ゴルフ理論

スコアアップにつながるゴルフ理論ドライバーが当たらない原因|アイアンとの違いや対処法を解説

2020.10.22

「アイアンはそこそこ打てるのにドライバーが全然当たらない!」こんな思いを胸に抱きながらプレーしているアマチュアは少なくないはずです。経験を積むにしたがってアイアンはなんとか打てるようになりますが、ドライバーだけは打てたり打てなかったりと不安定なままであることは珍しくありません。今回はそんな悩めるゴルファーのために、なぜアイアンが打ててもドライバーが打てないかを明らかにしようと思います。

アイアンが打てるスイングでドライバーが打てない理由は、ズバリその構造の違いにあります。

アイアンは短く、ドライバーは長い。そして先端の形状で言うと、アイアンは薄い鉄の板であり、ドライバーは中が空洞になっているチタン製の物体です。
またフェース面からクラブヘッドの重心までの距離を重心深度といいますが、アイアンはこの重心深度が浅く、ドライバーは深い。
この違いが何を生み出すかというと、まずシンプルに長いドライバーはアイアンに比べて振り回しにくいですし、スイングしたときにより大きな遠心力と慣性モーメントが発生します。

大きな遠心力が発生するということは、振り下ろしたときにクラブヘッドが外に振られるということで、何も対策をしなければ芯に当てようと思ってもヒールに当たってしまいます。


これを防ぐためには、クラブを自分のほうに引っ張りながら振ることが必要で、これはドライバーをうまく打つための大きなコツといっていいでしょう。

ドライバーの大型ヘッドは大きな慣性モーメントを発生しますが、これも制御するのが難しい要因。
大型トラックが急には止まれないのと同じで、ドライバーのクラブヘッドはいったん動き始めたら直進し続けようとします。かつ重心深度が深いので、フェースが開いて下りてきたらその状態のまま、まっすぐフォローサイドに抜けていこうとします。
右にすっぽ抜けるような球が出やすいのはそのためで、この問題を解決するにはやはりクラブを引き付けて向心力を発生させ、先端(クラブヘッド)に発生している遠心力と均衡させるのがコツです。遠心力でクラブヘッドが円を描くように振れれば、自然なフェースターンが起こりボールをつかまえてくれます。

重心深度が大きい大型ヘッドドライバーは、シャフト軸線の右に重さがあるので、その重さを左に持ってくるのは難しく、フェースが開いたままアウトに抜けやすい。

重心深度が小さいアイアンはシャフト軸線の右にある重さを左に持ってくるのが比較的やさしく、地面とワンタッチさせて打つので余計フェースターンしやすい。

7番くらいまでのアイアンは手の力でフェースターンしてもそこそこ打てますが、ドライバーで同じことをすると、フェースが返らなかったり、返り過ぎてしまったりということになります。7番アイアンでスイングを覚えたゴルファーがドライバーが苦手なのはこのせいで、力づくではコントロールできないのがドライバーというクラブなのです。

手に力を入れ過ぎず、遠心力を感じながら振ることがナイスショットへの道だということを知りましょう。

もう1つ見逃しがちなのが、ドライバーではバックスイングでも大きな慣性モーメントが発生していることです。
手先でバックスイングするとクラブは制御不能になりオーバースイングになったり、シャフトクロスのポジションまで行ってしまいます。またクイックな動作も禁物。
ですから体を使って静かにバックスイングすることも大事なポイントで、絶対にクラブから動かさないようにしましょう。

ダウンスイングも含め、体→腕→クラブの順で動かすとうまく打てるのがドライバーというクラブなのです。

絵と文
Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。


「ゴルフ理論」の記事一覧へ