Honda Magazine

Hondaオーナーのみなさまに、
Hondaの裏話や真実を楽しくお伝えする雑誌です。

「F1 チャンピオン獲得」の縁の下の力持ちたち 「F1 チャンピオン獲得」の縁の下の力持ちたち
2022.2.1

ちょうど1年前、HondaのF1ラストイヤーの闘いが始まる前に編集部は、HRD Sakuraの開発メンバーたちにインタビューを行い掲載した。全22戦の闘いを経た今、もう一度同じメンバーに取材を申し込んだ。理由は明快である。「やるからには勝ちたい」「全力でチャンピオンを目指す」……そんな1年前のメンバーの言葉が、最終戦のわずかラスト1周で、現実となったからである。

1年間の壮絶な闘いの果てに、全てが最後の1周で決まった。映画のような結末が、Hondaに30年ぶりの栄冠をもたらした。

サブビジュアル

――日本時間の夜中でしたから当然ですが、10名全員が自宅で観戦。各々、興奮しただけでなく、チーム内でSNSが飛び交い、翌日の午前中の勤務時は、みんなが興奮して話したそうです。それは当然ですよね。リアルタイムで見た読者のみなさんは共感してもらえると思いますが、正直、難しいかなと思っていた展開が、最後の10分、いや3分で、劇的な勝利の時間が訪れたのですから。世界中、見た人はみんな興奮したはず。

トップでゴールするフェルスタッペン選手

――さて1年前を振り返ってみると、全員、けっこう強気とも思える発言。1年を経て、それが有言実行となり、劇的な勝利を味わったメンバーたち。この栄冠を、どう感じたのだろうのか?



研究所 開発メンバーのVOICE!


久保 ― 19年、初勝利のレースで涙。で今シーズン開幕戦は2位で、すごく悔しかった。悔しくて悔しくて、その時にチャンピオンじゃなきゃダメだと実感。そんな自分も含め、チーム全員、一度もあきらめなかった。その執念みたいなものが風を吹かせたと思います。
久保 ― 19年、初勝利のレースで涙。で今シーズン開幕戦は2位で、すごく悔しかった。悔しくて悔しくて、その時にチャンピオンじゃなきゃダメだと実感。そんな自分も含め、チーム全員、一度もあきらめなかった。その執念みたいなものが風を吹かせたと思います。
大平 ― 私は1年前に「やるからには勝つ」と言いましたが、本当に勝ってしまった(笑)。でも本当に頑張ってきた開発メンバーののおかげで体現できたかなと。自分自身も切磋琢磨できて、成長できた。ホント、みんな一丸となって、一生懸命頑張ってきました。
大平 ― 私は1年前に「やるからには勝つ」と言いましたが、本当に勝ってしまった(笑)。でも本当に頑張ってきた開発メンバーののおかげで体現できたかなと。自分自身も切磋琢磨できて、成長できた。ホント、みんな一丸となって、一生懸命頑張ってきました。
宮下 ― 1年前に「上層部に後悔させてやる」と言いました。今は「やっぱ後悔していますか?」って聞きたいです(笑)。僕は、チームみんなの祈りが通じたんだと思っています。正直、ラストイヤーの一年、厳しいかな、ダメかなと思ったのが八割九割。でも祈るような想いと、あきらめない心が、みんなにあったんだと思います。
宮下 ― 1年前に「上層部に後悔させてやる」と言いました。今は「やっぱ後悔していますか?」って聞きたいです(笑)。僕は、チームみんなの祈りが通じたんだと思っています。正直、ラストイヤーの一年、厳しいかな、ダメかなと思ったのが八割九割。でも祈るような想いと、あきらめない心が、みんなにあったんだと思います。
山内 ― 中学の頃からずっとハマってきたF1。その勝利が、映画化して欲しい位のレースで本当に感動しました。自分が関わったことが、どれほど貢献できたかはわかりませんが、自分のできる最善は尽くしたと思っています。そして最後、誰も諦めていなかった。
山内 ― 中学の頃からずっとハマってきたF1。その勝利が、映画化して欲しい位のレースで本当に感動しました。自分が関わったことが、どれほど貢献できたかはわかりませんが、自分のできる最善は尽くしたと思っています。そして最後、誰も諦めていなかった。
須藤 ― 最高のカタチで終えられました。私はアルファタウリ担当だったので、角田選手の4位フィニッシュも含めダブル興奮でした。やっぱり最後まで「あきらめない」というのが勝利につながったと思います。貪欲に小さな可能性も掴みにいく姿勢、これにつきますね。それがHondaだとあらためて思います。
須藤 ― 最高のカタチで終えられました。私はアルファタウリ担当だったので、角田選手の4位フィニッシュも含めダブル興奮でした。やっぱり最後まで「あきらめない」というのが勝利につながったと思います。貪欲に小さな可能性も掴みにいく姿勢、これにつきますね。それがHondaだとあらためて思います。
吉池 ― 1年前「苦しみ9割」と言いましたが、この1年もそのままです。勝って報われる部分は大きいですが、やはり開発という意味では苦しい日々でした。でも、みんなのここまでの苦労や想いが最後に流れを呼び込んで勝利に繋がった。みんなの努力が最高のカタチとなって報われて本当に良かったと思います。
吉池 ― 1年前「苦しみ9割」と言いましたが、この1年もそのままです。勝って報われる部分は大きいですが、やはり開発という意味では苦しい日々でした。でも、みんなのここまでの苦労や想いが最後に流れを呼び込んで勝利に繋がった。みんなの努力が最高のカタチとなって報われて本当に良かったと思います。
稲垣 ― 最終戦だけでなく、シーズン前半から十分闘えたことが大きい。一昨年の開幕戦はリタイアでしたが、今シーズン開幕戦は二位になった。つまり、開幕までに開発を仕上げられていたということ。ここが大きい。それってチーム力の成果だと思っています。
稲垣 ― 最終戦だけでなく、シーズン前半から十分闘えたことが大きい。一昨年の開幕戦はリタイアでしたが、今シーズン開幕戦は二位になった。つまり、開幕までに開発を仕上げられていたということ。ここが大きい。それってチーム力の成果だと思っています。
池ヶ谷 ― 撤退が決まってから4ヶ月位で、新規エンジンを投入。そのために開発も大変でしたけど、各GPへのパワーユニットの払い出しチェックも大変。チームのみんなが世界一の仕事をしたんだと思います。やれることを全てやって、持っている技術は全て出した、これが結果になったんだと思います。
池ヶ谷 ― 撤退が決まってから4ヶ月位で、新規エンジンを投入。そのために開発も大変でしたけど、各GPへのパワーユニットの払い出しチェックも大変。チームのみんなが世界一の仕事をしたんだと思います。やれることを全てやって、持っている技術は全て出した、これが結果になったんだと思います。
八頭司 ― 私はメカニックとして現場に何回か行ったので、アルファタウリも含めてチームHondaの一体感をすごく感じて嬉しかったですね。そして何より、毎戦、悔いがないようにと闘う、現場の想いを強く感じました。その想いが結果になったのでは。本当は最終レース、現場にいたかったんですけど、ね。
八頭司 ― 私はメカニックとして現場に何回か行ったので、アルファタウリも含めてチームHondaの一体感をすごく感じて嬉しかったですね。そして何より、毎戦、悔いがないようにと闘う、現場の想いを強く感じました。その想いが結果になったのでは。本当は最終レース、現場にいたかったんですけど、ね。
峯崎 ― ハミルトン選手に追いつけない状況でもフェルスタッペン選手はあきらめずに走っていた。それって現場のメカニック含め、いいコミュニケーションができていて信頼しあっているからだったと思います。そのチームワークに、運が舞い降りたと思います。
峯崎 ― ハミルトン選手に追いつけない状況でもフェルスタッペン選手はあきらめずに走っていた。それって現場のメカニック含め、いいコミュニケーションができていて信頼しあっているからだったと思います。そのチームワークに、運が舞い降りたと思います。

――メンバーから多く聞こえてきたのが「あきらめない」心が勝利になったという声。そして、リーダーの浅木さんが大英断した新エンジン投入という勝負に、各々がやれるだけのことを懸命にやったという姿勢だった。以前「負けるもんか。」というHondaのCMコピーがあったが、HRD Sakuraそしてチーム全体の想いは「あきらめるもんか。」だったようだ。その想いが、30年ぶりの栄冠をもたらした、そう感じた。

表彰台でのフェルスタッペン選手

――さて、劇的な勝利体験を経たメンバーは今後、どんな未来に向かうのだろう?



開発メンバーの向かう先、それは

久保久保

久保 ― 今回の成功体験は必ず活きると思っています。正直、無謀な挑戦だなというところから始まってますし。ここまで成し遂げられたのは、志を高く持つことと、準備や予測を大切にすることじゃないかと。今回の結果で感じたのはHondaは、想像できることで達成できないことはないと信じる人が集まっていると。その一人でいたいと思います。

大平大平

大平 ― F1の開発で学んだことは、スピード感を持った対応力。と同時に、細かいところもおろそかにしないこと。今後はわかりませんが、例えばカーボンニュートラルという課題に対しても同じかと。負けないようなスピード感と細かさを忘れずに進みたい。

宮下宮下

宮下 ― 上層部には、撤退をもう一度考え直せば、まだ間に合うかもって(笑)伝えたいです。やはり今回「あきらめない」ことが本当に大切だと思いました。今後もHondaのなかで何をするにせよ、あきらめないで自分のパフォーマンスを出し切っていきたい。

山内山内

山内 ― 次の分野はまだわかりませんが、F1で得たスキルを大切にして挑戦していきたいです。ただ今回の勝利体験がすごくて、これ以上の刺激と出会えるか、今はそんな思いもありますが、また挑戦して成長したいなと。そしていつか、もしもしF1復活ということがあったら、自信を持って手を挙げたい。

須藤須藤

須藤 ― カーボンニュートラルの領域でも、F1で培った技術が多く活かせると思っています。そして何よりも、F1で培った「挑戦する気持ち」をHondaとして大切にしていきたい。

吉池吉池

吉池 ― F1に関わり、限られた時間のなかで正確な結果を迅速にアウトプットする事をとくに意識してきました。求められるレベルも高いですし。だからこそ、勝つという結果が、自分自身の自信にもなる。そして今回、やはり技術の底力がHondaにはあると改めて実感しました。挑戦して何かを成し遂げる、それこそがHondaであり、自分自身もその一員でありたい。

稲垣稲垣

稲垣 ― 終わりなき挑戦がF1の時間でしたので、今までも、今も変わりないです。さらに今後、他の開発に関わっても、課題に対して日々進めるというのは同じこと。F1で学んだ闘いを胸に、日々進めていきたい。

池ヶ谷池ヶ谷

池ヶ谷 ― すごい人がいっぱいいるんです、Hondaには。アクが強くて発信力があって。そういう人たちから学べることは多いと感じています。リーダーの浅木さんとかに多くの経験をさせてもらったので、次は自分が若い子たちに伝え、同じような経験をさせてあげたい。またF1にチャレンジできる機会があれば……。

八頭司八頭司

八頭司 ― 今回の結果でも感じましたが、Hondaは世界的にも技術力がある会社だと思います。それをもっと誇れる会社でいて欲しいし、自分も技術力にこだわっていきたいです。

峯崎峯崎

峯崎 ― ワールドチャンピオンは、すごく大きな財産。これから先に、辛いこととかあっても、この財産を思い出して励みにしていきたいです。人生が変わると言ってもいいほどの体験でした。そういう体験ができるHondaっていいなと思っています。





――新たな道に向かう今、チーム全員が今回の体験の大きさを噛みしめながら語ってくれた。F1ラストシーズンがHondaにもたらしたものは、栄冠だけではなかった。HRD Sakuraのメンバーの、今後の自信と指針も与えてくれたようだ。
最後にメンバー数名から「またいつか復活したい」という声を書いて欲しいと頼まれた。F1復活、未来のことは誰にもわからない。ただ、今、わかること。それはF1開発でのメンバーの経験と体験は、きっとHondaの未来の技術につながっていくだろうということ。


F1勝利の、縁の下の力持ちたち、本当におめでとうございました!



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