ゴルフを始める人が増えている昨今ですが、はっきり言ってこのスポーツは簡単ではないので、最初のうちは苦労します。まともに当たらない、まっすぐ飛ばない、ビギナーの悩みは尽きないものです。どうしたらこのレベルを卒業できるのか、エースゴルフクラブの人気コーチ・小野耕平プロに聞いてみましょう。

― 始めたての頃はコースでまともに当たらないのが普通だと思いますが、どうしたらまっすぐ飛ばせるようになるのかを教えてもらいたいと思います。これだけは守っておこう! というようなスイングのポイントはありますか?
小野 アマチュアの方が苦労するというか、上手くできない動作があるんです。①ブレない回転軸、②下半身の使い方、③前傾姿勢のキープ、という3つなんですが、これらをクリアすればかなり変わってくると思いますよ。
― ふだん数多くのアマチュアを指導されていると思いますが、その3つに集約されるということですね。
ポイント1
手首を柔らかく使えば、
回転軸がブレずジャストミート!
小野 はい。まず回転軸に関してですが、これは手首の使い方が間違っている場合が多いんです。手首を柔らかく使うのがゴルフスイングにおける正解なんですが、フェース面をキープしようとして手首を固める方がけっこう多いんです。そうすると体が動いてしまうので、軸もブレるという悪循環になります。

― 手首を固めると体が動く?
小野 ペンで文字を書くときをイメージしてください。手首を固めると体が揺れてしまうんです。手首を柔らかく使うと体は動きませんが、ゴルフスイングでも同じことが起こっているんですね。

小野 ですから、手首を柔らかく使うことが大事です。ただそう思っても、フェース面を動かさずにボールを打とうとすると手首は固まるし、フォローで左ヒジが曲がってしまうので、フェースローテーションの意識を持ったほうがいいですね。手首を支点にクラブが振り子運動をするようにしましょう。手首が硬い方は体の正面でクラブをぐるぐる回すドリルを行うといいですよ。

ポイント2
ブランコを漕ぐ要領で
クラブヘッドを加速させる
― 2つめは下半身の使い方ということですが、具体的にはどのような動きが苦手なんでしょうか?
小野 「腰を回す」と思っているアマチュアの方が多いんですが、実はこれが間違いです。頸椎は左右に90度動きますが、胸椎は45度、腰椎となると5度ぐらいしか動きません。にもかかわらず、腰だけを回そうとすると胸椎、頸椎ごと動いてしまうんです。いわゆる突っ込む動作ですね。

小野 これを防ぐには意識を変えることが必要で、「腰を回す」のではなく「足を使う」という意識に変えたいですね。ブランコを漕ぐとき、振り上がった際にヒザを曲げると加速します。あれと同じイメージで、バックスイングが上がったら、ブランコを漕ぐように足を使ってクラブを加速させるんです。


― ヒザの屈伸を利用してクラブヘッドを加速させるんですね。
小野 ブランコがイメージしにくい方は、中身が半分ぐらい入ったペットボトルを持って、シャドースイングしてください。バックスイングのとき、液体が遠心力でキャップ側に寄るようになればOK。ダウンスイングでは逆に液体がボトルの底に寄ればOKです。この練習で、腰を回すのではなく、足を使ってクラブを振り下ろし、体を回転する感覚をつかんでください。

― 切り返しのイメージがつかめそうですね!
ポイント3
骨盤が後傾すれば前傾姿勢をキープできる
小野 3つめの前傾姿勢のキープですが、なぜこれができないかというと、ひとつの理由としてはアドレスの問題があります。ボールに近すぎれば伸び上がりますし、遠すぎればまともにスイングできません。まずは、適正なボールとの距離をとることが大事ですね。
ただそれができても、骨盤の角度が悪いと前傾姿勢はキープできません。骨盤が前傾している「反り腰」のままダウンスイングすると、体は起き上がります。
骨盤の傾き

小野 アドレスで骨盤の角度をニュートラルにしておいて、バックスイングでもニュートラルのままキープ、ダウンスイングで後傾させる。そうすることで、前傾姿勢をキープしながらインパクトすることができるんです。
骨盤の後傾が大事

― 前傾姿勢のキープは骨盤の角度が鍵だったんですね。知らない人も多いんじゃないかな。
小野 前傾姿勢の状態から骨盤だけを動かすのはけっこう難しいのですが、ゴルフスイングでは必要な動作なので、ふだんから練習しておきたいですね。

そして最後になりますが、ダウンスイングでクラブを自分のほうに引き付ける動作も起き上がりを招きます。スイング中は体と手元の距離が変わらないということを理解し、手元を遠くに引き離すイメージで振り下ろしてください。

