
黄色の線で囲まれているのが虫だよ!
ショウリョウバッタ [バッタ科]
イボバッタ [バッタ科]
アカエグリバ [ヤガ科]
シャクガの仲間(幼虫)
[シャクガ科]
虫の擬態は奥が深く、
その可能性はとどまることを知らない。
中にはこんなマニアックな
芸風の虫もいるらしい……!
トラフシジミ [シジミチョウ科]
ナミアゲハ(幼虫) [アゲハチョウ科]
ミノムシの仲間 [ミノガ科]
知れば知るほどナゾが深まる虫の擬態。
まだ解明されていないことも多い、
神秘の世界らしい……。
擬態の目的は「1:敵にねらわれないようにするため」「2:獲物をつかまえるため」の2つあるけれど、1の目的がほとんど。虫の天敵である鳥は視覚で獲物を見つけているから、目に見える姿かたちを変えることで、鳥にねらわれないようにしていると考えられている。
虫は「これに似せよう」とか「似てるな〜」と思っているわけではないと思う(笑)。進化の過程で淘汰されて、現在の姿をした虫が生き残ったということ。でも、だんだんと似てきたのか、突然変異してそっくりになったのかはむずかしいところ。だって、似せている途中の姿はそんなに似ていないわけだから(笑)、食べられて絶滅してしまうよね。
最近の論文によると、葉っぱにそっくりなチョウが、遺伝子のわずかな変異で現在の姿に進化したことがわかった。つまり、短期間でそっくりな姿に進化した可能性もあるということ。それはそれで不思議な話。虫の世界にはわかっていないことがまだ多いんだ。
虫にたくさん出会うなら、夏に緑が多い野山に出かけるのが一番。緑の多い公園や家の庭で出会えることもあるよ。虫を見つけるのは最初はむずかしいけれど、とにかくたくさん見つけることが上達の近道。慣れてくると、木の枝や幹の表面の出っ張りに違和感をおぼえて、よく見たら虫だった、ということも増えていくはず。
【ミニ図鑑】擬態する虫
日本全国の緑の多い場所で生息しているよ。
外見は個体によってバラツキがあることも。
原っぱにいる。羽は草のように見え、とがった頭は葉っぱの先端のように見える。全体褐色の個体もいる。体長4-8cm程度
地面の土がかわいて露出したところによくいる。体の表面が、土の色や質感にそっくり。体長3cm程度
枯れた葉っぱに似たガの仲間は、昼間は枝に引っかかった枯れ葉に静止していることも多いので、よけいにまぎらわしい。開長5cm程度
木の枝にそっくりだけど、ちゃんと動くよ。葉っぱを食べて生きている。枝に似た虫では他には「ナナフシ」も有名。体長は最大で5cm程度
桑の木がある田園地帯などにいる。攻撃力が高いスズメハチになりすますことで、鳥を遠ざけている考えられる。体長2.5cm程度
てんとう虫は、鳥が食べたら吐いてしまうほどの苦味や毒があったりする。そのためか、てんとう虫になりすます虫は多い。体長0.5cm程度
アリと同じ化学物質を出すことでアリになりすまし、アリからエサをもらって生きているズルがしこい虫。体長0.4cm程度
毒のある「カバマダラ」という別のチョウに姿も飛び方も似せて、鳥に食べられないようにしていると考えられる。開長7cm程度
自分に擬態するめずらしい虫。おしりを自分の頭のように見せることで、頭をねらう鳥の攻撃から身を守っていると考えられる。開長3cm程度
クヌギなどの植物が冬芽〜芽ぶき〜新葉と成長するのに合わせて、それにそっくりな姿に形を変えて成長していく。体長2cm程度
チョウのさなぎや幼虫は食べられやすいので、擬態がよく見られる。これは鳥のフンに似せていると考えられる。体長2.5cm程度
枯れ葉や落ち葉などのゴミを集めてミノをつくり、中にかくれている。家の庭などでもよく見られる。体長は最大で3cm程度
亀澤 洋
株式会社環境指標生物 環境調査員