ゴルフ理論

スコアアップにつながるゴルフ理論アプローチでフェースを開く理由は?
意外と知らないダフリの原因

2012.05.31

プロゴルファーはウェッジでアプローチするときにフェースを開きますが、なぜだかわかりますか?これには非常に理にかなった理由があるのですが、それを説明する前に、ダフリのメカニズムをお話ししておきましょう。

アプローチでザックリやってしまう人は多いと思います。ウェッジに慣れていないと、フェアウェイの良いライからでも「ザクッ!」とやってしまいますよね。調子良くグリーンの近くまで運んだときに限ってこういうミスがよく起こるのがゴルフ。がっかりしちゃいますよね。でもザックリのミスは、ウェッジの構造を知らないがために起こることが多いので、この機会に知っておきましょう。

ダフリという現象は、クラブの刃(リーディングエッジ)が地面に突っかかってしまうときに起こります。ボールのけっこうな手前にクラブヘッドが落ちてしまう場合は明らかなミスですが、それなりに近くに入ってもザックリになるときがあるのは、リーディングエッジで芝を起こしてしまうからなんですね。

実は目標に対してクラブをまっすぐセットして打つと、こういうことが起こりやすいのです。アドレスの状態でリーディングエッジは地面と非常に近いため、そのまま打つとリーディングエッジから地面に着地します。このとき少しでもボールの手前にクラブが落ちると芝の抵抗を受けてしまうのです。上から鋭角に打ち込むとその可能性は増大。芝が順目なら振り抜ける場合もありますが、逆目だったりするとモロに抵抗を受けてザックリになります。また芝が薄い場合や砂混じりの地面なども突き刺さりやすいですね。

このリスクをなくすためにプロはフェースを開きます。フェースを開くとあら不思議!それまでおおむね平らだったソールが存在感を出してきて、出っ張るのです。その結果、まっすぐセットアップしたときには地面に触れていたリーディングエッジが宙に浮きます。これがいわゆる「バンスの効いた状態」というやつで、そのまま打ち込まず払うように打てばリーディングエッジは地面と接触しないので、絶対に突っかからないのです。ボールの赤道より下にさえリーディングエッジが当たればOK。トップにはなりません。

ただしフェースを開きっ放しのまま打つと右に飛んでしまいますから、当たってからフェースを閉じていくことがアプローチのコツ。こうすることでスピンを効かせながら目標にボールを運ぶことができるという仕組みです。

目標に対してまっすぐフェースを向けると、クラブの刃(リーディングエッジ)が地面と近いので、インパクトで突き刺さりやすい

フェースを開くとバンスが効いて刃(リーディングエッジ)は地面から離れる。このままソールを滑らせて打てばザックリのミスはない


Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。

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