)
大谷さん 実は、カブを好きになって、このスーパーカブを創ったのが、私のペーパークラフトの原点なんです。そこからHondaの製品を次々に、ペーパークラフトにしてきました。
──普段は、海ゴミから環境問題を考え、解決する輪を広げていく活動を仕事にしている大谷さん。ペーパークラフト活動は、あくまでも副業だそうです。
幼い頃から、
ものを創ることに
触れていた
大谷さん 両親が木工製品を副業で創作していたこともあって、幼い頃から、ものを創ることに触れていたんですけど、ペーパークラフトの始まりは、大学の時に、中古で買った自分のカブを創ったのが始まりです。その後も何台も設計しました。こちらは愛車のオールペイントをきっかけに、最近、創り直したものです。
──確かに本人の愛車にそっくりなカブの作品が。その横にも、さまざまなHonda製品の作品が並んでいました。
大谷さん F1は、父親の影響もあって10代の頃から観ていました。セナの時代のレースも、父親のビデオで観ましたし、アースカラーでバトンとバリチェロが闘っている時代は、ずっと観ていましたね。だから、F1マシンも創ってみたくなって。
大谷さん Beatは大好きでしたね。小さい頃、Beatのミニカーで遊んでたのを覚えています。なので、Beatを嫌いな人なんていないんじゃないかって思うんですけど(笑)。Hondaの製品って、やっぱりユニークなものが多いので、ペーパークラフトにチャレンジしたくなるんです。
──笑顔で語る大谷さんが、次に箱から取り出したのは‥‥おおー! HondaJetじゃないですか!!
大谷さん Honda magazineさんが来ると聞いたので、新作としてHondaJetを創ってみました。
──おおーすごーいじゃないですか。
大谷さん 私、本物を観たことがないので、青森の三沢(航空博物館)まで行こうか、迷ったんですけど、ネットで写真を集めて、それでもわからない箇所はいろんな動画をコマ送りして、がんばって創ってみました。
──難しかったでしょ?
大谷さん コックピットの形状が少し。でもバイクより部品数が少ないから、そこまででもなかったですね。ちなみに、展開図を組み立てて修正してやり直す、その過程がわかるように、途中段階のモデルも並べてみました。
――展開図って、すべて自分で考えるんですよね?
大谷さん パソコンで3Dモデルを専用ソフトで展開するときって、いろいろ考えることがあるんです。シンプルな形でも展開の仕方は無数にあって、誰が創っても歪まないように工夫しながら、できるだけ組み立てやすい形を目指します。
とはいえ、実際に組み立ててみると違うことも多いので、試作を重ねながら少しずつ展開図をブラッシュアップしていきます。
ちなみに、今回、この展開図を編集部にお渡ししますので、データを読者のみなさんに共有していただいてかまいませんよ!
――何度も修正して挑戦してくださったHondaJetのペーパーモデル。そのデータを読者のみなさんにもダウンロードいただけることになりました!!
――大谷さんがそこまでペーパークラフトにハマった理由は?
大谷さん 組み立てるだけでなく、展開図から考えるのが面白いし、紙という素材が好きなんです。だからプラモデルや木じゃなくて、ペーパークラフトが好きなんです。
でも実は「人形の久月」の日本人形製作では、師範の免許をもらいました。なので、人形もいけますよ(笑)。
――ペーパークラフトはあくまでも副業、家庭での時間が大変ですよね?
大谷さん そうですね、子育てが大変なころはやれなかったです。今は、息子も中学生になったので、また熱が高まってきた感じです。
――今では、ビジネスとしても広がっているとか?
大谷さん メーカーさんの許諾がいらないような、私が妄想したバイクやレースマシンをペーパークラフトにして販売したり。あと海外から、色々なオファーもいただくので。今はSNSで、海外から“展開図を組み立てたよ”って色んな国の人から届くので、面白いですね。
――今回は、HondaJetの展開図のデータを、本当にありがとうございます。
大谷さん 説明書も付けますね。あと、使う紙が大事ですので、ご注意ください。
――どうしてHondaをそんなに応援してくださるんですか?カブやF1が好きだからですか?
大谷さん もちろんカブやF1が入口ですけど、Jetを創ったり、最近ではロケットを飛ばしたり、いろんなものを創る。それらはバラバラのようで、ちゃんと、必要な人が喜んで使えるという共通点があると感じています。そういうHondaが好きですね。
――HondaファンとしてHondaに伝えたいことは?
大谷さん 来年からF1、期待しています。それとこれからもユニークな製品を創って欲しいです。あ! あと、JADEが好きだったので、ああいうクルマもお願いします。
――終始、にこやかな表情の大谷さん。編集部は、Hondaのユニークな製品を大谷さんがまた創りたくなることに、大きな期待がふくらみました。
きっと遠くない日にHonda magazineで、次の大谷さん作品を公開できるのではないかな、そんな想像をしながら、酒田市を後にしました。
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