ゴルフ理論

スコアアップにつながるゴルフ理論シャローイングができない原因は?
低いトップから打つときのルール

2021.06.17


ゴルフスイングには流行があり、現在では切り返しでシャフトを寝かせるシャローなダウンスイングが注目を浴びているといっていいでしょう。カリスマ的な人気のある日本人選手が「低いトップ」から振り下ろすスイングに改造していることもあって、コンパクトなトップから打ちたいと考えるアマチュアゴルファーが増えているようです。
しかし必ずしも上手くいっているとはいえないのが現実。低いトップから打つにはルールがあり、それを知らずに練習を積んでも質の高いボールは打てないのです。

手元が低くかつ左手首を「掌屈」したトップはトレンドではあるものの、単にスイングプレーンをなぞるように下ろしてもクラブを加速させにくい。プロが低いトップから飛距離を出せるのには理由があることを認識しよう。

コンパクトなトップで成功している選手には共通点があって、切り返しから手元が落ちてくるのに対し、クラブヘッドがなかなか下りてきません。その間にも体はターンし続けるので、飛球線後方から見るとクラブはまだ振り下ろしていないのにもかかわらず、体はすでにターゲット方向を向いているように感じます。そこから体全体でクラブを引っ張るように下ろしてきてインパクトを迎え、そのまま体と同調するようにクラブを振り抜きます。

最大のポイントは低い手元と下りて来ないトップの高低差であり、よく「タメ」と表現されますがそれだと不十分かもしれません。たしかに手首に角度があることで角速度が生まれクラブは加速するのですが、クラブヘッドに高さがあることが重要なのです。もしクラブヘッドがこのとき低い位置にあればクラブが下から入ってしまうからで、高い位置から下りることでクラブのライ角通りにとらえることができるのです。

体をターンしながら手元を落下させクラブヘッドとの高低差を作ることで、加速ができると同時にクラブをライ角通りに使える。

切り返しでクラブを倒し、そのままの傾きで下ろして来ようとする場合がありますが、アドレスのシャフトプレーンよりもクラブを倒してインパクトすることに意味はありません。どんなにクラブを倒しても、インパクトではアドレス時のシャフトの位置に戻さなくてはならないのです。

ダウンスイングでは体のターンと腕を同調させる。どんなに切り返してシャフトを寝かせてもアドレス時のシャフトプレーンでインパクトすることが重要。

セルジオ・ガルシアのようにクラブヘッドが低い「シャローな」位置からボールにアタックすることが重要であり、クラブを倒しっぱなしでスイングすることがシャローイングではありません。手首がタマっていると上から鋭角にとらえたくなりますが、慌ててリリースするのではなく、体をターンしてクラブを引っ張ってくるのがコツ。こうすることでシャローな位置からインパクトできますし手元が先行するハンドファーストの形になるのです。

低いトップと強烈なタメが特徴のセルジオ・ガルシアは、手を振らずに下ろしてくるのでインパクトがハンドファーストになり、クラブヘッドが低い位置からボールにアタックする。

低いコンパクトなトップだと、飛距離が出ないのではないかと言われますがそんなことはありません。バックスイングを高く上げる代わりにダウンスイングで背中側のスペースを使うことで助走距離をとれるので十分な加速を得ることができます。また、主に体の回転を使ってクラブを操作するので再現性が高くなり、マスターすれば強い武器になることは間違いありません。

絵と文
Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。


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