ゴルフ理論

スコアアップにつながるゴルフ理論右回りスイングのコツ!
プロのような切り返しになる動作

2021.03.04

ゴルフスイングを分類するための要素はいくつかありますが、「右回り」「左回り」で分ける方法があるのをご存知でしょうか? 何が回っているのかというとクラブであり、どこで回るのかというと切り返しです。
要はバックスイングが上がってから、クラブが右回りで下りてくるか、それとも左回りで下りてくるのかということなのです。

プロゴルファーの多くは右回りで、飛球線後方から見ると、切り返しで一瞬静止したように見えるポジション(トップオブスイング)からクラブが後方(背中側)に動いてから下りてきます。一方アマチュアはほとんどといっていいほど、トップオブスイングからクラブが前方(頭側)に動いてから下りてくるのです。この違いが球質に大きな差を生むといえます。

クラブが背中側に動けば右回り、
頭のほうに動けば左回り

いったい切り返しで何が起こっているのでしょうか? 答えは簡単で、プロは自分から見てクラブを右回りさせて下ろしてくるので、切り返し直後はクラブが背中側に振られるのです。つまり、テークバックをアウトサイド気味に上げ、インサイドから振り下ろしてくるということですね。
これに対して多くのアマチュアは、テークバックをインサイドに引っ張り込み、左回りさせてアウトサイドから下ろします。どちらも回しているから同じじゃない? と思われるかもしれませんが、右回りと左回りでは大違いなのです。

クラブを遠くに放り投げようとすると、始動でヒジを外側に振り出し、自分から見てクラブを右回りさせて投げるのが自然な動き。

仮にクラブを放り投げるとしましょう。遠くに投げようとすると、テニスのフォアハンドのようにヒジから動かしながらクラブヘッドを外側に振り上げ、振り上げた軌道の内側を通らせて加速しながら投げるはずです。
これが右回りで、クラブに発生した遠心力を利用して遠くに飛ばすことができます。クラブを離さずスイングした場合も同じで、クラブを右回りさせることで遠心力を発生させるだけでなく、体の回転をクラブに伝えて加速させることができるのです。

自分のほうにクラブを引き寄せてから左回りさせて投げる人はいないと思いますが、ゴルフスイングだとそれをやってしまうのが不思議なところ。実際にやってみるとわかりますが、体の回転が使えず遠くに投げることはできませんし、当然ながらゴルフでもクラブを加速させることができません。手の力に頼ってしまいますし、クラブが外から下りてくるのでアウトサイドイン軌道のカット打ちになってしまいます。

ゴルフスイングの切り返しでは
「負けるが勝ち」?

というわけでプロや上級者は同じ軌道で上げて下ろしているように見えますが、実際にはクラブを右に回してから振り下ろしているのであり、これはゴルフにおけるかなり重要なコツと言えます。
ならば素直に右回りさせればいいじゃないかと思うでしょうが、利き腕の力が邪魔をしてなかなかできないのが現実です。右打ちのゴルファーはトップオブスイングから右手の力でクラブを速く振ろうとしがちですが、これをやってしまうと切り返しで腕が内旋し、クラブは左回りしてしまうのです。いわゆる「シャフトクロス」が治りにくいのはこのためで、どんなにいいトップオブスイングをつくっても、振り下ろすときに右腕の内旋が入ってしまえば台無しです。

バックスイングがどんなにいいポジションに上がっても、切り返しで利き腕に腕相撲に勝つ動作が入ってしまうと、クラブは左回りして外から下りてくる。

右腕の内旋というとイメージが沸きにくいかもしれませんが、要は腕相撲で勝つときの動きです。利き腕で相手をねじ伏せる動作が切り返しで起こると、クラブは左回りしてしまいますから、逆に負けることが必要なのです。
というわけで、左回りが治らない場合はバックスイングが上がって切り返すときに、腕相撲で負ける動きを入れてみてください。それと同時に、腕全体をストンと下に自然落下させることができれば完璧。こうすることでクラブは背中側に倒れてから右回りして下りてきますし、右手首が甲側に折れることで左手掌屈の形も作れます。このように「切り返しで負ける」ことができればプロのような切り返しになるので、ぜひ試してみてください。

絵と文
Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。


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