歴史に埋もれたスポーツカー 後編
「人々の生活に役立ちたい」という想いと「走りの楽しさを広げたい」という想いから、Hondaが1963年に日本で初めてクルマを発売して、ちょうど60年。
前編に続き、その歴史の中の裏話として和光デザインセンターから入手した「歴史のなかに埋もれたスポーツカー 後編」をお届けします。
Honda Magazineが初出し!「世に出なかった挑戦」の歴史、ご覧ください。
2003年―
「V6 ミッドシップ オープン スポーツ」
オデッセイを中心にしたクリエイティブ・ムーバーや、FITが大ヒットになっていた裏側で、デザインスタディが進んでいたプロジェクト。1999年発売のS2000も人気となっていたことも後押ししたスポーツカーは、V6エンジンをミッドシップにレイアウトしたオープンカー。
注目したいのは、ハードトップ格納スタイルの屋根=リトラクタブルハードトップであること。1992年にHondaはハードルーフを電動で格納する2名乗車の「CR-X デルソル」という画期的なクルマも発売していたが、このクルマは4人乗り!で、ハードトップ格納ルーフという、挑戦的なスポーツカーとして企画されていたそうです。
「これ、今、発売されても、欲しがる方も多いのでは!」
編集部メンバーがそう思わされるほど、魅力的なデザイン。デザインスタディではあるが、クレイモデルだけではなく、プロトタイプ(実際に運転できるモデル)まで仕上がっていた様子。幻となったことが、実に、残念ですね。
ライトウェイトスポーツカーが世界的に人気となった時代のなか、Hondaもコンパクトで価格も手が届きやすいスポーツカーをゼロから開発しようとしていた。そのプロジェクトで生まれた、5ナンバー、FFオープン2シータースポーツカーが、こちら。
先述の「V6 Midship Open Sports」の車両と同じように、電動格納式のリトラクタブルハードトップを採用。そして、エンジンは軽自動車の3気筒ターボを、800ccまでボアアップ。
まるで、1966年から70年まで発売され、伝説的な人気にまでなった「S800」へのオマージュといえるようなクルマですね。
ボンネットのバルジは、まさにS800へのオマージュ。
残念ながらこのスポーツカーも、発売にはつながらず、夢に終わったとのこと。
後編では、21世紀になってから、幻となったスポーツカー2台をご紹介しました。
Honda初のスポーツカー「S500」から60年。数々のスポーツカー開発に挑戦し、時代を先駆けてきたHonda。でも、その歴史のなか、発売前に中止となり、幻に終わることも数々。デザイナーたちの懸命な想いも、すべてが、世に出るわけではない。
夢が夢となることも、多い。
それでもHondaは、また夢を追う。
何度でも。諦めずに。
Honda Magazine初出しのレポートでした!
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