ゴルフ理論

スコアアップにつながるゴルフ理論体重移動は必要ない?
最新スイング
理論から導く下半身の使い方

2021.12.09


最近のスイング理論は下半身の動きが重要視されるようになってきました。腕を振るイメージではなく、体の回転で打つように指導するコーチが増えていますし、テニスのバックハンドのように体を使って打つ選手も少なくありません。

要は「下半身で打て!」ということですが、スイング中に足をどう使っているかを測定する解析機(スイングカタリスト)もすでに存在し、科学的にフットワークを改善する試みが始まっています。

センサーに乗ってスイングすると、「ホリゾンタル」「トルク」「バーチカル」など足にかかる力のデータが表示されるスイングカタリスト。

下半身には3つの力が発生している

スイング中のフットワークには指標となる動きが3つあって、①ホリゾンタル(Horizontal/水平運動)②トルク(Torque/回転運動)③バーチカル(Vertical/縦運動)といいます。ホリゾンタルは足の横方向の力、トルクは文字通り回転の力、バーチカルは縦に踏み込む力のことです。

スイング中における下半身の力

①ホリゾンタル(Horizontal/水平運動)足の横方向の力
②トルク(Torque/回転運動)足が回転する力
③バーチカル(Vertical/縦運動)縦に踏み込む力

測定では3つの力が右足と左足の中でどう変化するのかを見ていきますが、飛距離を出すためには、データの絶対値を上げることが必要になります。また、それと共にデータのピーク(最大値)が、ホリゾンタル→トルク→バーチカルの順に訪れることが理想的とされます。

このようなフットワークを前提として、ホリゾンタル、トルク、バーチカルそれぞれの値が、PGAツアーの選手のデータに到達することが1つの目標となり、3つすべてが基準値を超えれば、自ずとロングヒッターになっていることでしょう。

現代型のスイングで重要なのがトルク

ここで注目すべきは、データの優先順位が以前とは異なっていることです。ドライバーのヘッドが小さかった時代は、左右の体重移動(ホリゾンタル)が重要とされ、バックスイングで右足に乗り、その体重を左足にシフトすることが飛ばしの秘訣だとされてきました。

しかしいまは回転(トルク)が重視され、軸を中心にキープしたうえで、右足から左足に重心をシフトする動作が推奨されています。

レッスン動画でもお馴染みの星野英正プロは、回転の要素を採り入れて飛距離アップに成功した一人ですが、やはり左右の体重移動は必要ないと言います。
「下半身で回転するためには、まず股関節を入れることが大事です。右のお尻を後ろに引いて股関節を入れるのですが、このとき正面から見て腰のラインがアドレス時よりも右にはみ出さないことが重要です。実際にはボール1個ぶんほど左にズレるのですが、こうすることで左回転を行う姿勢が確保できます。」(星野プロ)

「ここから、右足を下に踏み込むと同時に左ヒザを外に開きますが、こうして腰を回転させるのが、イマドキの大型ヘッドに合った現代型のフットワークといえます。」(星野プロ)

飛距離アップを可能にする2つの動作

星野プロが指摘するように、下半身の回転を強化するポイントは2つで、1つめは右のお尻を後ろに引いて股関節を入れること。これは右回転しているともいえ、左に回転する準備が整います。

そして2つめは、左のヒザを外に開いて腰を回転させること。これは世界の舞台で活躍するトップコーチが口を揃える動作で、現代型スイングの肝といえるでしょう。

バックスイングで股関節を入れるのは、アイススケートをイメージすればわかりやすいと思います。しかし、おそらく多くのゴルファーにとって、ダウンスイングで左ヒザを外に開く動きは馴染みがないでしょう。

ですから一度その体勢をつくり、そこからバックスイングを上げて打ちましょう。このドリルを繰り返すことで、下半身のトルク力を高めることができます。動作を覚えた後は手や腕の力を抜けば必ず飛距離がアップしますよ!

下半身のトルク力を高めるドリル

覚えたい動作をスタートポジションにボールを打つ

絵と文
Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。


「ゴルフ理論」の記事一覧へ