「ふしぎ」を見に行こう

「ふしぎ」な物体

デビューの倍率は
アイドル以上!?
奇跡きせき存在そんざい
「化石」に会いに行こう

地球の歴史や未来を教えてくれる生きものの証拠しょうこ
「化石」のナゾを解き明かそう!
デビューの倍率はアイドル以上!?奇跡の存在「化石」に会いに行こう

[左] 所蔵・写真提供:千葉県立中央博物館 [右] 所蔵:千葉県立中央博物館

  • 野外に化石をりに行く場合は、ふさわしい場所を地域ちいきの博物館の方にたずねてみましょう。私有地しゆうちや許可のない場所で勝手にってはいけません。

探検たんけんメンバー

  • 隊員はると
    ふしぎ探検隊たんけんたいが行くよ!
    隊員はると
  • 丸山 啓志さん
    この人に聞いたよ
    化石やほねを集めて日本全国を飛び回る
    丸山まるやま 啓志さとしさん

クイズ
「これって『化石』?『化石じゃない』?」

問題

第1問

このなかにひとつだけ化石があるよ。どれかわかるかな?
  • どれも化石っぽくも見えるし、ふつうの石にも見えるなぁ…。
  • これはひと目でわかるよ。正解はCで、クジラの耳の化石。

所蔵:千葉県立中央博物館

  • え〜! どうしてかんたんにわかるの?
  • クジラの耳のほね特徴とくちょうがそろっているんだ。本来は空洞くうどうの部分にもう一つパーツが入り、下あごから振動しんどうを受け取って音を聞く仕組みになっていると考えられているよ。

第2問

これは何の化石に見える?

所蔵:千葉県立中央博物館

次の3つのうちの、どれかな?

  1. A:カニの巣穴すあな
  2. B:恐竜きょうりゅうの指
  3. C:巨大きょだい貝の水管
  • Bの「恐竜きょうりゅうの指」! 先っぽにつめみたいなものも見えるし。
  • 残念! 正解はAの「カニの巣穴すあな」の化石。先っぽに見えるのはカニなんだ。

所蔵:千葉県立中央博物館

  • わぁ。そうなんだ!
  • 巣穴すあな土砂どしゃが流れこんで死んでしまい、そのまま化石になったようだね。
  • 巣穴すあなは生きものじゃないのに「化石」とぶの?
  • 生きもの本体だけじゃなく、生きものが生活していたあとも立派りっぱな化石なんだよ。
  • へぇ〜! 化石にもいろいろあるんだね。

第3問

このなかで化石はどれだ?
  • 貝塚の貝
    貝塚かいづかの貝
  • 冷凍マンモス
    冷凍れいとうマンモス
  • ミイラ
    ミイラ
  • Aかな? Cもあやしいぞ。
  • 正解はB「冷凍れいとうマンモス」だよ。
  • えっ?「冷凍れいとうマンモス」は石じゃないのに化石なの?
  • ほとんど生に近い状態で見つかっているけれど、化石の定義には当てはまるから「化石」だよ。
  • 化石の定義?
  • 化石とは、地層ちそう中から出てくる昔の生きものの遺体いたいや生きものが生きたあとのこと。でも「化石」とぶにはもう一つ条件がある。それは、ヒトの手が加わったかどうか。
    貝塚かいづかはヒトがてた貝が積み重なったものだし、ミイラも人工的につくったものだから化石ではない。貝塚かいづかのような昔のヒトと関わる場所は遺跡いせき、ミイラのような昔のヒトと関わるものは遺物いぶつ と呼ばれるよ。
  • 意外と知らないことがいっぱいあるなぁ。ところで、「化石からわかった新事実!」というニュースをたまに聞くけれど、「化石」からいったいどんなことがわかるの?
  • 化石はたくさんのことを教えてくれるよ!どんな生きものがいて、どんな体のしくみをしていて、どんな環境かんきょうでどんなくらしをしていたのかがわかるんだ。
  • でも、昔のことを知ることが、今のぼくたちとどう関係あるの?
  • 生きものの歴史を知ることは、何十億年にもわたる地球そのものの歴史を知ることにつながる。それは未来の地球環境かんきょうを予測するのに役立つ、とても大切な知識なんだ。

化石には大きく分けて3種類ある

1. 体化石

生きものの体全体や一部が化石になったもの。

ディニィクティス(ネコの仲間)

所蔵:千葉県立中央博物館

虫(ガガンボ)入りコハク

所蔵・写真提供:千葉県立中央博物館

2. 生痕せいこん化石

生きものの生活のあと(足あと・巣穴すあな・フンなど)が化石になったもの。

オサガ二をともなう巣穴すあな

所蔵:千葉県立中央博物館

トリの足あと

所蔵:千葉県立中央博物館

3. 化学(分子)化石

岩石などに残された、生きものによって作られた物質(分子)の化石。特別な装置そうちなどを使わないとわからない。

実は超難関ちょうなんかん!?
〜生きものが「化石」になるまで〜

  • 化石は地球の過去・現在・未来を知るための大事な資料なんだね。ぼくも死んだら、いつか化石になる?
  • その可能性はほとんどないかなぁ(笑)。
  • どうして!? ぼくだって化石になって、未来の人の役に立ちたいよ。
  • 化石って、そんなかんたんにはなれないんだよ。堆積物たいせきぶつにうもれないといけないから、ふつうにお墓に埋葬まいそうされたら、まず化石にはなれない。
生きものが化石になるまで
死んでくさる
死んでくさる

生きものが死んで、肉や内臓ないぞうなどのやわらかい部分が細菌さいきんなどによってくさる。

堆積物たいせきぶつにうまる
堆積物にうまる

分解された遺体いたいが、どろすな・レキなどの堆積物たいせきぶつのなかにうまる。

石になる
石になる

うまった遺体いたい地層ちそう中の化学成分と反応して、石に変化する。

※「冷凍れいとうマンモス」のようにこの過程を経ていない化石もある。

  • それに、死んだ後に他の動物に食べられたり、微生物びせいぶつに分解されたり、雨・風・日光のダメージを受けても化石にはなれない。
  • えー。どこでどんな死に方をすれば、その条件に当てはまるの?
  • 土砂どしゃにうまったり、谷底に落ちたり、底なしぬまに落ちたり…。実は、化石になった生きものの多くは、思いがけない事故でくなったと考えられるんだ。
  • え! そんな…(泣)。
  • それに、運よく(?)遺体いたいのまま土にうまることができても、何億年もの間に地震じしんなどで地層ちそうがズレてバラバラになってしまったり、地下水の浸透しんとうでとけてしまうことも多い。
  • うぅ。ハードルが高いなぁ…!
  • そして最終的に化石になれたとしても、人間に見つけてもらわないと「化石」としてデビューはできないよね。森の中じゃ見つかりづらい。そこそこのペースでくずれるがけや川岸のような場所に現れないとむずかしい。
化石デビューするのはとてもむずかしい?!
難関なんかん1:思いがけない事故で死なないといけない(多くの場合)。
難関なんかん2:うまった後も、大地の変動や地下水の浸透しんとうなどによるダメージをけなければいけない。
難関なんかん3:人に見つけてもらわないといけない。
  • 化石になるには運も必要だし、下積み時代の苦労も大きいんだね…。ぼくが化石を発掘はっくつしたら、まずは、そのハードな運命をたたえてあげたいな!

化石を発掘はっくつしてみよう!
〜全国の化石発掘はっくつ体験スポット〜

化石は日本のいたるところで発見されているよ。君も自分だけの化石をさがし出してみよう!

施設しせつの営業情報などを事前に調べてからお出かけください。

  • 白山恐竜きょうりゅうパーク白峰しらみね

    白山恐竜パーク白峰

    白山恐竜きょうりゅうパーク白峰しらみね

    恐竜模型展示きょうりゅうもけいてんじやダイナ・スライダー、化石発掘はっくつ体験で太古へタイムトリップ!

    住所:
    石川県白山市桑島4-99-1
    https://city-hakusan.com/learn/hakusan_dinosaur_park/
  • 天草市立御所浦ごしょうら白亜紀はくあき資料館

    天草市立御所浦白亜紀資料館

    天草市立御所浦ごしょうら白亜紀はくあき資料館

    トリゴニア砂岩さがんから見つける1億年前・白亜紀はくあき時代の二まい貝!

    住所:
    熊本県天草市御所浦町御所浦4310-5
    http://gcmuseum.ec-net.jp
  • わくわく化石発掘はっくつ体験場御船みふね町観光交流センター中庭)

    わくわく化石発掘体験場(御船町観光交流センター中庭)

    わくわく化石発掘はっくつ体験場御船みふね町観光交流センター中庭)

    日本で初めて肉食恐竜きょうりゅうの歯の化石が見つかった「恐竜きょうりゅうさと 御船みふね町」。

    住所:
    熊本県上益城郡御船町大字御船1003-1
    http://www.mifune-kankou.jp/
  • 瑞浪みずなみ市化石博物館

    瑞浪市化石博物館

    瑞浪みずなみ市化石博物館

    1700万年前の主に海に生息した魚やほにゅう類など、1500種類の化石が採れる。

    住所:
    岐阜県瑞浪市明世町山野内1-47
    https://www.city.mizunami.lg.jp/kankou_bunka/1004960/kaseki_museum/
  • なぎビカリアミュージアム

    なぎビカリアミュージアム

    なぎビカリアミュージアム

    ミュージアムを見て・って・絶滅ぜつめつしたまき貝「ビカリア」をゲット!

    住所:
    岡山県勝田郡奈義町柿1875
    http://www.town.nagi.okayama.jp/bikaria/
  • 佐川さかわ町立佐川さかわ地質館

    佐川町立佐川地質館

    佐川さかわ町立佐川さかわ地質館

    化石産地の案内や採集体験を予約制で随時ずいじ受け付けてくれる。

    住所:
    高知県高岡郡佐川町甲360
    http://www.town.sakawa.lg.jp/chishitsukan/
  • 東松山市化石と自然の体験館

    東松山市化石と自然の体験館

    東松山市化石と自然の体験館

    国内でもめずらしい、屋内で化石発掘はっくつができる場所。自分だけの化石を発見しよう。

    住所:
    埼玉県東松山市坂東山13
    https://www.kasekitaiken.com/
丸山さんからのメッセージ
  • まずは化石を見に行こう! その生きものが「どんな時代に生きていたのか」「どんな生活をしていたのか」と疑問ぎもんがわいてきたら、自分で調べてみよう。それから、博物館の学芸員の方に聞いてみると、理解が深まり、もっとおもしろい話を聞くこともできるよ。
まとめ
  • 化石とは、ヒトの手が加わらずに自然にできた、地層ちそう中から出てくる昔の生きものの遺体いたいや生きものが生きたあと。
  • 化石は、体全体または一部の「体化石」、生活のあとの「生痕せいこん化石」、そして生きものがいたことを示す「化学(分子)化石」の3種類。
  • 化石の研究は、昔のことが分かるだけでなく、現在や未来の地球環境かんきょうを予測するのに役立つ。

Profile

丸山 啓志

丸山まるやま 啓志さとし

古生物研究者

千葉県立中央博物館研究員。イルカ化石を中心に主に哺乳類化石が専門。化石や骨格比較のために世界の博物館をめぐり、骨を拾いに日本全国を飛び回っている。著書は『海は百面相』(京都通信社・分担執筆)、『はじめてのフィールドワーク(2)海の哺乳類編』(東海大学出版部・分担執筆)。
千葉県立中央博物館
http://www2.chiba-muse.or.jp/NATURAL/