「ふしぎ」を見に行こう

「ふしぎ」な生き物

なぜ光る? いつどこで光る?
ホタルのふしぎな生態せいたいさぐろう

夜に光るホタルの群れは、とても幻想げんそう的。小さな体から、どうやって光を出しているのかな?
光るホタルはいつどこで見られるのかな?
なぜ光る? いつどこで光る? ホタルのふしぎな生態を探ろう
  • ホタルをつかまえたり、手でおおったりしないようにしましょう。
  • ホタルを見るときは懐中かいちゅう電灯などのあかりはなるべく使わないようにしましょう。他の人の迷惑めいわくになることがあります。
  • 暗い場所では足もとに気をつけましょう。走ったり、川や池、みぞに近づいてはいけません。

探検たんけんメンバー

  • 隊員りりか
    ふしぎ探検隊たんけんたいが行くよ!
    隊員りりか
  • 内舩 俊樹さん
    この人に聞いたよ
    昆虫こんちゅうにくわしい
    内舩うちふね 俊樹としきさん

なぜ光る? いつ光る?
ホタルの光のナゾ

  • ホタルはどうして「ホタル」っていうの?
  • 語源ごげんにはいろいろな説があるけれど、「火垂る」と書いて「ほたる」と読むこともある。ゲンジボタルが特にそうなんだけど、夜に光って飛んでいるところを見ていると、突然とつぜんひゅっと落ちることがあるんだ。
ゲンジボタルの光
  • わぁ! きれい!
  • 線香花火の火が落ちるときのようで、まさに火がれたように見えるよね。
  • うん。幻想げんそう的だね。ゲンジボタルというホタルがいるの?
  • ゲンジボタルとヘイケボタルの2種類は、ホタルの中でも特によく光ることで有名だよ。
ゲンジボタルとヘイケボタル

ゲンジボタルの成虫は体長およそ1.5~2.0cm。ヘイケボタルの成虫は体長およそ0.8~1.0cm。どちらも体はメスのほうが大きく、発光器官はオスのほうが大きい。前胸ぜんきょうが赤いのは「警告けいこく色」といって、食べるとおいしくないことをてき にアピールしている。

  • 源氏げんじ平家へいけ
  • うん。名前の由来には、ゲンジボタルとヘイケボタルが光って飛び交うようすが、源氏げんじ平家へいけたましいが死んでもなお合戦をくり広げているようだったから、という説があるよ。
ホタルの源平げんぺい合戦?!
  • ゲンジボタルのほうが体が大きいんだね。
  • 光り方もちがうよ。ゲンジボタルは大きくゆっくり光る。ヘイケボタルはとても小さな光がすばやく明滅めいめつするよ。
  • なんのために光るの?
  • 生きものは子孫を残すために結婚けっこん相手を見つけないといけない。ホタルの成虫は、天敵てんてきにねらわれないよう夜に活動するんだけど、暗い中で相手に気づいてもらうために光るんだ。
光るゲンジボタル
  • へー! こんな小さな体からどうやって光を出しているの?
  • ホタルはおしりの部分に発光器があって、そこにルシフェリンという物質ぶっしつと、ルシフェラーゼという酵素こうそが入っているんだ。
  • ルシ……?
  • かんたんに言うと、ルシフェリンは「光るモト」で、ルシフェラーゼは「光らせるモト」。深海魚など、ほかの光る生きものの体にも、同じような役割やくわりをする物質ぶっしつが入っているよ。
  • その2つが反応はんのうして光るの?
  • うん。ちなみにルシフェリンとルシフェラーゼが反応はんのうするとき、体内の酸素さんそが使われ、二酸化炭素にさんかたんそが出るんだ。ホタルの多くは成虫になると口が退化たいか し、ほとんど水分しかとらなくなるから、幼虫ようちゅう時代にたくわえた栄養をやして光っているんだよ。
  • うわぁ、まさに身をやして光っているんだね! えつきる前に相手を見つけなきゃ。ゲンジボタルの成虫もヘイケボタルの成虫も、同じ時期にあらわれるの?
  • ゲンジボタルのほうが先にあらわれて、2週間くらいたってからヘイケボタルがあらわれるよ。ホタルの成虫の寿命じゅみょうは2週間くらいだけど出現しゅつげん 時期にはバラつきがあるから、1週間くらいゲンジボタルとヘイケボタルが同じ時期に見られることがあるんだ。
  • 何月くらいに見られるの?
  • 場所によってちがうよ。ゲンジボタルは九州などでは5月中旬ちゅうじゅんごろから見られることがあるし、東北地方や標高の高いところでは7月中旬ちゅうじゅんごろから見られることも。
  • あたたかい場所ほど早く見られるんだ?
  • 日当たりや水温などの条件じょうけんによってもかわるよ。たとえば、ぼくのいる関東南部の三浦みうら半島では、5月下旬げじゅんごろから見られるところもあるし、日当たりが悪い場所ではその2週間後くらいから見られる場合も。
  • 夜何時くらいから見られるの?
  • ホタルの成虫の活動のピークは日没にちぼつから約2時間。その時間帯は光っていることが多いよ。
  • たっぷり見られるね。

ホタルはどこに住んでいて、
どんな一生を送るの?

  • ゲンジボタルもヘイケボタルも同じような場所にいるの?
  • ゲンジボタルは“流水性りゅうすいせい”といって流れがあるところに生息する。細い川にいることが多いよ。ヘイケボタルは“止水性しすいせい ”といって、水田やため池など流れのない場所にいることが多いよ。
ホタルはこんな場所にいる!

ゲンジボタルのいる場所

ヘイケボタルのいる場所

  • 人が住んでいる場所の近くにいるんだね。
  • うん。ゲンジボタルもヘイケボタルも幼虫ようちゅうのころはき貝の仲間を食べるから、き貝が生息できる場所であることがポイントだよ。
  • き貝?
  • たとえばカワニナというき貝をよく食べるよ。ほかにもヘイケボタルはモノアラガイなどのより小さなき貝を食べるよ。
カワニナ
  • 意外と肉食なんだね。
  • そうだね。き貝は水中の石についているや、落ち葉などを食べるから、あまりきれいすぎる場所でも良くないんだ。
  • だから人里がちょうどいいんだね。ホタルの寿命じゅみょうはどれくらい?
  • だいたい1年くらいだよ。幼虫ようちゅう期は水の中でくらし、三浦みうら半島ではサクラの季節が終わったあとくらいに川からはい上がり、GW明けくらいの時期に土の中で部屋(土まゆ)をつくってさなぎになり、成虫になるよ。
  • あたたかくなると水の中から出てくるんだね。
  • うん。日当たりの良くない場所や水温の冷たいところだと、幼虫ようちゅうが上陸する時期がおそくなったり、上陸せず次の年まで幼虫ようちゅうですごすことがあるよ。
ゲンジホタルの生活史せいかつし

幼虫ようちゅう期に川の下流まで流されることがあるため、成虫になると産卵さんらん場所をもとめて少しずつ上流へ移動いどうすることが多い。

  • 幼虫ようちゅうはイモムシみたいだね。成虫になってからは2週間くらいで死んでしまうということだから、幼虫ようちゅう期が長いんだね。
  • うん。幼虫ようちゅう期が長いのは昆虫こんちゅうにはよくあることなんだ。ホタルは「たまご幼虫ようちゅう⇒さなぎ⇒成虫」と完全変態へんたい をするけど、そのような昆虫こんちゅうは、幼虫ようちゅう 時代は栄養をたくわえる時期、成虫時代は繁殖はんしょくをする時期、と分かれていることが多いよ。
  • カブトムシもそうだね。
  • そうだね。あと、実はホタルは一生を通して光っているんだ。
  • え? そうなの? たまご幼虫ようちゅう、さなぎのときに光るのはなぜ?
  • てき警告けいこくしているのかもしれないけれど、理由はよくわかっていないんだ。光り方はぼんやりしていて成虫の光にくらべるとずっと弱いよ。
  • ふしぎだね。ゲンジボタルは、代々同じ川に住みつづけることが多いの?
  • うん。せいぜい、となり合った川へは飛んでいけるくらい。だから東日本と西日本のゲンジボタルは血がまじり合うことがなく、光り方がちょっとちがうんだ。
ゲンジボタルには方言がある?!

東日本は4秒に1回、西日本は2秒に1回光る。

  • 西はゆっくり、東はせかせか光るんだ?!
  • まるで方言のちがいみたいだよね。
  • おもしろいね。ゲンジボタルとヘイケボタルのほかには、どんなホタルがいるの?
  • 光は弱いけど、クロマドボタルオバボタルという種類もよく見られるよ。昔の人はクロマドボタルの光を見て、しげみの中からヘビが目を光らせていると思っていたらしい。
ほかにはどんなホタルがいるの?

クロマドボタル

体長は1.5cm前後。

オバボタル

体長は1cm前後。触角しょっかくが太く、前胸ぜんきょうにふちどりがある。

  • ぼくの博物館が毎年行っているホタルの観察会では、ゲンジボタルやヘイケボタルにあきた子はオバボタルの幼虫ようちゅうを見つけて楽しんでいるよ。
  • オバボタルに目を向けはじめるとツウなんだね!
  • 山のほうへ行くとヒメボタルという種類もいるよ。森林の下草にそって、低いところを飛び回っているホタルなんだ。
ヒメボタル

体長は0.7cm前後。光の色は黄色っぽい。

  • わぁ! きれいだね。でもちょっと心配なことも。ホタルは昔にくらべて数がっているの?
  • 日本ではある時期に、水田の減少げんしょう河川かせんの工事、農薬、生活排水はいすいなどの影響えいきょうによって、ホタルをはじめとする水生昆虫すいせいこんちゅう が生息できる場所がってしまったんだ。でもその後、保全ほぜん活動によって、ふたたびホタルが観察できるようになった場所もあるよ。
  • 地域ちいきの人たちががんばっているんだね。水辺の生きものたちがくらせる環境かんきょうを守っていきたいね。

全国のホタルの名所

日本にはホタルの乱舞らんぶが見られる
名所がたくさんあるよ。
調べてみよう。

※お出かけのさいは事前に公式サイトなどで
最新情報をご確認ください。

  • 折爪岳おりつめだけ(岩手県)

    折爪岳(岩手県) 画像提供:二戸市

    折爪岳おりつめだけ(岩手県)

    東北でも有数のヒメボタルの生息地。山頂さんちょう付近には豊富ほうふき水とブナやナラの木があり、100万ひきともいわれるヒメボタルが幻想げんそう的に光りかがや く。

    関連サイト:
    「岩手県二戸市」公式サイト
  • 鈴鹿すずかほたるの里(三重県鈴鹿市)

    鈴鹿ほたるの里(三重県鈴鹿市) 画像提供:かみのほたるを守る会

    鈴鹿すずかほたるの里(三重県鈴鹿市)

    山や川、田んぼにかこまれた静かな里山。ゲンジボタルやヘイケボタルが生息している。鑑賞路かんしょうろ整備せいびされており、水辺をうホタルを間近に見ることができる。

    関連サイト:
    「鈴鹿ほたるの里」公式サイト
  • 豊田町とよたちょう(山口県下関市)

    豊田町(山口県下関市) 画像提供:豊田町観光協会

    豊田町とよたちょう(山口県下関市)

    国の天然記念物に指定された木屋川のゲンジボタル。その幻想げんそう的な乱舞らんぶが見られる。町内の「豊田とよたホタルの里ミュージアム」では貴重きちょう資料しりょう展示てんじ も。

    関連サイト:
    「豊田町観光協会」公式サイト
  • 四万十川しまんとがわ(高知県)

    四万十川(高知県) 画像提供:(一社)四万十町観光協会

    四万十川しまんとがわ(高知県)

    「日本最後の清流」ともいわれる四万十川。遊覧船ゆうらんせんにのって秘境ひきょうをめぐると、流域りゅういきのさまざまなポイントでゲンジボタルの群舞ぐんぶが見られる。

    関連サイト:
    「四万十町観光」公式サイト
  • 白山川はくさんがわ(大分県)

    白山川(大分県) 画像提供:豊後大野市

    白山川はくさんがわ(大分県)

    全国名水百選にも選ばれた美しい白山川。おにによって断崖だんがいがくりかれたという伝説のある「ほげ岩」の付近は、ゲンジボタルの名所として知られる。

    関連サイト:
    「おおいた豊後大野ジオパーク」公式サイト
内舩さんからのメッセージ
  • ホタルは美しい水辺の景色を象徴しょうちょうする生きもの。ホタルがいるということは、エサになるき貝など、いろいろな生きものがくらせるゆたかな水辺の環境かんきょう がそこにあるということ。ホタルを観察するときは、周辺の環境かんきょう もふくめて目にやきつけよう。
まとめ
  • ゲンジボタルは大きくゆっくり光る。ヘイケボタルは小さくすばやく光る。
  • ゲンジボタルは細い川、ヘイケボタルは水田やため池などにいることが多い。
  • ホタルの寿命じゅみょうは1年程度ていど。水中でくらす幼虫ようちゅう期が長く、あたたかくなると上陸し、さなぎ⇒成虫へと変態へんたいする。

Profile

内舩 俊樹

内舩うちふね 俊樹としき

横須賀市自然・人文博物館 学芸員

幼い頃の夢は昆虫博士か宇宙飛行士。生物学を専攻していた大学時代に昆虫研究の魅力に触れ、再び昆虫の世界へ。大学院時代はガロアムシを研究。2007年より現職。昆虫担当の学芸員として、身近な昆虫の調査や教育普及に務める。 馬堀自然教育園では毎年6月にゲンジボタル・ヘイケボタルの観察会を開催している。
横須賀市自然・人文博物館
https://www.museum.yokosuka.kanagawa.jp/
馬堀自然教育園
https://www.museum.yokosuka.kanagawa.jp/exinfo/mabori-map/educationgarden