ゴルフ理論

スコアアップにつながるゴルフ理論7番アイアンで100ヤードを打つと、
なぜゴルフが上手くなるのか

2021.11.11


ゴルフがあまり上手でない人が軒並みできないことがあるのですが、何だかわかりますか? 真上に飛び出すロブショット? 地を這うようなスティンガー? そういう高等技術はひとまず置いておいて、もっと単純なのにできないことがあるんです。そう、それはスイングのスピードを落とすことなんです。

ゴルフを習いに来ている初心者に「ゆっくり振ってください」と言ってもできないんですね。本人はゆっくりクラブを振ろうと思っているのですが、必ずと言っていいほどビシッと球を弾いてしまうんです。みなさんはそんな経験ありませんか?

ゆっくりスイングできない理由

なぜそうなってしまうかというと、理由は2つあります。潜在的に「飛ばしたい」という気持ちがあるというのが1つ目で、クラブを自分がどう振っているのか曖昧だからというのが2つ目です。自分が何をやっているかわからないので、速く振ることでごまかしてしまうんですね。

手や腕を返して球を弾いているうちはスローなスイングはできない。

実際にやってみるとわかりますが、スローモーションスイングはけっこう難しいものです。どのように始動して、ハーフウェーバックでどこにクラブを持っていって、そこからトップオブスイングまでどのように上げるのか。どのようにダウンスイングに切り返して、ハーフウェーダウンではどこにクラブを持っていって、そこからインパクト、そしてフォロースルー、フィニッシュへ。
各パートでクラブと体がどうなっていればいいかを把握していないと、スピードを落としてフルスイングすることはできません。

体の回転とクラブが同調するようにスイングしよう。

スローモーションスイングは
ハーフスイングとは別物です

プロや上級者がよく行う「7番アイアンで100ヤードを打つ」という伝統的な練習がありますが、あれこそがスローモーションスイングであり、ハーフショットとは区別しなければなりません。

ハーフスイングで100ヤード打つ練習は、球を低く抑えてコントロールする力を養うことができる。しかし、正しく行わないと手首の動作に変な癖がつきやすいので、スイングができてから行ったほうがベター。

スイングを小さくして距離を落とすのではなく、スピードを落として距離を落とすことが重要なのです。アマチュアが行うとインパクト付近でクラブを走らせてしまいますが、テークバックからフィニッシュまでクラブを等速で動かすことがポイント。こうすることで曖昧な部分が浮き彫りになってきます。
その曖昧な部分のクラブと体のポジションをしっかりと把握していくことで、「こうやって振ろう」という意識で現実の動作を一致させることができ、自分のスイングが出来上がります。

ティーアップしたボールをフルスイングで打って100ヤード飛ばしてみよう。スイングスピードを落とし等速で振ることで、体でターゲットに運ぶ感覚を覚えることができる。

宮里藍プロは現役時代に1スイングを2分かけて行う練習をしていました。「太極拳スイング」と呼ばれましたが、そうやってスイングを体に覚えこませたからこそ、世界ナンバーワンに登り詰めることができたのでしょう。
2分は信じられないほどの長さですが、アマチュアにとってもスローモーションスイングは間違いなく有効なので、ぜひ練習メニューに取り入れたいものです。

スローモーションスイングはいつものスイングをスローで行うだけですが、もしどうやればいいのかわからない場合は、クラブヘッドで円を描くつもりで行ってください。手先を使わず、腕の長さをなるべく変えずに円を描きます。バックスイングでは右の体側を伸ばし、フォロースルーでは左の体側を伸ばしてください。こうして左右の体側をストレッチしながらスイングすることで、手先ではなく体でボールを運ぶスイングを覚えることができます。

1スイングを2分かけて行ってみると、動作を把握していない曖昧な箇所が浮彫りになる。なるべく腕を伸ばして、大きな円を描くように心がけると共に、バックスイング時に右の体側を伸ばし、フォロースルー時に左の体側を伸ばすと体を使って振ることが身につく。

絵と文
Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。


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