ゴルフ理論

スコアアップにつながるゴルフ理論ボディターンスイングのコツ|右手の使い方が上達のカギ!

2020.12.03

世界最高峰のゴルフシーンではいま、ボディターンスイングが見直されています。飛ばし屋の新鋭マシュー・ウルフ選手を筆頭にジョージ・ガンガスコーチのメソッドを採り入れるトップ選手は数多く、ブライソン・デシャンボー選手はノーコック打法で圧倒的な飛距離を叩き出し、コースマネジメントの概念を根底から覆す攻め方でゴルフ界を騒がせています。
これらの事実は体の回転のパワーを生かせばもう1ランク上のプレーができることを物語っており、世界中のゴルファーがボディターンスイングに興味を抱き、そのメリットを享受したがっているともいえます。


ベン・ホーガンが60年以上前に、胴体の回転を主体にしたスイングを提唱していたことは、以前ご紹介した「やっぱり『モダン・ゴルフ』はゴルファーのバイブルだ!」の記事にてお伝えしましたが、日本でも30年以上前からボディターンスイングを指導し続けているプロコーチがいます。増田哲仁氏がその人で、増田プロのメソッドはジョージ・ガンガス氏の「GGスイング」とかなりの部分で共通点があり、体の回転を主体にしたスイング理論を一貫して主張し続けていることは注目に値します。

ここでひとつ問題になるのが、アマチュアがボディターンスイングをしようとすると、うまくいかないことが多いということです。
体を止めて腕を振って打てばそこそこ飛ばせても、腕を振らず体を回転させて打つとなるとうまくできないのです。これは手や腕の使い方がわからないためで、「手を使わない」という意識が手首を固めたり、グリップを強く握り過ぎたり、というマイナスの要素を作り出してしまうといえます。

増田プロによればスイングの原型は、目標に正対してボールを投げるときの動作です。利き手でボールを下から投げようとすると腕をどこに振り上げますか? 目標に対して手をまっすぐ後ろに下げようとするはずです。目標が遠ければ遠いほど前傾姿勢が深くなりますが、まさにこれがトップオブスイングの姿勢です。

ゴルフスイングの右手は体の正面に下からボールを投げるイメージ。距離を出したいときは前傾しながら真後ろに大きく振りかぶるのが自然であり、これがボディターンスイングのバックスイングのイメージ。

腕を背中側に振り上げてから体を使ってボールを投げますが、そのときの右手の使い方がすなわちゴルフスイングにおける右手の使い方。
自分の体に対して縦に動かすだけで、横に動かす動きは必要ありません。ここが理解できればボディターンスイングの神髄にかなり近づいていますし、後は回転の要素を入れるだけです。

ソフトボールのウィンドミル投法のように、腕を体から離さず縦に使う。遠くに投げようとすると腕を内旋しながらスナップを効かせるはず。

ゴルフのアドレスでは、目標に対して正対するのではなく真横を向いて構えます。ここがゴルフを難しくしている部分であり、腕を横に振りたくなる理由でもあります。

しかし増田氏のボディターンで腕は、絶対に横に振りません。ソフトボールのウィンドミル投法のようにホームベースに対して腕を縦に使うだけです。
ソフトボールと違うのは、ゴルフの右打ちの場合、アドレスで目標の90度右を向いて立っていることです。腕、そしてクラブはあくまでも体の正面に振っていきますが、もちろんそれだけでは目標にボールは飛ばせませんので、体の回転を入れます。
右胸をしっかり開いて腕を後ろに振り上げたら、体を左に回転させながら腕を縦に振ってください。これでボールを目標方向に投げることができますし、クラブを持った場合も同じように右手を縦に使って打ちます。腕およびクラブが背中側にある時間を長くするのがポイントで、クラブを後ろから回してくるように打つことから、この回転系のシステムは「後ろ回し」スイングと呼ばれています。

縦に振る腕に体のターンを加えることでボディターンスイングは完全になる。クラブを持ったときは左手の可動域に応じて右ヒジが曲がるが、右腕の使い方の本質を理解していれば自然にアジャストできるはず。

以上が増田プロのスイングイメージであり、世界のトップ選手の多くがこの動きを内包したスイングでボールを打っているといえます。実際に会得するにはグリップを握る力を抜くことがマストであり、クラブに発生した遠心力に逆らわずに手首を動かしましょう。正しく行えば、低い位置からボールにアタックする、いわゆる「シャローイング」になりますのでぜひトライしてみてください。

絵と文
Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。


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