「ふしぎ」を見に行こう
- 山や池などに鳥を見に行くときは、かならず大人といっしょに行きましょう。
きけんな場所には決して近づいてはいけません。
探検メンバー
-
- ふしぎ探検隊が行くよ!
- 隊員はると
-
- この人に聞いたよ
- 鳥類学者の
川上 和人さん
「渡り」はギャンブル?!
なのに、なぜ渡る?
「渡り鳥」は
なぜ長距離を飛べる?
なぜ道に迷わない?
この「渡り鳥」に会いたい!
- 渡り鳥といえばツバメやハクチョウが有名だけど、それ以外の鳥にも目を向けてほしいんだ。
- ほかにはどんな渡り鳥がいるの?
- たとえば新緑の季節に山や森林に行くと、キビタキやオオルリがとてもきれいな声でないているよ。初夏のおとずれをつげてくれるんだ。
-
キビタキ
オオルリ
- 心があらわれそうだね。
- 数は少ないけど、ぼくが研究しているミゾゴイというサギも春夏に山に渡ってくるよ。世界でも日本でしか繁殖していないめずらしい鳥なんだ。
-
ミゾゴイ
- 木の枝みたいでかわいいね。
- 敵に見つかりそうになったら、ほんとに木の枝のフリをしてかくれるんだ。
- へぇ! 見つけられるかなぁ。
- 春夏にはタカの仲間のサシバやハチクマも渡ってくるよ。ハチクマは昆虫のハチを食べるからハチクマというんだよ。
-
サシバ
ハチクマ
- 鳥なのに名前はクマなんだ。おもしろいね。
- 冬に池や湖に行けばカモの仲間に会えるよ。その近くにヨシ原※があればいろんな鳥が集まってくるし、それをつかまえにやって来るタカの仲間も見られるよ。※イネ科の植物「ヨシ」が群生している場所
- わぁ、食物連鎖だね。カモは一年中いるのかと思った。
- それはきっとカルガモのことだね。それ以外のほとんどのカモは日本で繁殖しないんだ。たとえば頭が緑色をしたマガモは日本でもよく見る種類だけど、シベリアなどで繁殖し、冬に食べ物を求めて日本にやってくるよ。
-
カルガモ
マガモ
- カモにもいろいろいるんだね。
- 冬場はツグミやジョウビタキ、ルリビタキも見られるよ。群れていないときは目立たないけど、家の近くでも、ちょっとした雑木林や生け垣があれば見られるかも。
-
ツグミ
ジョウビタキ
-
ルリビタキ
- かわいい!見つけてみたいな。
- 地域によって見られる鳥もちがうよ。北海道は春と秋にガンが、冬にはオオワシが見られるし、沖縄は冬にサシバがよく見られるよ。
-
ガンの仲間(ヒシクイ)
オオワシ
- 大きな鳥もかっこいいな。
- 春や秋の渡りの季節には、ふだんは見ないような場所に鳥が突然あらわれることもあるよ。都会の公園でめずらしい鳥を見かけることもあるし、何百羽というヒヨドリの群れが飛んでいることも。
-
ヒヨドリの群れ
- 渡り鳥って意外とどこでも見られるんだね。
- うん。ポイントは食べ物があって、敵にねらわれにくいこと。緑のある場所なら昆虫や果実などの食べ物もあるし、かくれ場所にもなるからね。
- なるほどね。
- 少しマニアックなところでは干潟もおすすめ。春や秋の渡りの季節には、チドリやシギの仲間が何百羽・何千羽といることがあるよ。潮の満ち引きにあわせて集まってきて、それをねらうタカの仲間もやってくるよ。
-
チドリの仲間(ムナグロ)
シギの仲間(キョウジョシギ)
- 鳥の王国だね! 干潟、行ってみたいな。
- 干潟は全国にあるよ。とんでもない数の鳥が見られておもしろいよ。
-
たくさんの鳥に出会える
干潟に行ってみよう
-
川上さんからのメッセージ
- 同じ種類の鳥を翌年も同じ場所で見かけたなら、同じ個体かもしれないよ。あんな小さな体で何千キロ・何万キロも往復して渡ってきたんだと思うと、びっくりしちゃうよね。これを機にいろんな鳥に目を向けてみてね。
まとめ
- 渡り鳥は南北を移動している。春夏は北で子育てし、秋冬は南で過ごす。
- 渡る理由の1つは効率よく食べ物を得るため。北半球では春夏は「北」、秋冬は「南」で多くの食べ物が得られる。
- 鳥は太陽や星の位置、磁気などをたよりに方角を定め、においや記憶も使いながら目的地へたどりつく。

川上和人
国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所主任研究員
農学博士
ミゾゴイや小笠原諸島の鳥類の研究をしている。著作も多く、主な著書に『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』(新潮社)、『美しい鳥 へンテコな鳥』(笠倉出版社)、『そもそも島に進化あり』(技術評論社)、『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』(新潮社)などがある。