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  • 2020.09.28

磯で見つかる海の生きもの “ヤドカリ” のなぜ?なに? 編

磯で見つかる海の生きもの “ヤドカリ” のなぜ?なに? 編

夏の盛りも過ぎましたが、ハローウッズの森の生きものたちは依然活発に活動しています。でも今回は森を飛び出して、磯で見つかる海の生きものたちにスポットを当ててみようと思います。磯浜に行くといろんな生きものを見つけることができますが、中でも注目はヤドカリです。貝殻を見つけて自分の住み家にしてしまうヤドカリの、面白い暮らしぶりや珍しい習性についてご紹介しましょう。

奥山 英治
ハローウッズ キャスト奥山 英治

磯は海の生きものを見つける絶好の場所?

海で遊ぶ場合、海水浴をするなら砂浜ですが、生きもの観察に絶好の場所は磯です。磯とは磯浜とも呼ばれ、砂ではなく岩石で構成された海辺のこと。海藻や魚介類の格好の生息地となるため多くの生きものを観察することができ、生きもの好きにはたまらない場所なのです。

磯で生きもの観察を楽しく安全に行うためには、まず潮を知ることが大切です。潮というのは海水の満ち引きのことで、干潮になると岩のくぼみに海水が残って水たまり(プール)ができ、そこに魚をはじめ色々な生きものたちが取り残されます。それが天然の水族館となり、生きもの観察の絶好スポットになるのです。海水の満ち引きは1日に約2回の周期で繰り返されますから、インターネット等で潮汐情報を確認し、自分が訪れる磯浜の干潮の時間を調べて、その時間に生きもの観察を行なうように計画しましょう。

さらに、海では1カ月に2度ほど、満月の日と新月の日に大きな潮の動き「大潮」がありますので、大潮の日の前後5日間を狙っていくと、より面白い生きもの観察ができる可能性があります。大潮の日の干潮は、普段より大きく海水が引いていつもは見えない磯が現れるので、珍しい生きものを見つけたりできるからです。

それでは、ハローウッズのキャストが磯で見つけた様々な生きものたちをご紹介しましょう。

●磯で生きものを観察をする際の注意

  • ・海の生きものの中には毒を持ったものがいます。直に触らないよう軍手などを持っていきましょう。また、強い日差しを浴びるので、長袖のパーカーや帽子を用意しておきましょう。また、熱中症対策のため、こまめな水分補給も忘れずに。
  • ・岩場を歩くので、ケガをしないよう長靴やマリンシューズを履きましょう。また、安全のためにライフジャケットを持っていくのも忘れずに。
  • ・海で見つけた生きものは、持ち帰らずに観察が終わったら元の場所に戻してあげましょう。
  • ・磯の生きもの観察は干潮の時に行ないますが、干潮の後は潮が満ちてくるので要注意。波に足をすくわれたり、帰り道が無くなったりということにならないよう、潮が満ちてきたら無理をせず早めに切り上げましょう。

磯で見つかるオモシロ生きものの代表格「ヤドカリ」

それでは、今回の本題であるヤドカリについてご紹介していきましょう。
ヤドカリは、カニやエビと同じ甲殻類に属する生きもので、巻貝の貝殻を背負って暮らす仲間を指します。しかし中には貝殻を背負わないものもいて、例えば高級食材として有名なタラバガニは、実はヤドカリの仲間です。また、磯浜に限らず砂浜や深海まで幅広く海に生息しており、さらには主な生活拠点が陸地のものもいます。

ヤドカリの多くは貝殻を背負っていますが、それは柔らかい腹部を守るためです。ヤドカリの体は意外に柔らかく、特に腹部はかなり柔らかいので、敵や外的な衝撃からこの腹部を守るために固い貝殻を利用しているのです。また逆に、柔らかいからこそ腹部を柔軟に貝殻の中に入れることができるということも言えます。

ヤドカリの交尾

ヤドカリの中でも磯でよく見つかるのが「ホンヤドカリ」です。体長1cmほどの小型のヤドカリで、砂浜には生息せず、岩場がある磯を住処にしています。はさみは左右対称ではなく右のはさみの方が大きく、またオスはメスより少し大きめです。

ホンヤドガリは、繁殖期を迎えるとオスがメスを見つけてハサミで捕まえて、他のオスに取られないように連れたまま生活します。この行動は交尾のチャンスを待つための行動で、何日もメスを捕まえたまま生活します。そしてメスが脱皮する時、いよいよ交尾です。脱皮するときメスは貝殻から出ますから、その瞬間が来たらオスも貝殻から出て交尾するのです。

交尾すると卵が産まれ、しばらく経つとふ化します。ヤドカリをはじめカニやエビの仲間は、基本的に卵から生まれてくる際、親と全く違う形で生まれます。ホンヤドカリの場合、プランクトンのように小さなゾエア幼生が生まれ、グラウコトエ幼生に成長した後、ようやく親と同じ形の小さな稚ヤドカリになります。
稚ヤドカリになると自分の体に合わせた小さな巻貝の貝殻を探しますが、その中に入ったら小さなヤドカリの誕生です。

ヤドカリの引っ越し

ヤドカリは、体の成長とともに大きな貝殻へと引っ越しを繰り返して大きくなっていきます。死ぬまでに何度も引っ越しをしますが、体が成長して貝殻が狭くなったら引っ越すだけでなく、貝殻がボロかったり気に入らなかったりすると、すぐに新しい貝殻を探して引っ越します。

●ヤドカリの引っ越し

このようにヤドカリの引っ越しは頻繁に行われる行為なのですが、これを自然の中で観察しようと思っても、さすがに簡単には遭遇できません。そこでヤドカリと空の貝殻を一緒に自然観察ボックスやバケツなどの中に入れてあげれば、ヤドカリの引っ越しを見ることができます。

一番のコツは、まず「引っ越ししたそうなヤドカリ」を見つけること。体に比べて背負っている貝殻がちょっと小さそうに見えるヤドカリや、貝殻に穴があいているなどちょっとボロそうに見えるヤドカリは、すぐにでも引っ越ししたいヤドカリです。
そうしたヤドカリを数匹見つけて、海水と一緒に自然観察ボックスやバケツの中に入れます。そしてそこに、今背負っている貝殻よりちょっと大きめの貝殻を入れてあげます。すると、引っ越しを始めるヤドカリが出てくるのです。

さあ皆さんも、磯の生きもの観察とヤドカリの引っ越し観察に、ぜひチャレンジしてみてください。

ツインリンクもてぎの自然体験施設「ハローウッズ」へ行ってみよう!

ハローウッズは42ha(東京ドーム約9個分)の広さがあり、いつでも、誰でも、思いっきり遊べる元気な森です。人と自然が楽しくかかわり合い、自ら体験し、発見できるプログラムをたくさん用意して、皆さんをお待ちしています。

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