ゴルフ理論

スコアアップにつながるゴルフ理論歳をとっても
このスイングで飛ばせます!
シニアゴルファーの飛距離アップ術

2023.07.13


「歳をとって飛ばなくなった」という声をよく聞きますが、それが抗えない事実なのか? というのが今回のテーマ。シニアツアー出場に向けて練習を開始した三觜喜一プロに「シニアゴルファーが飛距離を取り戻す方法」を聞いてきました。

シニアゴルファーは腕力で飛ばすべきです


― 若い頃のように飛ばせないのは当たり前としても、少しでも距離を稼ぎたいのがシニアゴルファーのみなさんの本音ではないでしょうか。飛ばなくなったことを受け入れて技でカバーすべきなのか、それとも何かいい方法があるのかをぜひとも三觜プロにお聞きしたいと思います。

三觜 年齢と共に筋力が落ちて、それに伴って飛距離が落ちてくるのは仕方のない部分がありますが、飛距離アップの方法がないわけではありません。年相応の飛ばし方を知れば、少なくとも極端な飛距離ダウンは防げるはずですし、うまくハマれば若い人をオーバードライブすることだって可能だと思います。

― 夢のある話ですね。具体的にはどうすれば?

三觜 50代60代になっても筋力が落ちない部分を使うんです。10代20代のときと比べて筋力が落ちないのはどこだと思いますか?

― え? どこでしょう。脚力とか?

三觜 脚力は若い頃と比べて10分の1に落ちると言われています。どこの筋力が落ちないかというと、実は腕力なんです。たとえば、還暦を過ぎている方が高校生と短距離走をしたらほぼ負けると思うんですが、腕相撲をやったら絶対に勝てないかどうかは分からないですよね? 研究データにもあるんですが、腕力に関しては、年齢を重ねてもそこまでは落ちないんです。だったら腕を使って飛ばそうという発想が必要なんです。

― シニアは積極的に腕を使うべきなんですね。意外な答えでした。

三觜 しっかり腕を振ることにちゃんと取り組めば、年齢と共に飛距離が落ちることは防げます。ただ、体が硬くなってきますから、クラブを振るための助走距離がとりづらくなり、思い切り振ろうと思っても振れないということが起こるんです。いわゆる「バックスイングが上がらない」という状態ですね。

三觜 これを改善するには、ベン・ホーガンがやっていたようにクローズスタンスで構えることが有効で、バックスイングで体をねじるというよりは深く回してあげてください。そうすることで助走距離がとれますから、積極的に腕を振っていくことができるようになります。下半身を固定しておき、上半身をねじって、そのねじり戻しで打つというのは年齢と共に難しくなりますから、やはり大きく深いバックスイングをとることがポイントになると思います。

クローズスタンス


腕を積極的に振る

クラブをつまむように持てばヘッドが走る


― 腕を積極的に振るための良い練習などはありますか?

三觜 手首とヒジのヒンジ(折る動作)が重要です。ここが折れない、ヒンジが入らないと強く振れないので、バックスイングで積極的にリストを使って、ヒジを曲げて、腕を振る体勢を作ってください。

三觜 このとき気を付けるべきなのがグリップの強さです。昔から左手の3本指(中指、薬指、小指)と右手の2本指(薬指、小指)をしっかり握りなさいと言いますが、自分はそこに対しては否定的です。小指側を強く握ってしまうと、クラブヘッドを走らせるのが難しくなるからです。

三觜 むしろ親指と人差し指でつまむように持ったほうが速く振れるので、そのイメージでグリップすることをおすすめします。シニアでも腕力が落ちてないので小指側で強く握ることができますが、それゆえにクラブヘッドが走らないのも事実なので、つまみながら振るという感覚をぜひ覚えてもらいたいと思います。


クラブヘッドを走らせる
感覚を覚える

両手の小指と薬指をグリップから外し、親指、人差し指、中指の6本でクラブをつまむように握ってクラブを振る。クラブが体に巻き付くような感覚が出てくればOK。慣れてきたら実際にボールを打ってみよう。

― 腕力を使いながら指先は繊細に、ということですね。正直「体を使って打つ」という答えを予想していたのですが、逆でした。

三觜 年齢と共にフィニッシュがとれなくなってしまったり、当てて終わりのスイングになってしまう方をよく見かけますが、それは「振る」ということを忘れているからなんです。体が動いてもクラブが動いていなければ意味がありません。ぜひ積極的に腕を振ることからやり直してみてください。

三觜喜一プロ

YouTubeチャンネルの登録者数40万人と絶大な人気を誇るティーチングプロ。スイング理論が注目されがちだが小技も得意で、ツアープロにアプローチを指導することも多い。


Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。

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