昨今のプロゴルフツアーでは、パッティングスタイルが昔とはだいぶ変化しています。右手が下に来るノーマルなグリップでストロークする選手は少数派になり、クロスハンドグリップがスタンダードになっているという印象です。そのほかにもさまざまな握り方の選手がいますし、欧米ツアーでは「アームロック式」という新しいスタイルで結果を残す選手も増えています。そこで今回は、イマドキのパッティングのスタイルをいくつかピックアップし、そのメリットを紹介しようと思います。
クロスハンドグリップ

左手リードのストロークがやりやすい。左手の甲でヒットするイメージでインパクトできるので手首を使い過ぎてのミスが防げる
右手の悪影響をなくせる新スタンダードスタイル
もはや変則的とはいえないクロスハンドグリップは、文字通り左右の手を上下入れ替えて握るスタイルです。ノーマルな逆オーバーラッピンググリップは、右手の感性を生かせる半面、繊細な右手が効き過ぎることでフェース面やストロークにズレが生じやすくなることもあります。その点クロスハンドグリップなら、下に来る左手主導でストロークすることで、右手の余計な操作をなくすことができます。ハンドファーストに当てやすく、過度なフェースターンが抑制されるので、ひっかけることを嫌うゴルファーには有効なスタイルです。
クロウグリップ

右手がグリップをほぼ握らないので右手による悪影響を排除できる。
パターの重さを生かしたスムーズなストロークがやりやすい
左手はノーマルに握り、右手はペンを持つようにグリップに当てるスタイルです。右手の指先が鷹の「claw(かぎ爪)」のように見えることからその名がついたグリップで、ほぼ握らないことから右手の影響を大幅に排除することができます。左右の手の位置を入れ替えないので慣れ親しんだ逆オーバーラッピングの感覚でストロークでき、その上で右手の動きを抑制できるため、比較的スイッチしやすいスタイルと言えるでしょう。小さく滑らかなストロークがやりやすいので、特にショートパットで威力を発揮します。
アームロック式

左肩を支点にしたストロークができるのが最大のメリット。右手はオプションが多いスタイルといえる。
左肩を支点にする左腕主体ストロークの究極形
PGAツアーで採用する選手が増えているスタイルで、中尺パターのグリップエンド付近を左腕に押し当ててロックし、左肩を支点にしてストロークします。右手の握り方はさまざまで、少し右手の感覚を生かしたい場合はノーマルに握り、右手の余計な動きを排除したい場合はクロウグリップにします。このスタイルの最大のメリットは支点を作れることで、長尺パターのアンカリング規制で成績が出なくなった選手が採用することが多いのは、そのためです。左腕主体ストロークの究極形ともいえ、右手の影響をほぼ排除できますが、ハンドファーストがきつめに当たるので、通常よりもロフトのあるパターを使用する必要があります。