ゴルフ理論

スコアアップにつながるゴルフ理論ボールを打たずにうまくなる方法

2020.07.02

ゴルファーなら誰だってプロのようなカッコいいスイングになりたい!と願うものですが、そうはならないのが現実。そこには身体の柔軟性という大きな壁が立ちはだかっていて、いくらボールを打ってもこの問題が解決しないままではプロには近づけないのです。そこで今回は数多くのプロゴルファーのコンディショニングを担当する常盤仁トレーナーをお招きし、ワンランク上のゴルフスイングに必要な柔軟性の作り方を教えていただこうと思います。

肩が前の状態で胸を伸ばすアドレスがとれますか?


STEP1
ゴルフスイング中の体の変化を知ろう


― まずお伺いしたいのは、プロレベルのゴルフスイングではどのような体の動きが起こっていて、なぜアマチュアはそれができないのかといういうことなんですが。

常盤 今回は上半身に絞ってお話ししますね。どんなスイングであれ共通しているのは、バックスイングしたときに右側のほうが高くなるということです。そしてフォロースルーでは左側のほうが高くなります。このように右が高くなったり左が高くなったりするということは、胸郭という「箱」が動いているということであり、この「箱」の動かし方の違いでプロのようなスイングになったりアマチュアっぽいスイングになるということですね。

― アマチュアは胸郭を意識することは少ないと思いますが、どのように動かせばいいんですか?

常盤 まずバックスイングで横にずれます。それから傾き、最後に回旋します。これを一連の動作として行うので、横にずれながら、傾きながら、回旋ということになります。

常盤 つまり後方上方に切り上がっていく動作ですね。もし胸郭がわかりにくければ、脇でも同じです。脇が後方上方に切り上がっていくと考えてください。この動きがゴルフスイングに混ざっているのですが、一般的なアマチュアは胸郭を動かすのが圧倒的に苦手なんですね。

胸郭はバックスイングおよびフォロースルーで後方上方に切り上がっていく。


STEP2
なぜプロのようなスイングができないのか?


― だからスイングがアマチュアっぽくなるんですね。

常盤 なぜ胸郭が動かせないかというと、鎖骨周りや胸周りの柔軟性が落ちているからです。現代人はヒジが体の前にあって、手のひらが下に向いている姿勢をとることが多く、そうするといま指摘した部分が萎むような感じになります。加えて視線が落ちてくると縦方向にも萎みますから、このような時間が積み重なることによって、鎖骨周りや胸周りのコンディションがどんどん落ちていくわけですね。
デスクワーク、スマホの操作、クルマの運転、料理など日常生活の中で手が前にある時間を足していくとかなりの量になります。胸周りのコンディションがいい人のほうが少なく、当然ながらゴルフスイングをしたときに胸郭を動かせないんですね。そのせいでスイング全体が硬く見えたりするわけです。

現代人はデスクワーク、スマホの操作、クルマの運転、料理など手が前にある時間が長い。


胸周りの柔軟性が落ちていると胸郭がうまく動かせない。

常盤 そしてもう1つ、ゴルフスイングで胸郭を動かすことを難しくしている要因があります。それは、ゴルフスイングではヒジを使いにくいということです。
胸郭はボールを投げたりテニスのラケットを振るなど、両手がフリーになっている状態でヒジを使えば、難なく動かすことができます。たとえばヒジを高くすれば胸郭の傾きをサポートしますし、ヒジを後ろに引けば回転をサポートします。このようにヒジを利用すれば、胸周りが多少硬くても胸郭を動かして運動することができるのです。

ヒジを高くすると胸郭が傾き、


ヒジを後ろに引くと胸郭の回転をサポート。

ところがゴルフスイングでは両手が前に来て、両手でグリップするので、両手が強固につながります。そうするとヒジで胸郭をリードすることが難しなってくるので、硬いエリアをさらに閉じ込めたような形になります。これだとさらに胸郭の動きが制限され、ずらしたり切り上げたりといったことはできなくなるんですね。

両手がつながった状態で行うゴルフスイングは、ヒジで胸郭をリードすることが難しい。


STEP3
胸郭が動くようになるエクササイズ


― どうすれば胸郭を動かせるようになりますか?

常盤 今回は鎖骨、胸骨、胸のエリアを軟らかく、広がるようになるエクササイズを3つ紹介したいと思います。体の前面、胸や肩の内側が萎んでいるとそのエリアの自由度がなく、そうなると背中も自由に動きません。よく「肩甲骨が硬いんです」という話を聞きますが、肩甲骨を動かす場合に必要なのが体の前面の自由度で、胸周りのエリアが自由に広がれば肩甲骨も動かせるようになります。


胸郭が動くようになる
エクササイズ1

大の字体操

① 両手の拳で「グー」を作って肩の前に並べる。

② 左右の拳を肩の真横に持っていき、脇よりやや上でキープ。アゴを気持ち上げるようにして喉のエリアを広げる。

③ 両手のグーを水平方向に小さく揺らす。(20回程度)

胸の筋肉とつながっている力こぶに引っ張られることで、胸の筋肉を伸ばしていきます。腕が緩んでいると効果が出ないので、できるだけグーを体から遠ざけ、かつ喉を高くして、テンションがかかった状態で小さく揺らしましょう。

腕が緩んでいると効果が出ない。


胸郭が動くようになる
エクササイズ2

バタフライ体操

① 水泳のバラフライのように手のひらを外に向けながら、両手を体の前に持っていく。ヒジは曲がっていてOK。

② ①の状態で喉から鎖骨、胸骨、みぞおちにかけてのエリアを縦に長く伸ばしては戻しを繰り返し、ストレッチする。喉は上げておく。(10回程度)

肩の三角筋が体の前にある状態で、どれぐらい胸を長く伸ばせるかというストレッチで、ゴルフのアドレスに置き換えると、肩が前にある状態で胸を長く伸ばせるかということと同じです。硬い人は手が前に出ると胸のエリアが潰れるのでふだんから伸ばしておきましょう。

肩を引いて胸を広げるとお腹が伸びるだけで効果がでない。


胸郭が動くようになる
エクササイズ3

ヒジのストレッチ

① 体の前でヒジと手首を合わせる。

② ヒジが離れないようにしてできるだけ高く上げていく。

肩が前にある状態で、どれぐらいお腹から喉までのエリアを縦長に伸ばせるかというストレッチです。

胸周りを締めるとヒジがまったく上がらない。

常盤仁(ときわ じん)

国内のトップコーチから絶大な信頼を受けるフィジカルトレーナーで数多くのツアープロのコンディショニングを担当する。東京目黒区のコモゴルフアカデミーを中心に活動中。
TPIタイトリストフィットネスプロ
AFAAパーソナル・フィットネス・トレーナー
NSCA認定パーソナルトレーナー
フットケアトレーナー


Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。


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