Honda Magazine

Hondaオーナーのみなさまに、
Hondaの裏話や真実を楽しくお伝えする雑誌です。

F1への挑戦、ラストイヤー。HRD Sakura 研究所精鋭メンバーのVOICE! F1への挑戦、ラストイヤー。HRD Sakura 研究所精鋭メンバーのVOICE!
Hondaのパワーユニット(PU)を搭載した2019年Red Bull Toro Rosso Honda(レッドブル・トロロッソ・ホンダ)マシンSTR14
2021.4.13

2021年、いよいよHondaのF1チャレンジのラストイヤーが開幕。初戦でも熾烈なトップ争いを見せ、日本人ドライバー角田選手もポイントを獲得するなど、わくわくする闘いが始まりました。その闘いを、裏で日々支えているのが、パワーユニットの開発メンバー。
Honda Magazineでは、開幕前に開発メンバー10名、一人ひとりに気持ちを伺いました。今回は誌面に入り切らなかった、彼らの熱い情熱と、開幕前の心中をお伝え致します。
開発に携わる者にとって、ラストイヤーという事実は残念で寂しい気持ちを抱えてはいましたが、その現実を跳ね飛ばすような強い言葉を伺うことができました。
ぜひ、HRD Sakura 研究所の情熱を、パワーを感じていただけたら……この熱こそ、Hondaの原動力!そして編集部は、必ずや「結果につながる」と確信しています。



「苦悩と追求の日々」エンジン本体設計の久保 務は、パワーユニット開発をそう語った。
「苦悩と追求の日々」エンジン本体設計の久保 務は、パワーユニット開発をそう語った。

千載一遇、そう思って二つ返事でF1に携わってもう7年ですね。異動後はレースエンジンを理解する事から始まり、苦悩と追求の日々だったので、2019年に優勝した時は思わず涙が出ました。海外のチームと関わるので凄く刺激を受けました。昼夜問わず、良いものを創るんだという本気さ、情熱を凄く感じました。例えば必要な部品は、すぐ図面を描いて、翌朝には創り上げてしまうみたいな……。F1ラストイヤーということで、今まで以上にプロジェクト全体の雰囲気が盛り上がっています。他のF1チームの伸びしろを予測したうえで目標を定め、突き進んでいます。


ハイブリッドシステム担当の大平亘は、優しい表情とは裏腹に強い意志を語った。
ハイブリッドシステム担当の大平亘は、優しい表情とは裏腹に強い意志を語った。

大学の専攻がロボット制御だったので、ロボット研究のあるHondaに入社しました。F1に強い興味があったわけではないのですが、所属長の勧めから、新しいことにチャレンジしたいと志願して、7年前からF1に携わりました。最初は困難が山積みで、思うようにいかない時期もありましたが、2019年に優勝した時は感無量、プロジェクトメンバーと喜びを分かちあいました。パワーユニット開発は安堵する暇もなく、自分を奮い立たせて、困難に負けずに頑張る、そんな日々なんです。年間チャンピオン獲得それしか今は頭にないです。世界一を獲るために挑戦しているので、やるからには勝つ、その一言です。


エンジン材料研究の宮下忠孝は、F1ラストイヤーに関して強く言い放った。
エンジン材料研究の宮下忠孝は、F1ラストイヤーに関して強く言い放った。

F1ラストイヤーになると聞いて、そりゃあ落胆しました。でも跳ね返すというか「Hondaの上層部、みてろよ! 後悔させてやる」今はそんな気持ちです。あ! これ、カットしないで書いてくださいね。F1開発は苦労が多いですけど、その苦労をいかに楽しむか……だから楽しくやっていますし、天職だと思っています(笑)。でも最初の頃は。地獄を味わいました(笑)。そこがあるから、今は楽しさが増している感じです。F1は夢の舞台なんです。全力で年間チャンピオンという夢を獲りにいきます。


F1沼にハマってます。エンジン性能担当の山内理沙は、女性エンジニア視点で語った。
F1沼にハマってます。エンジン性能担当の山内理沙は、女性エンジニア視点で語った。

中学生の時に親の影響でF1を観て、どんどんハマっていって……友達とはF1の話で盛り上がることはなかったです(笑)。F1に携わりたくて入社して、結果を出さなければならない世界にいきなり飛び込んだので、葛藤はありましたけど、やっぱりF1は究極のエンターテインメント。携わることができて良かったです! F1ラストイヤー、残り時間は少ないですけど、最期まで足掻きたいです。お気に入りのドライバー、チーム戦略、マシンのデザインやサウンド……ハマるきっかけは人それぞれ、一人でも多くの女性にもF1にハマって欲しいですね。


F1に憧れ、社内公募に手を上げたメカニック担当の須藤玲史からは情熱があふれた。
F1に憧れ、社内公募に手を上げたメカニック担当の須藤玲史からは情熱があふれた。

バイクのレースに参戦したりレース大好きだったので、幼いころから憧れだったF1にチャレンジしようと自ら手を挙げました。最初は創っても創っても勝てなくて、悔しくて……今、ようやく世界に実力が示せるようになって、本当に嬉しい。開発にはいろんな担当がいるので、一番、大切なことはコミュニケーション。プロジェクトを円滑に回すためには、やっぱりそこが大事です。F1ラストイヤー、最期の一戦まで仲間たちと精一杯、闘っていきます。F1の魅力は、単純明快な速さと迫力、その音、匂いを感じることだと思います。日本グランプリが無事開催されれば、ぜひ感じて欲しいです。


軽自動車からF1へ。エンジン耐久、駆動系解析担当の吉池克弥は「苦しみ9割」と語った。
軽自動車からF1へ。エンジン耐久、駆動系解析担当の吉池克弥は「苦しみ9割」と語った。

限られた時間のなかでデータを見切って仕様を決めていく、そこでは正直、9割以上が、苦しみや苦労、悩みです。でも、1割あるかないかの達成感や喜びが、もう一踏ん張り頑張るぞ、というモチベーションになって繰り返します。私は野球をやっていたんですが、野球で言えば試合で勝つために練習する、練習で調子が良くても本番の試合で勝てない、結果が出せないなら意味がありません。だから限られた練習の中で自分をより追い込み、己のパフォーマンスを向上/精度を上げていきます。パワーユニット開発も同じで、仕様の精度を上げるためにどれだけ開発中にやりきれるか、頑張り切れるかが重要と思い取り組んでいます。いよいよF1ラストイヤー集大成として、なんとしても結果に結びつきたいと思っています。


新卒入社、F1一筋。開発電装システム研究の稲垣智大が感じた真実を語った。
新卒入社、F1一筋。開発電装システム研究の稲垣智大が感じた真実を語った。

入社時に希望を出したら配属されF1に携わることに。いちばん感じたことは、時間との闘いです。開幕する、レース開始、すべて時間が決まっていますから、そのなかでベストを尽くしやりきる。で、また次のレースへ、次のシーズンへと。終わりなき闘いです。私はたった4年間の経験ですが、この時間との闘いを凄く感じましたし、そこから多くを学びました。今年は角田選手が乗りますから、ちゃんとパフォーマンスをあげていくことで、挑戦の役に立ちたい。そしてプロジェクトのみんなで、目標を超えていきたい。


エンジン出力性能研究担当、池ヶ谷 潔は、柔らかい物腰で、強い自信を語った。
エンジン出力性能研究担当、池ヶ谷 潔は、柔らかい物腰で、強い自信を語った。

中学の頃からモータースポーツが好きで、ある時、F1を観ていて、いつか自分も携わることができるのでは……そう思ったのが始まりで、F1志望でHondaに入りました。20年越しで夢を叶えたと言ってもいいかもしれません。でも実際に関わってみたら、カルチャーショックという感じなほど、技術的にすごい領域のレベルをすごいスピードでやらなければならない……苦労の連続ですね。いよいよF1ラストイヤーになって、今、やってやるぞという雰囲気にプロジェクト全体がなっています。苦労はしてきましたが、その都度、壁を超えてきましたから、かなり習得できたことも多い。だから今年は、頂点に近づけるかと。チャレンジングなパワーユニットに挑戦していますから、ご期待ください。


まだ入社7年目、メカニック担当の八頭司 大智は、淡々と冷静に語った。
まだ入社7年目、メカニック担当の八頭司 大智は、淡々と冷静に語った。

スポーツカーよりSUVのようなクルマが好きなので、すごい強いF1志望ではなかったのですが、ヘルプが欲しいということで、量産エンジンの組立から異動して来ました。結果、すごく学ぶものは多いですね。とにかく現場は時間との闘いなので、トラブルがあった時のためのパーツの準備など、先、先を読んで準備しておく。その予測する習性と、そして、どこに行っても通用するんじゃないかという自信は得られました。F1ラストイヤー、有終の美を飾るのが一番良いことですけど、一戦一戦を大事に闘っていきたいと思っています。


開発とは少し異なる立場の海外輸出入担当、峯崎貴浩は、苦悩を笑顔で語った。
開発とは少し異なる立場の海外輸出入担当、峯崎貴浩は、苦悩を笑顔で語った。

研究開発担当ではなく、海外輸出入のオペレーションという立場でF1に携わって、7年になります。小学生の時、セナ&プロスト時代を観て、すぐにF1のラジコンを買った私としては、F1に関われて本当に幸せです。でも担当の輸出入業務は本当に大変なんです。レース開催の間隔が1、2週間なのでパワーユニットのメンテナンス/アップデートのため、みんなが時間との闘いです。ギリギリまで発送を遅らせたいので、どうやって確実に現地に到着させる計画をたてるか。常に日本と海外のスタッフと密に連携を取りながらずーっと考え、実行しています。プロジェクトのみんなが、勝ちたいという夢に向かって取り組む姿は素晴らしく最高です。私も憧れ、夢があるから頑張れますよ。






Honda Magazineの編集を続けるなか、正直、「熱いHonda」に触れることが最近は少なくなってきたように感じています。ところが、今回のHRD Sakuraのインタビューでは、
「やってやる」「好きだから」「勝ちたい」「超えてやる」
10人のそんな言葉を聞き、想いの強さに素直に感動しました。
がんばれ! HRD Sakuraメンバー、そしてラストイヤーのHonda、がんばれ!
皆さん応援よろしくお願いします!きっと、やってくれるはずです。


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