なぜ、わざわざこんなモノをつくったんですか?
1980年代までのクルマは、手書きの設計図からつくられていました。それを現代の3D(三次元)の設計データとしてつくり直し、ライブラリー化しようというプロジェクトです。
保存されていた「ホンダ シティ」の実車を中身まで精密に測定し、残されている平面の設計図と照らし合わせながら3Dデータをつくっていきます。
そして、そのデータをもとに1/4スケールモデルをつくって確認。見えないところまでこだわり、せっかくなら質感も再現したい、と試行錯誤を重ねてモデルをつくり込みました。
さらに、プロジェクトはそれだけにとどまりませんでした。他の研究所にも声をかけ、シティのトランクに積むために同時開発されたバイク「ホンダ モトコンポ」と、同時期に発売された携帯発電機「デンタ」のモデルも制作。クルマ・バイク・発電機が勢揃いしました。
手書き図面の時代の製品を扱うのは、ベテランにとっても新鮮な体験。若い世代は「手書きの平面でしか設計できない時代に、こんな工夫が盛り込まれているなんてスゴイ」と驚くことが多かったとか。
今回のプロジェクトは、データを残すだけではなく、アナログ時代の技術を継承していく面でも、大きな意義があったようです。

1/4「ホンダ シティ」 1/4「ホンダ モトコンポ」



これは、実物? ミニチュア?
この3点の写真は1/4スケールモデルです!

プロジェクトの中心メンバー
[ホンダ シティ]担当
石野康治 (いしの・やすはる)
寺出雅樹 (てらで・まさき)
島田 聡 (しまだ・さとし)
伊皆夏希 (いみな・なつき)
いずれも (株)本田技術研究所 オートモービルセンター
[ホンダ モトコンポ]担当
堤 裕也 (つつみ・ゆうや)
本田技研工業(株) ものづくりセンター
[デンタ]担当
寺田浩司 (てらだ・こうじ)
(株)本田技術研究所 オートモービルセンター
(当時は、パワープロダクツ R&Dセンターに所属)