ゴルフ理論

スコアアップにつながるゴルフ理論股関節の使い方が無意識に身に付く!
手打ちと決別できる練習法

2019.03.20

プロゴルファーがトレーニングとして行うことが多いのが、バットでの素振りやトスバッティングです。なぜゴルフクラブではなく野球のバットを振ることがスイングの向上につながるのでしょうか? その理由を、自身もトスバッティングをトレーニングの重要なメニューとして採用しているという星野英正プロに聞きました。

― トスバッティングの練習を重視しているそうですが、なぜですか?

星野 野球のバットを振るメカニズムは、ゴルフスイングと同じなんですよ。バットはクラブよりもはるかに重たいので、手先で振り回すことができません。無意識のうちにしっかりと体を使ってスイングするようになるので、非常に効果的なんです。

― バットを振るときのポイントは?

星野 股関節を使うことです。手だけで振ると軌道が安定しないので、ボールをとらえることが難しくなります。ジャストミートするには股関節を動かすことを意識して、その結果として腕やバットが振られるという感覚が大事です。

星野 また左足の踏み込みも同じように重要で、左足を踏み込んだら右股関節を押し込んでくるようなイメージで体をターンするんですが、しっかり踏み込めなかったり、踏み込む場所がボールに対応していないと手だけのスイングになってしまうんです。これだとそもそも当たりませんし、当たったとしてもボールが飛びません。

― ボールが飛ばないのはなぜですか?

星野 ゴルフで手打ちだと飛ばないのと一緒です。ボールとの間合いが悪いと自分の最大のパワーをボールに伝えることができませんし、手に力が入っているとダウンスイングでバットの先が出てきて加速しないんです。一方、下半身主導でスイングすれば、手首のタメが自然にキープできて、バットの先が遅れて振り出されるのでスピードが出るんです。ですから手の力を抜いておいて、股関節で体をターンするのがコツになります。トスバッティングのときは、左足を踏み込む場所がボールに対応できていることが、ボールを遠くに飛ばす条件になります。トスが体に近ければライト方向に打ち返すように、トスが体から遠ければ左足を大きく踏み込んでレフト方向に引っ張るイメージで打ちます。

― このトレーニングを実際のゴルフスイングに行かすためにはどうすれば?

星野 そのままゴルフクラブで同じ動きをすればいいだけです。クラブを持つ手に力を入れず、バックスイングでは右に体重を乗せます。そこからダウンスイングで左足をしっかり踏み込んだら、右股関節を押し込むように体をターンしてください。手に力が入ってなければこれでクラブは加速しますし、軌道も安定します。難しいようですが、トスバッティングがうまくできるようになっていれば、簡単に感じると思いますよ。

星野英正プロ

精度の高いスイングが持ち味で、アマチュア時代は日本アマ3勝を含む52勝。プロ入り後はツアー3勝を挙げている。ツアーきっての理論家としても知られる。


Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。

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